かえる

記憶の中に見える風景を、脆さと風化の兆しを口に含んで、言葉を紡ぐ。

小さいとき、雨が降ったあとの水溜りの中に、たくさんのおたまじゃくしがいるのを見て驚いた。天気はよく、どう考えても明日にはこの水溜りはなくなっていくと思ったから。
その予想通り、水溜まりはなくなっていた。

小さいときに、庭にあった本当に小さな洗面器ほどの池で、おたまじゃくしを飼ったことがあった。
足が生えてきて、蛙の姿になってきた。10匹ほどのおたまじゃくしが蛙になっていくのを毎日楽しみに眺めていた。

その小さな池を見たら、空っぽだった。
足が生えて皆どこかに行ったのだと、思っている。

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