内容証明の行方とその内容
https://note.com/apj/n/n6530474a2103 に書いた、甲南大学に送ったはずの内容証明が行方不明になっていた件。雁琳氏が状況説明をツイートしているので、全文引用しておく。
ツイートからわかる内容証明の中身
togetterは簡単に消されるし、ツイートもこの先の圧力次第ではどうなるかわからないので、念のため全文引用したものを作って記録しておく。引用元のツイートのURLを出典として示した。
甲南大学の郵便物の管理にはやはり問題があった
「勤務先の私の郵便受けに投函されていた」という記載からは、甲南大学は一旦押印して受け取った内容証明を、本人に手渡しせずに、郵便受けに放り込んだままにしたらしい。
大学の郵便受けには、連絡も届くがダイレクトメールや大学生協のチラシなども届くので、郵便物を全部ひきとって仕分けせず、必要な物だけとりあえず回収しよう、などとやっていると見落としが生じる場合がある。
内容証明や書留など、必ず相手に到達させなければならない郵便物については、普通は、事務で保管した上でメール等で連絡し、受け取り簿に押印するのと引き換えに手渡しするものだろう。非常勤講師宛の郵便物でも、押印が必要な郵便物を郵便受けに投函するだけで済ませるというのは、組織の運営としてちょっと信じられない。
とにかく、甲南大学を宛先にして押印が必要な書類を送っても、かならず相手が受け取るとは限らない(受け取れるとは限らない)ことがはっきりしたわけで、冗談抜きで甲南大学は郵便物管理のシステムを見直した方が良いだろう。
非常勤講師の学外での暴言にまでは、甲南大学に管理責任はないが、押印が必要な郵便物は明らかに甲南大学に管理責任がある。
1通目の内容証明を雁琳氏が受け取れていれば、内容を晒すにせよ弁護士に懲戒請求を出すにせよ受け取り拒否するにせよ、雁琳氏が何らかのアクションを起こせたはずである。さえぼう側は内容証明を無視されたから行動をエスカレートさせたようだが、受け取れていないものに反応しようがないし、甲南大学がかわりに受け取ったのだから受領の葉書は返送されるわけで、本人の手に渡っていないということをさえぼう側だって知りようがなかった。
状況を悪くした原因の一つは、明らかに、甲南大学の杜撰な郵便物管理にあるだろう。
普通に懲戒請求でいいのでは
大学教員の学内でのパワハラ案件等であれば、大学に使用者責任があるが、個人として学外で発言したことについては、大学に使用者責任があるとは言いがたいだろう。
仮に、大学に使用者責任があるとなったら、大学は、学外での教員の発言を何らかの方法で統制しなければならなくなるが、そんなことは不可能である。とることが不可能な責任を大学にとらせようとしたさえぼう代理人は社会常識を全く欠いているといえる。
「本書面通達の日から1週間以内」という期限の設定は、営業中の民間企業であればともかく、今回は状況からみて非常識である。昨年11月半ばには、COVID-19の感染拡大も相当落ち着いてきてはいたが、まだまだリモート講義の大学もある上、相手が非常勤講師なら週1回かそれ以下の頻度でしか大学に来ない可能性が高い。そういう相手に対して1週間の期限を設定するのはそもそも無理がある。
内容証明の文面が引用の通りなら、さえぼう氏本人というよりは、代理人がわざとに、巻き込む相手を増やして騒ぎを拡大しようとしているように見える。大学に通知するぞ、というのは、法的請求でもなんでもない、ただの嫌がらせの予告である。弁護士の肩書きを利用して、本来関係なかった大学をトラブルに関わらせようとするのは明らかに逸脱した行為だろう。
雁琳氏にも弁護士がついているということだから、弁護士と相談の上、ハードルを越えているという話になったら、普通に懲戒請求すればいい案件ではなかろうか。
弁護士と依頼人の関係はどうなっているのか?
失礼を承知で言うと、引用された内容証明の文面は、私には、とてもプロが書いたものに見えない。
法的措置を前提にしてその前の交渉をしているのなら「損害賠償請求を求めて提訴」は言わずもがなだろう。端的に事実確認だけをするか、権利侵害であることを丁寧に説明して削除を求めるだけで足りる。
1コマいくらで契約してる非常勤講師を「甲南大学の学者」と呼ぶのは実態にまるで合っていない。
「甲南大学の信用を毀損している」というのも、言いがかりにしか見えない上に表現に違和感がある。法的措置を前提にしたやりとりで「信用を毀損」と言うと真っ先に思い浮かぶのは刑法の信用毀損だが、刑法の信用毀損の信用は経済的信用に限られている。読む相手が素人だからわざとに紛らわしい表現を使ったのだろうか。代理人氏は、他所で他人の悪口を言いまくる人を雇っていると大学までお仲間に見られて評判が悪くなるよ、と言いたかったわけだよね?だったら社会的評価の変動だから、「名誉を毀損」と書くべきところではないか。
甲南大学に通告するぞと予告しているのだから、甲南大学が何かアクションを起こして雁琳氏を黙らせたり削除させたりすることを期待していることがわかる。それなら甲南大学に使用者責任があることと、その使用者責任に非常勤講師の学外での発言を管理することまで含まれていることを、判例でも裁判例でも示して説明しなければ話が繋がらないのに、どうやら投げっぱなしの模様である。
もし、甲南大学が、ウチの評判が下がるから学外で黙れ、と雁琳氏に向かって主張したら、むしろその方が甲南大学の評判は下がるのではないか。どういう見識を持ってるのかと疑われることは確実だろう。さえぼう氏の代理人はこの程度の社会通念も持ち合わせていないようである。
このように、しっくりこない部分が多すぎるため、実は、文面を考えたのがさえぼう氏本人で、代理人の弁護士がそれをそのまま送ったのでは?という疑念が拭えない。依頼人が無茶を言い、様々な事情で代理人がストップを掛けられず、無茶な書面がそのまま裁判所に出てくることがあるので、本人の主張をそのまま通す代理人というのは現実に存在する。
訴訟や通告の予告は入れず、これまでの判例や裁判例に照らして問題のツイートがどう人権侵害なのかをわかるように絞って説明し、穏やかに削除を依頼するというのがプロの書く味わい深い内容証明というものではなかろうか。訴えてやるなどと一言も書いてないのだけど、きちんと読むと、訴状と準備書面の内容の予想がつくようになっているのが、紛争を前提とした内容証明というものだろう。
内容証明ソムリエ(たった今作った肩書きだが)としては、あまりの味わいの足りなさにあきれ果てているというのが正直なところである。
余談:弊社の事務はきちんと仕事してくれている
本筋に関係はないが、弊社の事務の郵便物管理はきちんと行われている。
何度も書いたが、窓口担当がかわりに押印して受け取ったものは、教員の郵便受けに投函せず窓口で保管し、教員に連絡することになっている。教員は印鑑を持って窓口に行き、受け取り簿(正式名称は忘れたが)に押印し、窓口担当から郵便物を受け取る。押印の必要のない郵便物はそのまま郵便受けに投函される。
事前に連絡を入れておくと、押印が必要な郵便物の受け取り拒否もしてくれる。これが実は頼りになる場合がある。
実は十年以上前、突如としてストーカーが発生したことがあった。面識ゼロでメールのやりとりもそれまでに無かった人から、「現金封筒で金を送った、結婚してくれ、これから会いに行く」という内容のメールが来たことがあった。
びっくりして、まず事務の窓口に駆け込んで、状況を説明し、私宛の現金書留がきたら受け取りを拒否するように伝えた。行動力のありそうな相手だったから、勝手に書類偽造されて入籍されてもコトなので市役所に走って戸籍の不受理申出をした。その後で、一体こいつは何者?ということで、メールに書かれていた釣書めいたメッセージを手がかりに2ホップほど知人をたどると正体が判明し、そいつは本気で会いに来るつもりで家を出たらしく、家族が捜索願を出していた。結局途中で発見されて連れ戻されたのだったが。
まあ、こういうめちゃくちゃな状況になることもあるので、事務の窓口がしっかり機能しているというのは大事なことなのだ。
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