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GRANDAGE ATLAS 序章

宇津木です。noteの更新はずいぶん久しぶりになってしまった。
前回の更新はFoojin’Zの発売に間に合わせようと思っていたので、2月くらいだったか。その間は何をしていたかというと、基本的には開発ばかりやっていた。

アピアを創業して24年になるが、製品のベースラインが変わる節目のようなものが何度かあった。新しい素材や工場との出会いであったり、新しいアイデアを思いついたことがきっかけになったこともあった。前回の節目はFoojin’ADを発売した2011年で、フラッグシップモデルへ搭載した4軸カーボンやグリップ形状など、2011〜2020年のアピアロッドの方向性は共通していた。
今年発売したFoojin’Zも大きな素材変更(TORAYCA®️第3世代カーボンの投入)、新たな技術(NANO JOINTなど)、グリップ(パームグリップ)の変更などベースラインが大きく変わる節目であり、2021年からまた新しいスタートを切り始めたといえる。そしてこれらの変更は、これからモデルチェンジしていくロッドにも引き継がれていく。
俺は頻繁にデザインを変えることや、意味のないアルミパーツは好きではない。アピアロッドは色使いやロゴのインパクトを強くしているので派手に思われがちだが、アルミパーツやスレッド(ガイドの糸巻き)の装飾はかなり少なくしている。

Design follows function.

機能が生んだ形が美しい。
道具は徹底的に機能を追求していきたい。そうするとダサいものには行き着かないはずである。


GRANDAGE 2nd Generation

2018年にリリースしたGRANDAGEシリーズは、GRAND(偉大な)とSTAGE(舞台)を掛け合わせた造語で、日本のみならず世界へ発信していくという願いを込めて命名した。今後このGRANDAGEシリーズも、2020年代のアピアロッドの骨子をベースにモデルチェンジしていく。
まずは現段階で開発、テストが終わりリリースを控えているのが、XDの後継となるロックショアロッドGRANDAGE ATLASがある。Foojin’Zと並行して開発、テストを行っていたこのシリーズも、いよいよ2021年後半からのリリース準備が整った。同時進行で開発していた近海ボートゲーム用の「GRANDAGE NAVAL」、ビッグベイト用の「GRANDAGE MEGASOUL」も含めて、GRANDAGEシリーズはいよいよセカンドステージへと突入する。それらをこれから順に紹介していくつもりなのだが、なにせアイテムが多い上、現在アピア社屋の引っ越しも控えているので更新はスローペースになるだろう。


ロックショアロッド"GRANDAGE ATLAS"

ロックショアロッドGRANDAGE ATLASは、大きく分けて3つのカテゴリーがある。1つはヒラマサやブリなどの青物をターゲットとした「BLUE RUNNER」(ブルーランナー)、次にGTやキハダなどの大型青物をターゲットとした「C-SAFARI」(シーサファリ)、そして磯ヒラスズキ用の「BLACKFIN」(ブラックフィン)となり、前作GRANDAGE XDシリーズにヒラスズキモデルを加えた構成となっている。
GRANDAGEが第2世代へ向かうことになり、現行品とは異なる大きな特徴が3つある。

① 【BLANK】
一番大きな変化はやはりブランクである。ガイドセッティングやフレーム素材、リールシートの種類でロッドの性能が大きく上がることはなく(セッティングがまずいと性能を落とすことはあるが)、性能を上げることができるのはブランクでしかない。
東レ第3世代カーボン「M40X」と「T1100G」の出現で、高弾性(M40X)、中弾性(T1100G)マテリアルの性能は大幅に向上した。特にT1100Gの強度は世界最高水準にあり、反発力に起因する飛距離性能もFoojin’Zで実証済みである。ショアという限定されたシチュエーションから展開されるゲームだけに、飛距離性能は大きなアドバンテージとなる。
※「T1100G」は全機種に搭載。「M40X」はブラックフィンシリーズにのみ搭載。

② 【JOINT】
2ピースロッドの弱点である継部の突っ張りを解消するために、アピアが開発した新ジョイントシステム「NANO JOINT」は、Foojin’Zに続きGRANDAGE ATLASにも搭載した。Foojin’Zでは印籠継での採用だったが、ATLASでは比較的ライトなモデルは印籠継。HH以上のパワーモデルでは並継で「NANO JOINT」を採用している。

③ 【EXTERIOR】
GRANDAGE ATLASはブランク表面に特殊な処理を施している。ブランク処理には通常、塗装かアンサンドフィニッシュのどちらかが多い。それぞれ一長一短があるのだが、磯場にロッドを持っていくと、どうしてもブランク表面に小傷が目立つようになる。ATLASには以前からテストしていた「シールドテック」という特殊なフィニッシュが施されている。「シールドテック」は外傷からブランクを守るために、薄く、擦れに強い特殊なテープを全長に巻き上げる技術である。もちろん強くぶつけた場合は例外として、いつの間にか増えているような小傷はほとんど付かないのだ。

次回はGRANDAGE ATLASの各ラインナップについて紹介する予定だ。


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アピアロッドの生産拠点

ところで今回は最後にアピアロッドの生産拠点について触れようと思う。この手の話を書くのは初めてだが、あくまでも俺個人の意見でありアピアの方向性なので、興味のある人だけ読んでほしい。アピアのロッドは現在海外で生産している。具体的に言えば台湾の企業で、工場は中国にある。高価格にもかかわらずメイドインジャパンではないのかとよく言われる。実はアピアは創業24年の中で国内工場2社、海外工場2社とのパートナーシップを経験してきた。単発やプロトタイプの作成のみを含めると10箇所以上の工場とお付き合いをしてきた。一口に中国製と言ってもそのレベルはまさにピンからキリまである。当然ながらメイドインジャパンにもピンキリはあり、過去それらも散々経験してきた。その中で現在生産している工場は、俺は世界でも最高水準の技術力を持つロッド工場だと断言できる。東レ本社やカーボンプリプレグを扱う商社も高い信頼を置く工場で、TORAYCAを扱う技術力に加え、開発力も非常に高いものがある。最近アピアが使用しているTORAYCA®️「M40X」や「T1100G」にしても、単に使用すれば性能が上がるというものではない。NANO JOINTやシールドテックなどの新技術も含め、ここの協力があって実現したのは間違いない。
実は今回のFoojin’Zは当初国内生産で進めようとしていたのだが、アピアが抱える課題、目指す方向性を考慮した結果、最終的に今の工場を選択することになった。ちなみに安価で生産するために海外なのでは?と言われることもあるが、まったく無知な意見で、高い技術力を持つ海外企業はむしろ国内生産よりも高価となる。
工業製品でいえば日本製の良さと、海外のトップ企業の強みは全く異なる。メーカーによってその選択の基準は異なるが、俺が求める技術を持つロッド工場は2社あり、ともに海外企業である。

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