スライド01

母校で講演してきたよ★カメレオンキャリアでいこう★後編

前編から続きます

というわけで、自分が実践しているカメレオンな働き方なんですが今は子供が0歳と3歳ということで起きている時間のうち仕事にあてられるのは多くて三分の一くらいしか無理なんです。0歳児なんておっぱい飲んでねんねして〜ってわけじゃなく、げっぷさせて寝かしつけてオムツの処理して……ってやってると平気で一時間二時間経過してしまいます。だからもう今はこれくらいしか無理。

でも、二足歩行が始まり保育園小学校と上がるに連れて時間は増えるだろうと踏んでいるので、そうなったらもうちょっとたくさん仕事をしたいなと思っています。その時には今と同じように在宅で仕事を受けるでもいいし、派遣社員でどこかに行ってもいいし、なんなら起業してもいいかなと思ってます。また、どこかで正社員という可能性もあるかもしれません。

こういうことを言うと、特に今無理してでも正社員の座を死守している人からは「今やめたら正社員なんて二度となれないんじゃないか」みたいなことを言われるんですけど、案外そんなことないって、周りを見ていて感じています。出産や配偶者の転勤などで退職せざるを得なかった人ってやっぱり自分の周りにもいるんですけど、なんだかんだで力がある人はみんな正社員になれてるんですよね。だからここをあんまりこだわらなくてもいいと思うし、万一違う働き方を選んでもそれがイコール不幸ということにはならない。

結局自分にとって何が重要なのかと知ることが大事なのかなと。
私にとっては運動、食事、読書をする余裕が持てることもなんですが、ここに大きく時計の絵を載せたのは、やっぱり裁量が大事だなと思うわけです。いま在宅で仕事をしている大きな理由がそれで、子供がイヤイヤを発動、朝一で洗濯物が間に合わなかった等々しょうもないことで家を出るのが5分10分遅れることもあります。でもそれを一律、「9時の始業時間に間に合ってないからハイあんた減点〜」っていうふうに評価されてしまうときつい。そこらへんはもっと柔軟に、仕事が少ない時期は早めに切り上げてもいいとか、ちゃんと結果出すので勤務時間に歯医者に行ってもいいとかそれくらいの裁量は欲しいなと。

というようなことを考えておりましたら、つい先日、母校神戸大学の先生の研究を見つけまして、これは今月中のシンポジウムだかなんだかで発表があるらしいんですが、ようするにその研究によると、学歴よりも世帯年収よりも自己決定権つまり裁量、これが幸福感につながっていると証明されていました。大変興味深いとともに、あ〜やっぱりね、と思いました。

というわけで、カメレオンキャリアを目指す人への提言にもなろうかと思うのですが、ちょっと今後の自分のカメレオンキャリアの目標について明言したいと思います。

「生き延びるため」という消極的な理由からカメレオンにならざるを得ないのはまあ普通のことだと思うんです。(消極的カメレオンという言い方を講演会では使いましたが、カメレオン1.0にしましょうw)

ただ、そうやって流される生き方も若くて体力がある時はいいけど、齢40が目の前に迫ってきた今となってはちょっとしんどいな、と。このまま周りに流されてばかりいたら、それこそ裁量がない仕事ばかりになりかねない。

そこで私が目指すのは、外的環境の変化に応じて働き方を積極的に変えつつ、狙った獲物をシャーっと取れる強さですね。カメレオン2.0と勝手に名付けましたが、もっと積極的に「休みたいから休む」「働きたいから働く、そしてちゃんと仕事もとってくる」という積極性を身につけていきたいな、と。

じゃあいろんな働き方を主体的に選べる人材になるにはどうしたらいいんだ?という話になります。これは私のビジネススクールの先生もおっしゃってることで既出の概念でもあるんですが、「タグを持つ」ということにつきるのではないかと思います。つまり、自分の能力をわかりやすい言葉でタグづけし、それで人に認識してもらう。

先ほどのライフシフトの本でも、金銭的な資産以外に生産性資本(いわゆる能力、タグですね)、人的資本(いわゆるコネ)がとても重要と紹介されていたのですが、こういう同窓会の場などで人脈を広げたときに、「あの人は経理の専門家だ」とか「法律の専門家だ」というふうに、タグで認識してもらえると、仕事に繋がりやすい。

私の場合は最初のスライドで紹介した「MBA漫画家」という肩書きからも「まんが描く人」と「MBA持ってる人」っていうので覚えてもらえています。

ところで、藤原和博さんという教育改革実践家(元リクルート営業)の方がキングコングの西野さんとの対談でおっしゃってる記事を見てなるほどと思ったんですが、10000時間を投じて努力をすると誰でも100人に1人のプロレベルになって稼げるんだそうです。ただ、100人に1人だとまだ弱い。経理ができる、確かに強いタグではあるけれども残念ながら経理ができる人は世の中にたくさんいる。

しかしそこでさらにもう一つの分野に10000時間投入して努力するとどうなるか?例えば経理ができる人が英語も100人に一人レベルになると、英語で経理ができる人っていうことで、途端に希少性が1万人に1人レベルに上がり、転職するにしても年収がぐんっと上がる。

だから、何をやったらいいのかわからない〜という人はとにかく自分の強みを見つけ、それに時間と力を投じてほしいし、なんなら二つ目のタグも磨いてほしいと思います。

で、この原稿を書きながら、自分の希少性ってどんなもんかな〜と思って考えてみたんですけど、#まんが というタグの方、こちらは大学卒業したときからコツコツと趣味で描いたり専門学校行ってがっつりやったりしてるので1万時間は超えてます。今この会場にいる方を見ても、多分漫画かけるのって私だけだと思う。こっちはオッケー。

しかし#経営学 MBA というタグの方はどうかというと、在学期間2年以上、まあ3年と見積もったところであれだけ時間を費やしても1000時間くらいにしかならない。仕事として本の執筆の話をいただいて以降の方が、下調べに1冊につき2ヶ月くらいかけたりしてるので、よっぽど勉強してるのですが、それでも2000時間。そこから実務も入れて・・・ってざっくり計算すると5000時間くらい?まだまだ私は経営学の第一人者ですなどとおこがましいことは言えないし、いうつもりもない。ただ勉強したことがある人ってだけ、多分50人に1人くらい。小さい会社に1人MBAホルダーがいるよくらいのレベルでしかない。

けど、それでも漫画が描けて経営学やったことあるってなると掛け算したら多分5000人に一人くらいの希少性はあるんじゃないかなと。

ま、ここで何がいいたいかというと、仕事の下調べのところ、太字にしてるとおり、仕事受注したらめちゃくちゃ勉強してますってことです。さらなる高みを目指すので、また、今は漫画以外に、会議などをグラフィックレコーディングという手法でまとめていくのにも興味があり、そちらも勉強していますのでみなさまの中で「あいつに描かせようかな」って人がいらっしゃいましたら、お仕事ください!

というわけで、ごり押しの営業はこれくらいにしまして。
私が最近感銘を受けた本を紹介します。薄井シンシアさんという方がいらっしゃいまして、この人はまだ女性は結婚で退職するのが当たり前の時代に、結婚してもキャリアを続ける!専業主婦にはならない!と仕事をしてたんですが、子供を授かったときに「私はこの子を立派に育て上げる!」と決意し、いきなりスパッと専業主婦になられた。その後、配偶者の転勤で海外を転々とされるんですが、娘さんが高校生になって手が離れたときに、バンコクでかつて娘さんがお世話になった学校から「カフェテリアのおばちゃんをやってくれ」と打診され、それを引き受けます。

ところがこれがただの配膳のおばちゃんで終わらない。主婦時代に得たスキルで、次々と改革していき、結果を出します。
しかし、日本に帰ってさあまた就職しよう、となっても、「専業主婦17年、カフェテリアのおばちゃんやってました」ではキャリアとして認めてもらえない。どうにかして入れたところが電話受付のパートだった。しかしそこでも結果を出し、そうやってメキメキ力を発揮しているうちに知人から声をかけてもらって、ホテルの副支配人に……と、まあすごい経歴の持ち主なんです、この人。

  →薄井シンシアさんのインタビューはこちら

  →著書はこちら

彼女自身、専業主婦はマルチタスクでクリエイティブでありビジネスに応用できると言い切り、専業主婦をキャリアにしよう、という視点で17年間を過ごしていた。交渉術などもPTAの経験とか、話が通じない子供相手の交渉の経験とかが生きてるそうです。

これは、一度キャリアから降りた人にはとても勇気付けられる事例じゃないかなと思います。ここにいらっしゃる男性の方、多分それぞれの企業で偉い人なんじゃないかな、と思うんですけど、「専業主婦はダメ!使えない」とばっさり切り捨てるのではなく、どうか門戸を開いていただいて、どうやったら専業主婦だった彼女らや、現在進行形で育児と両立している制約人材が能力を発揮できるかという視点で考えていただければと思って紹介しました。

というわけで、最後に、私は一つのことを20年30年続けてきた職人のような生き方はしていませんので、専門性といったところでは人に負ける自信はあります。ただ、こうやって紆余曲折経て仕事の仕方を変えても、それなりに楽しく人生のポイントポイントを押さえていけてるし、こんな働き方でも需要はあるので、何かのヒントになれば幸いです。

で、もし人生の一時期ちょっと一休みするって決めたら、キラキラハイスペックな人を見てうらやましがっても仕方ないんで、よそはよそ、うちはうち〜という心を大事にしてください。 

おわり


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