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仮想通貨で流動性(LP)トークンのステーキングやファーミングを行う際に知っておきたいこと

最近アルゴランドの分散型取引所の利用であるとか、分散型金融であるDefiの利用の話とかを書くようになり、有難くもnoteを読んで挑戦してみました!というお話も頂けるようになってきました。

初心者の方からすると全てが分かりづらいとは思いますが、分散型取引所を使って有名な通貨同士を交換する、持っている資産のステーキングを行う、持ってる仮想通貨を貸し出す(レンディング)というのは見た目も結果もシンプルなので得してるなーとか損してるなーというのがまだ分かりやすいものです。

で、こういうのに慣れてくると次に気になってくるのがLPトークンと呼ばれる流動性トークンのステーキングです。
下の2枚の画像を見てもらうと分かりやすいですが、

ちなみに2枚の通貨が重なってる方がLPトークンです。

普通の単体のものはAPR(年率)12%に対して、LPトークンの方は120%以上あります。

単純に考えるとめっちゃお得じゃん!となってしまいがちですが、仕組みが結構分かりづらく損してても気づかない時があるので、注意が必要です。
ということで今回の本題は、このLPトークンについて正しく理解して、正しい判断のもと使えるようになっていきましょうということです。

先に結論を書いておくと、初心者にやるべきかと聞かれたら、なるべくやらない方が良い、と答えます

(ちょっと細かい説明を入れた下書きを作ったのですが、初めて見る人には意味不明な内容になったのでどういう人がやったらいいかとか、メリットデメリットだけ書いて、詳しい流動性の仕組み知りたい人は調べるなり聞いたりしてねという形にします。一応アルゴランドチェーンでの話をしていますが、他のチェーンでも仕組みは同じなので他チェーンでも使える知識です。)

どうなったらお得なのか

流動性を作る(LPトークンを持つ)のは基本的には損な戦略です。(よく永久的な損失という言葉が使われる。何が永久的なのかは謎。)

何故損するのかを一番良くありがちなALGOとB通貨のペアで流動性を作る例でざっくり説明します。また、この場合の思惑として、最終的にはB通貨をALGOに交換して、ALGOの枚数を増やしたい人、というイメージで見てください。

160ALGOと1,000,000B通貨で流動性を作ったとします。(B通貨はALGO換算で同じ価値分を要求されるので、この場合であればB通貨は0.00016ALGOで合計320ALGO分預けた形。)

B通貨の価格が暴騰し、0.00037ALGOになりました。B通貨の価格が上がる時は流動性の内部ではB通貨を成行で売却してALGOにするという動きが行われます。(成行といっても反比例の関数に従ってなので一定の割合ですが。)
すると流動性から全額引き出した時は244ALGOと660,000B通貨を受け取るという形になります。(この時引き出した金額は合計488ALGO分という価値です。)

一見すると合計320ALGOを預けて488ALGOになったのですから得してるよかったよかったなんですが、よくよく考えると、流動性作らなかった場合、失った340,000B通貨はこの0.00037ALGOの価格帯で売れば125ALGOくらいになるものです。それを流動性に預けてる場合84ALGOほどで売ったことになり、41ALGO分作らなかった時より損をしてる形になります。

言葉にするとややこしいですが、太字のところが原因です。上がった時にまとめて売ったら良いものを、成行で売る動作をされるのでそりゃその分は損しますよね。これはB通貨の価格が下がる時も似たような損失が出ます。ざっくり言ってしまえば、ペアのバランスの変化があった時損する形になります。(なお、元のバランスに戻った時はこの損は解消される。)

つまり、流動性を作った時から価格が変動しない、または、ステーキング報酬(と手数料報酬)がこの損失を上回るという条件でしか得しません。(手数料報酬は変化に気づける人ほぼいないと思うので考慮に入れる必要はほぼないです。)

これを正しく理解したうえでやらないと、見た目のAPR(年率)に釣られて流動性作ってステーキングしたものの気づかない内に損してるっていうのは結構あります。

一番最悪な動きは、この流動性ステーキングプログラムが発表されて価格が高騰した時にB通貨を購入してなおかつ流動性を作ることです。(新規の購入者が増え続けない限り、少し長い目線で見るとステーキングで市場に出てくる枚数が増えたら価格は減少していき、元の高値圏まで戻ってくる可能性が減るので高値掴みによる価格の減少と流動性の損失とのダブルパンチになる。)
これ結構知らずにやっちゃってる人多いのではないでしょうか?

流動性を作るのはどんな時が良いか

これだと誰も流動性なんて作らないんですが、私は意外と作ってたりします。
作る理由は下記のような感じ。

・プロジェクトを応援している時

流動性が大きい方が多くの人の視野に入りやすいかつ、他の人が取引しやすくなるのでプロジェクトにとっても有難いものです。
なので、そういうプロジェクトには保持する分とは別に流動性を作成して応援することをよくやります。実際持ってる方がプロジェクトの開発者とお話しやすいし、一体感も出ます。

・チップ代わりに

プロジェクトから何か情報もらった時とか、何かしてもらった時(トラブル対応とかイベント楽しませてもらったとか)に「ありがとう。ちょっとだけ流動性追加したよ!」という言葉と共に少しだけ投げ銭感覚でやります。
御礼が伝わりやすいですし、また何かあった時は教えてくれたり動いてくれたりしますのでコミュニケーションを円滑にするためでもあります。
利益の幅が減るだけなので、手軽にできるのも良いところ。

・自分がクジラの時

クジラになると結構売るのが大変になります。特に保有枚数25番目以内くらいに入ってくると、あのクジラが売り始めたと周りがついてくるようになってしまうので、上昇トレンドの時に空気を壊してしまうことがあります。
そういう時は上がる前にそこそこ流動性を作っておいて、上昇後に流動性を解除することで影響少なく量を減らすことができます。

人によってはそういう時、別のウォレットに送金して、別のウォレットから売るということをしているクジラもおりますが、あれは結構バレてます。流動性作って所持枚数を減らして脱クジラになるのは動きバレづらいのでオススメです。


流動性のステーキングは基本的に損するのであんまりそれ目当てでは私はやりません。
例えばそのステーキング報酬でALGOであったり、USDCなどのステーブルコインがもらえるのであれば別ですが、配布された報酬はどうしても一定数売りに回るので、自分がもらえる枚数よりも価格の減少の方が優位性が高くなってしまいますから。

この内容を見てもらったら分かる通り、特殊な使い方しかしてませんから、初心者におススメはしません
ただ、流動性が増えると、その分ALGOがロックされることになり、チェーンの指標であるTVL(トータルバリューロック。ロックされてる資産額。)が増加してアルゴランド自体にはプラスになるので、お気に入りのプロジェクトがあるのであればそのプロジェクトとアルゴランドを応援する意味で作ってみるのはありかもですね。

デメリットをおさらい

説明しなかったものも含めてデメリットを列挙していきましょう。

・価格変動時に永久的損失と呼ばれる見えづらい損失が発生する

・ペアを作った通貨が流動性プールというウォレットの外に出ていくのでハッキングされるリスクが高まる

これは年始に発生したtinymanのハッキングもこの流動性プールの仕様の欠陥を突かれたものですし、2月頃に発生したYieldyのHEADLINEプールのハッキングもこの流動性プールの取扱いに関するバグによるものからです。

・所持価格の把握がしづらくなる

・価格上昇を期待したガチホ戦略をする時にやると実際価格が上がった時に枚数が減ってる

永久的損失を分かりやすい言葉でいったらこんな感じ。

・仕組みが直観的でなくややこしい

まぁこんなものでしょうか。

最後に

高金利の裏側にはデメリットがちゃんと存在するということです。むしろ、デメリットがあるから、それだと誰もやらないのでその動機づけのために高金利で用意されています。(こういうインセンティブで人々に動いて欲しい方向に動いてもらうというのはブロックチェーンの、非中央集権モデルの根幹の部分でもあります。)

ただ、難しいところがじゃあ流動性ステーキングをやらずにガチホが正解かと言われるとそういうわけでもないのが悩ましいところ。
他の人が高金利で枚数を増やしている時に自分の枚数が増えないのは単純にマイナスです。そして流動性を作ってもマイナス。ということは、上昇時に売って、ステーキング報酬が市場に十分でてきて価格が薄まった後に買い戻すのが一番枚数増やせますが、これはつまり価格を予測したりそのプロジェクトの情報をリアルタイムで追ったりする必要があるのでその見極めも難しいものです。
後からチャートを見返した時にここで買えばっていうのは簡単に言うことができますが、リアルタイムで価格を追っていると底の予測が非常に難しいです。自分がここだと思ったところが高値であって更に下がっていくのもあり得ますし、思ってたところまで下がってこずに上昇して乗ることができなかったというのもあります。
分からないからこそ、とりあえずステーキング報酬で枚数を増やすというのが最善手ではなくとも無難な手の場合もあります。

自分の取引スタイルとか、チェーンやプロジェクトとの関わり方とかを考えて付き合っていきたいものですね!

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