スバルの妄想

放課後。めずらしくスバルちゃんがはしゃいだせいで掃除がなかなか終わらなかった。そのせいで窓の外はいつもよりオレンジがかった景色だった。

職員室に入るのは未だにドキドキするけれど、先生に日直の報告をしなきゃいけない。掃除が遅くなったことにおとがめがあるかと思ったけれど、先生は一瞬怪訝な顔をしたあと、すぐに何かを察したような顔になって僕はすぐに解放された。たぶん元気が有り余ってる女の子の顔が思い浮かんだんだと思う。

ランドセルを手に取って下駄箱に向かうと、ちょうどスバルちゃんとおかゆちゃんが靴を履き終えたところだった。二人とは同じ班だけど、そんなに話したことはない。楽しそうに話している二人を横目に先に帰ろうとしたら、二人がその前に歩き始めた。二人とは途中まで帰り道が一緒だから、自然と二人と一緒に帰ることになる。追い越すわけにもとどまるわけにも行かず、楽しそうに話す二人のうしろを僕はとことことついていった。

二人はほんとうに楽しそうに話していた。最近遊んだゲームの話、好きなマンガの話。そのゲーム、僕も欲しかったやつだ。僕はボンボンしか買ってないからジャンプのマンガは知らないんだよな。頭の中で二人の会話に入りながら、でも一人分の影くらいは離れた距離で歩き続けた。

そして交差点に辿り着いた。僕の家はここを右に曲がったところ。スバルちゃんたちの家は逆方向だ。一言あいさつしてから別れた方が良いのか、それともこのまますっと帰っちゃおうか。考えあぐねていると先を歩いている二人の足が止まった。

「なぁ、これからおかゆんちでマリカーやるんだけどおまえもくるかー?」

思いがけない言葉に自分の足が止まる。

「……うん、行く」

自分の口から出た言葉に、また驚いた。

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アンケ回答しそびれたのでここで供養。

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