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『ブラックスワン』『ジョーカー』をまとめて感想書きます(ネタバレ)

ご注意
『ブラック・スワン』(2010)、『JOKER』(2019)のネタバレを含みます。


『ブラックスワン』を観た。
『JOKER』みたいな映画だなというのが、最初の感想。ふたつの映画の共通点を中心に書いていきます。

主人公目線の苦しい毎日が描かれている。主人公は弱々しく、つらそうで、あるレベルの才能を持っていて、さらなる高みを目指し続けている。ある意味魅力的で、目を離せない。もし街にいたら、目を奪われなのではないかな。
ニナ(ナタリーポートマン)はニューヨークのバレエ団で主役候補だし、アーサーも街ではうだつの上がらない宣伝ピエロやってるけど、ダンスを交えた面白い動きや表情していて思わず見ちゃうよね。だから悪ガキたちもちょっかいだしてきた。
でも、アメリカのエンターテインメントの世界ではそういう人がゴロゴロいるんでしょう。二人とも緊張感や焦燥感で崖っぷちの精神状態。

どちらも主人公は繊細、純粋、まじめ、優しい、穏やかな人。母親の言葉・存在に縛られ、おそらく幼いころから苦しみつづけている。父親はいない。毎日がつらくて一人になると涙を流す。妄想、幻覚、自分を傷める悪癖。
母親の夢か自分の夢かわからなくなっているし、重なっている。才能があり、喝采を求めて、夢をつかむために血の滲むような努力をしている、役(黒鳥/最高のコメディアン)をつかむためにはキーマンに認められなければならない。役になりきり、同化していき、ついに変身。そして舞台へ。舞台上では最高のパフォーマンス! 大喝采! 主人公は恍惚の表情で昇華。現実では破滅。
そして「さてどこが主人公の妄想でしょうか?」とくる。

そして、主演のナタリーポートマン、ホアキンフェニックスの演技がすさまじい。ナタリーポートマンはバレエのプリマドンナ、ホアキンは貧困で精神を病んでるガリガリおじさんで、役に完全に合わせた体型になってる。
パフォーマンスシーンは美しく最高!
泣き顔や困惑の演技は、観ているこっちもつらくなります。

本人目線のストーリーなので、幻覚か現実か、考察するのも楽しいですね。
それと性的な目覚めというか、(妄想含めた)体験が、主人公の変身への過程に必要みたい。二人とも性的な目覚めは遅いですよね。ニナ(ナタリーポートマン)は20代前半かな、アーサー(ホアキン)は、40代?のおっさん。思春期とかに通過しておくようなことを、性格や環境のためずっと抑圧してた。それを通過して、大人になる、母親と別れた一人の人間になるってことかな。
でも成長物語ではない。

「変身」と書きましたが、徐々に変化していき、最後にパチっと変身する瞬間がある。変身した後の、二人の美しく魅力的なこと!

映画ラストのあと、どうなったか考えるのも楽しいですね。ニナは、死んだかもしれない。または生きてはいるけど先輩プリマドンナ(ウィノナライダー)のように廃人になっている。母親も悲しみと後悔で生きていくしかない。
アーサーは、映画のほとんどが妄想だったんでしょう。映画の最初から精神科医と話しているシーンや入院している様子もでてますしね。
2024年、次回作が公開されるみたいで楽しみ。

ブラックスワン ★★★★⭐︎
ナタリーポートマンが美しい。母と娘の関係や娘が壊れていく様子が、身近にもありそうで心に刺さって直視できない。セックスシーンあり。

ジョーカー ★★★★★
ホアキンのパフォーマンスがとにかく最高にカッコいい。映画全体の色合いが好き(世の中は鉛色の中、アクセントに高彩度の色)。ストーリーそのものが観る人をケムに撒いてて、どこが現実?どこが妄想?となる。楽しい。バイオレンスあり。

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