「二度寝」という名の強敵

俺は寝るのが好きだ。一日中ゴロゴロ、とまではいかないが昼過ぎくらいまでなら寝てても苦ではない。俺にとって休日の朝というのは基本的に存在しない。早く起きても午前十一時くらいだったりする​。というのは前日に午前二時過ぎまで何かしてるから​──次の日が休みというのはいつも以上にだらしない生活をしてしまう事ってあるよね​──当然と言えば当然だ。

だがしかし、俺は近々泊まりがけで新入社員研修に行くことになっている。晴れて四月から社会人の仲間入りというわけだ。研修中は起床時間は七時に設定されている。七時。俺にとって早起きの部類に入る。今のままの生活では絶対に起きれない。かといって徹夜などしたら研修中に居眠りするだろうというダメな点は学生時代で十分身に染みている。

だから一時半までには寝るようにし始めた​──といっても昨日からだけど​──経験上、二時までに寝ていれば翌日は七時に起きる事が可能という事を知っているからだ。ここで注意しなければならないのはただ「一時半までに寝る」という点だけではなく「翌日七時に起きたら二度寝しない」という事だ。

「二度寝」というのは強敵だ。そもそも人間の三大欲求の一つである『睡眠欲』に属しているのだから強敵なのは当然だ。「二度寝」に捕まったが最後、折角六時半に目覚めても気付いたら十時になってたりする。恐ろしい相手だ。俺はこれで何度か学校に遅刻した。「二度寝」は目覚めてすぐの俺に狙いをつけると頭にしがみつき、起きたばかりの意識をフニャフニャにする。すると俺は「あと三十分くらい大丈夫だ」と考えて枕と頭を再会させる。そして次に目を開けると三時間くらい経っている。怖い。たまに泣きそうになった。「二度寝」、恐ろしいやつ。

残念な事に「二度寝」に百パーセント勝つ方法をまだ見つかっていない。俺は明日の朝も「二度寝」に襲われる。その時「二度寝」を振り払えるかどうかは分からない​―――

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