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抗ウイルス・制菌・抗菌防臭加工のはなし〜繊維業界のトレンド加工

コロナウイルスの拡大が止まらない中、様々な会社が抗ウイルス商品の開発・発売を進めていますね。商品を購入する際に、抗ウイルス・制菌・抗菌防臭加工の3つの違いを理解して、ウイルスに効果がない商品を購入してしまうことを防ぎましょう!3つの違いをしらないまま、加工を依頼してしまうアパレル関係の方にも、ぜひ読んで頂きたいです。
結論から言うと、抗ウイルス加工されているからといって、コロナウイルスに効くとは言っていないというか、現段階では言えないことを理解してくださいね。→※最近、数社の抗ウイルス加工が、新型および旧型コロナウイルスに有効であることが証明され始めています。(2020年10月6日更新情報)

抗ウイルスと制菌・抗菌防臭の違いと注意点

まずは、抗ウイルス・制菌・抗菌防臭の違いを確認していきましょう。

抗ウイルス加工: 繊維上の特定のウイルスの数を減少させる加工のうち、認証基準を満たすもの
制菌加工: 繊維上の細菌の増殖を抑制する加工のうち、認証基準を満たすもの
抗菌防臭加工: 繊維上の細菌の増殖を抑制し、防臭効果を示す加工のうち、認証基準を満たすもの

引用元:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部

ウイルスに効果があることが保証されているのは、抗ウイルス加工のみですね。制菌加工と抗菌防臭加工は、細菌の増殖を抑える加工であって、ウイルスに効くかどうかはわかりませんので、注意してください!

抗ウイルス加工で注意すべき点は、ウイルスの働きを抑制するものではないということです。あくまでも、特定のウイルスを減らすだけです!どのウイルスに効果があるのかは、商品ごとに記載があるので、しっかり確認しておきましょう。

抗菌のイメージ
抗菌とは、微生物を殺菌・滅菌・除菌・制菌・増殖抑制する状態のことです。上で説明した抗菌防臭とは、定義が違うので間違わないでください。
殺菌→微生物を殺滅する技術
滅菌→完全に殺滅する技術
除菌→微生物を除去または減少させること
制菌→微生物の増殖を抑え、生きた細胞が増えない状態のこと

抗ウイルス性試験の試験内容

抗ウイルス性試験にプラーク法があります。この試験の試験対象ウイルスは、A型インフルエンザウイルスとネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替)となります。まだ、日本に新型コロナ対応を謳える抗ウイルス加工はないみたいですね。

制菌と抗菌防臭の違い

制菌と抗菌防臭ともに、細菌の増殖を抑えるのは同じですが、対象とする菌の種類が異なります。抗菌防臭のほうが、防臭もすると定義されているので、制菌より機能性が高いように感じますよね。ですが、制菌のほうが対象とする菌の種類が多いので気を付けましょう!制菌加工は、2つ以上の菌種を対象とし、抗菌防臭加工は、1つの菌種のみを対象とします。

それぞれの加工で、抑制が必須となる菌の種類は以下のとおりです。

抗菌防臭の対象菌種:黄色ブドウ球菌
制菌の対象菌種(一般用途):黄色ブドウ球菌、肺炎かん菌
制菌の対象菌種(特定用途):黄色ブドウ球菌、肺炎かん菌、MRSA

制菌加工(一般用途)と制菌加工(特定用途)の違い

制菌加工には、一般用途と特定用途の2つがあります。特定用途のほうが、対象とする菌種が多くなっています。さらに、洗濯後の機能性の持続効果も長くなければいけません。医療機関やそれに準ずる施設(介護の現場など)は、3つの菌種を抑制することが必須条件となる特定用途が求められます。
特定用途の赤のSEKマークは、市場での販売は不可なので、ご注意ください。

抗ウイルスの試験方法

ウイルスには、エンベロープありとなしの2タイプがいます。
エンベロープあり→A型インフルエンザウイルスなど
エンベロープなし→ネコカリシウイルスなど
基本的には、この上記2つのウイルスを減らすことができるかを試験します。
抗ウイルスのメカニズムは、基本的にカプシドおよびエンベロープのタンパク質分解となります。
どのように抗ウイルスの基準を設けているかと言いますと、ウイルスの活性値の値(生地にウイルスを接種させた直後と2時間後のウイルス粒子の数の差)によって決めています。
活性値の値は、以下のようなウイルスの減少率を意味します。
活性値>3.0 →減少率99.9%
活性値>2.0→減少率99.0%
活性値>1.0→減少率90.0%
SEK基準は、活性値が3.0より大きいことが条件となります。

抗ウイルスの剤について

抗ウイルス剤は、スパイク部分と遺伝子を破壊することによって感染源を除去することができるそうです。
抗ウイルスの剤には、第4級アンモニウム塩・銀イオン系・TiO2などの光触媒系の3つがあります。

第4級アンモニウム塩とは?
第4級アンモニウム塩は、窒素につながる4つの手が、全て炭素につながっているものです。窒素と炭素がつながっている部分は、液性を酸性に変えてもアルカリ性に変えても切れません。つまり、界面活性剤の本体はイオンのまま。OH-もH+も入れることも出すこともありません。だから、その水溶液は、基本的に中性になります。

ここまで、ざっくり、抗ウイルス・制菌・抗菌防臭加工の違いを書いてみました。随時、記事をアップデートしていきます。

マスクの性能について

マスクをつけることが当たり前になった時代だからこそ、マスクの性能を判断できるようになっておきたいと思いました。マスクの性能を表す指標として、BFE、PFE、VFEの3つがあるようです。
結論をいうと、PFEが高いものを選べば、だいたいのものを飛ばさないし、吸い込まないと思ってよさそうですね。

BFE(Bacterial Filtration Efficiency)/バクテリアろ過効率
細菌を含む約3.0㎛の粒子をどのくらい防げるかを計測した割合。

PFE(Particle Filtration Efficiency)/微粒子ろ過効率
約0.1㎛の微細な粒子をどのくらい防げるかを計測した割合。

VFE(Viral Filtration Efficiency)/ウイルスろ過効率
約0.1㎛~5.0㎛の生体ウイルスを含む粒子をどのくらい防げるかを計測した割合。

CT値とは?

CT 値 ( Concentration-Time Value )は、オゾンなどの物質が菌やウイルスを不活化する(増殖できなくする)力を表すときの評価指標で、オゾン濃度(ppm)と曝露時間(min)の積から算出されます。定められたCT値と、同一のCT値となるようにオゾンを燻蒸することで、除菌・ウイルス除去の効果が得られます。

滅菌の方法

滅菌の方法には、AC滅菌とEOG滅菌の2つ方法があります。

AC滅菌
AC滅菌とは、オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)といい、高温度、高圧蒸気中で加熱し微生物を滅菌する方法です。
滅菌処理に要する時間も短く、高温に耐えうる物体の滅菌には幅広く使われています。

EOG滅菌
EOG滅菌とは、エチレンオキサイドガスを直接流通させて微生物を滅菌する方法です。
AC滅菌と違い低温で処理出来る為、耐熱性のない物質にも対応出来ます。
滅菌処理に要する時間が大きく残存ガスの処理にも時間を要します。

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