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今こそ免疫力アップ!(9)ポジティブな心、前向きな気持ち、感謝と親切

(9)ポジティブな心、前向きな気持ちが免疫力を高めます。こんな時こそ明るく前向きに感謝の気持ちを持って積極的に生きて体温を上げ、免疫力を高めていきましょう!

2020年も最後の月を迎えました。コロナで始まった今年当たり前のことがいかに感謝であるか、そして最近つくづく過ぎ行く時の早さに驚くばかりです。1年の締めくくりの月12月、何かと気ぜわしい時期だからこそ時に流されずに「終わりよければすべてよし」という言葉もあるように、内容の濃い月、意義深い月にしていきたいと思うのです。 
以前友人から薦められて感銘を受けたビジネス書として大ベストセラーの本の一部を紹介します。それは著者京セラの名誉会長でありJAL再建に尽力された稲盛和夫さんの「生き方」という本です。混迷を極め、先行きの見えない不安の時代ゆえに見直すべき内容だと実感します。
皆様はどのように感じられますか?    

生きていくことは苦しいことのほうが多いものです。時には、なぜ自分だけがこんな苦労をするのかと神や仏を恨みたくなることもあるでしょう。しかしそのような苦しき世だからこそ、その苦は魂を磨くための試練だと考える必要があるのです。労苦とは己の人間性を鍛えるための絶好のチャンスなのです。試練を機会としてとらえることができる人―そういう人こそ限られた人生を本当に自分のものとして生きていけるのです。現世とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場である。人間の生きる意味や人生の価値は、心を高め、魂を練磨することにある。
   
生きている間は欲に迷い惑うのが人間という生き物の性(さが)です。ほうっておけば、私たちは再現なく財産や地位や名誉を欲しがり、快楽におぼれかねない存在です。しかしそういうものは現世限りで、いくらたくさんため込んでも、どれ1つとしてあの世へ持ち越すことはできません。この世のことはこの世限りでいったん清算しなくてはならない。その中でたった1つ滅びないものがあるとすればそれは「魂」というものではないでしょうか。死を迎えるときは、現世で作り上げられた地位も名誉も財産もすべて脱ぎ捨て、魂だけ携えて新しい旅立ちをしなくてはならないのです。』   

『嘘をついてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない、正直であれ、欲張ってはならない、自分のことばかりを考えてはならないなど、誰もが子供のころに親や先生から教わった。・・・そして大人になるにつれ忘れてしまうー単純な規範を、そのまま経営の指針に据え、守るべき判断基準としたのです。』

1日1日を「ど真剣」に生きなくてはならないと、私はよく社員にも言っていますが、一度きりの人生をムダにすることなく、「ど」がつくほど真摯に真剣に生き抜いていく。・・・そのような愚直なまでの生きざまを継続することは、平凡な人間をもやがては非凡な人物へと変貌させるのです。

『「プラス方向」の考えは、常に前向きで建設的であること。感謝の心を持ち、みんなと一緒に歩もうという協調性を有していること。 明るく肯定的であること。善意に満ち、思いやりがあり、優しい心を持っていること。努力を惜しまないこと。足るを知り、利己的でなく、
強欲でないこと
などです。

現場で汗をかかないと何事も身につかない。人生では「知識より体得を重視する」ということも大切な原理原則です。これは、いいかえれば
「知っている」ことと「できる」ことは必ずしもイコールではない。』

まず純粋できれいな心を持つことが、人間としての生き方を考えるうえで大前提となります。なぜなら、よい心・・・特に「世のため、人のため」という思いは宇宙が本来持っている「意志」(神様・仏様)であると考えられるからです。この宇宙の意志が生み出す流れにうまく乗れれば、人生に成功と繁栄をもたらすことができる。この流れからはずれてしまうと、没落と衰退が待っているのです。ですからすべてに対して利他の心、愛の心を持ち、努力を重ねていけば、宇宙の流れに乗って、素晴らしい人生を送ることができる。それに対して、人を恨んだり、憎んだり、自分だけが得をしようといった私利私欲の心を持つと、人生はどんどん悪くなっていくのです。
    
よいことと悪いことが織りなされていくのが人生というものです。
だから良いにつけ悪しきにつけ、照る日も曇る日も変わらず、感謝の念を持って生きること。福がもたらされた時にだけではなく、災いに遭遇したときもまたありがとうと感謝する。そもそも今自分が生きている、生かされているそのことに対して感謝の心を抱くこと。その実践が私たちに心を高め、運命を明るく開いていく第一歩となるのだと、私は心に言い聞かせてきました。しかし言うは易く行うは難しで、晴れの日にも雨の日にも変わらず感謝の念を忘れないということは人間にとって至難の業です。
    
『地獄と極楽には同じように大きな釜があり、そこには同じようにおいしそうなうどんがぐつぐつと煮えている。ところがそのうどんを食べるのがひと苦労で、長さが1メートルほどの長い箸を使うしかないのです。
地獄に住んでいる人は、皆われ先にうどん食べようと争っても箸が長いため、うまく自分の口まで運べません。しまいには他人がつかんだうどんを奪おうとケンカになってしまいます。 それに対して極楽では、同じ条件でも全く違う光景が繰り広げられています。だれもが釜の向こう側にいる人の口へ運び「あなたからお先にどうぞ」と食べさせてあげる。またお返しにうどんを取ってあげます。ですから極楽では全員穏やかにうどんを食べることができ、満ち足りた心になれる。同じ世界に住んでいても、温かい思いやりの心を持てるかどうかで、そこが極楽にも地獄にもなる。
それがこの話しが言わんとしていることなのです。
私もこの「利他の心」の必要性を幾度となく社員に対して説いてきました。良い経営を続けていくためには、心の底流に「世のため、人のため」   という思いやりの気持ちがなくてはいけない。
そのことを再三再四強調してきたのです。
『「魂」というものは「生き方」次第で磨かれもすれば曇りもするのです。この人生をどう生きて行くかによって、私たちの心は気高くもなれば卑しくもなるのです。』
                    「生きる/ 稲盛 和夫」より


もう一冊面白い本を紹介します。私たちは誰でも健康になりたいと願っています。そのために食事に気をつけたり、運動を心がけたりするのも大切ですが、もっと簡単な方法があるのです。それが親切であり、ふれあいであり、その結果オキシトシンを出すことです。
東日本の大震災の年には『絆』という言葉が良く叫ばれました。この絆は人と人とのふれあいに他なりません。そのとき脳内や体内で関与しているのがオキシトシンで、いうなれば「体の中の薬」ともいえるものです。今はコロナ禍でなかなか人とのつながりを持つことが難しくなっています。しかし
親切が体にどのように良いのかこの本を通してお伝えいたします。

親切な人は立派な反面、自分のことは後回しという損な生き方なのではと思う方も多いのではないでしょうか。しかしあなたが人に親切にしてあげた時のことを思い浮かべてみて下さい。きっと温かくていい気分になったはずです。この時に生まれるいい気分こそ、ストレスを解消し健康を守るカギになります。このいい気分のもとになっているのがオキシトシンと呼ばれる神経物質です。これは他者とのふれあいによって分泌されます。身体的なふれあいだけでなく、心のふれあいでもよく親切な行いは特に効果的です。このオキシトシンが分泌されると、まず脳内で働いて心を変えることができます。つまり私たちは人助けをしたり、人のために時間をさいたりするだけで幸せで満たされた気持ちになり、心のストレスをなくすことができ、血液中のホルモンになって体に効くのです。

親切や何かの役に立っているという気持ちは、うつなどの病気の回復にも大きな効果を上げており、抗うつ剤より効果があると言われています。
脳のしくみからいえば、幸せになる方法は目標達成や夢の実現によって得られる幸せで、これはドーパミン(神経物質)が関係しています。こちらは得られた時の快感は大きいのですが長続きしません。成功してももっともっとと次の報酬を求め、際限なくエスカレートしてしまい他人との競争が生じ、それが大きなストレスになってしまうのです。一方親切やふれあいから生まれる幸せ感は強烈なものではありませんが、ほんのりと長続きします。成果と無縁で他人との競争もありません。今回取り上げたのは誰もが無理なく確実に幸せになれる方法として、今まさに私たち日本人が必要とするものなのです。ただし注意することは親切をするときに見返りを求めないことです。そうでないとドーパミンが働いてしまうので、本来親切のもたらす効果が得られません。ありがとうを期待しないこと。電車で席を譲ろうとして断られても気にする必要はありません。他人の気持ちに共感し、その人のために親切をするこの時点で心は幸せになり、体にもいい変化が起きているのです。薬と違って副作用がないのですから実行しなければ損というもの。さらにこれは伝染します。人の親切を見聞きすることでも、するのと同じ効果があることがわかっています。ボランティア活動のニュースを聞くとなんとなくいい気持ちになりませんか?
 
また筋肉を動かしただけでも、想像するだけでも脳は変化します。心がけてさえいれば利己的な人も優しくなれるし、不満の多い人も素直に感謝できるようになるのです。親切を実行すれば他の人たちをほんの少しでも幸せにしていくことができ、自分の中のマイナスの感情や心のストレスが消えていくのです。
それではこの親切のもとになる感情に目を向けてみましょう。 
それは情けの心です。これがあれば自然と親切をしたいという気持ちにつながっていきます。仮にあなたが内気でその気持ちを実行に移せなくても、最初は相手の気持ちを考えるだけでいいのです。まずは情けの心を持つことから人は変わっていけるからです。この情けは共感から生まれます。共感とは他者に心を寄せ、その人の気持ちを理解することです。その人に痛みや苦しみがあるなら、同じ立場になってそれを感じようとすることです。一方情けとはそのような痛みや苦しみからなんとか開放してあげたいという気持ちをいいます。他人をいたわるにはまず共感から。共感力を高めれば自然と情けが湧いてきて人に親切にできるようになります。実は私たちにはもともと共感力が備わっているのです。人が楽しそうな時、苦しんでいる時、脳は同調して自分も楽しくなったり自分が苦しんでいる感情が湧いてくるのです。また瞑想は共感力を高め、人生のストレスや緊張を和らげることができます。さらに免疫系や心臓を正常に働かせ、痛みの緩和や老化防止、精神状態全般の改善にも効果があることが分かっています。 このようにして情けの心を持てるようになればマイナスの感情を捨てることができ、さらに免疫力を高め副作用なしに健康を守ることができます。これはつまり上手にリラックスでき、ストレスをためずに暮らすことができるということです。

それでは親切とオキシトシンについて詳しく見ていきましょう。
オキシトシンは幸せ物質、愛情物質と呼ばれることもあり、どんなことであれ、他者とのつながりを感じれば良く、相手がペットでも同じです。誰かに親切なことをした時には、その人との間につながりが生まれるので、お互いにオキシトシンが出てきて相手が目の前にいる時はとりわけ多く出ます。つまりオキシトシンは人との絆のバロメーターでもあるのです。実際日常のストレスを退治してくれる強い味方であり、私たちの健康のカギを握っていると言っても過言ではありません。

具体的にオキシトシンは✿脳のオキシトシンが増えると人を信じやすくなり、ふだん人見知りをする人はこの効果をうまく利用すれば周囲の人と打ち解けることができるでしょう。✿誰かを好きになっても脳と体にあふれおおらかな気持ちで接することができ、ささいなことで怒らなくなり、人にも親切になります。✿恐怖や不安を抑える働きもあります。✿対人関係でストレスを受けやすい人は、人付き合いの能力が高まり、自分を変えることができます。胃腸の働きを促し、食べ物の消化を促進します。✿炎症を抑える働き✿心臓の機能を高める:人との関わりを避けて生きるのは健康によくありません。日々のストレスから逃れるために、一人になりたいと思う人がいますが、皮肉なことに一人でいることが心臓にはストレスになり、孤独に生きている人は心臓病のリスクが高まるのです。従って大切な人や友人と過ごし、出来るだけ人のためになることをしようと心がけることです。✿血管というホースを広げて血圧を下げる✿活性酸素を無毒化してくれるので、動脈硬化を防ぎ、老化防止・アルツハイマー・慢性疲労・パーキンソン病などの病気の予防効果も期待できます。    

オキシトシンを分泌する方法:
親切をする 感動する 感情を表に出す マッサージをする 愛する人と精神的に支え合う、スキンシップをする ハグをする ペットをなでる。つまり愛と親切が健康に与える影響もそれだけ大きく、薄情な人は心臓疾患や免疫低下のリスクが高まるのです。その現れとして結婚している人が独身の人より長生きし、心臓病のリスクが減るほかガンにもなりにくいのです。また仲の悪い夫婦であるほど動脈硬化の傾向が顕著に現れ、血圧は上昇し、免疫力が低下して傷も治りにくくなります。したがって夫婦や友人の支えや他人との絆など精神的な支えのメリットの一つがオキシトシンの作用なのです。しかし現代人の生活スタイルは人を隔離しています。メールを使ったほうが効率的なのですが、コミュニケーションの質、さらには健康を考えれば直接会ったほうがベストです。

ふれあいや親切と密接に関わりのある感謝の効能についても明らかになっています。まず与えられているものに感謝するだけで心身ともに健康になるのです。感謝の態度で思いやりと利他の心が育まれるようになるのです。
感謝できる人はストレスをためにくく、健康に暮らすことができます。しかし恨みを抱えていると、ストレスがたまり悲観的な気持ちになり、無力感に悩まされ、うつになる可能性があり、血圧は上がり心臓病の恐れも出てきます。一方人を許すと憎しみの感情から解放されるため、健康には過去にとらわれないことが大切です。

近年個人主義(利己主義)、成果主義の世の中だからこそ東日本大震災や熊本の震災を通して我々が「親切」「ふれあい」の価値を見直し、実践して心身ともに健康になっていきましょう。

「親切は驚くほど体にいい!/D・ハミルトン(著)有田秀穂(訳)」より



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