私の初恋は幼馴染で年下の君でした… 後篇
私の初恋は幼馴染みで年下の君でした... 後篇
“許嫁の遥香さん” 番外編
「○○、起きろっ!」
その怒鳴るような声で目が覚めた。
○○:父さんどうしたんだよ...
○父:どうしたじゃないっ!!
遥香ちゃんがいなくなったんだよ!!
○○:え...?
父さんから事情を聞くと、
遥香さんの両親が起きたときには
すでに遥香さんはどこかへ行ってしまったそうだ。
遥父:一体どこに...
遥母:いやよ...遥香!!
○母:落ち着いて!きっと無事だから...!
今は信じましょう?
俺の母さんが遥香さんのお母さんをなだめる。
○○:遥香さん一体どこに...
遥父:とりあえず、俺たちで探しに行くぞ
○父:ああ、天気も荒れてきたから
急いで見つけないと...!
○○:だったら俺も...!
○父:お前はここに残ってろっ!!!
父さんの怒鳴り声がコテージ内に響き渡る。
○○:なんでだよ父さん...!
○父:外を見ろっ!こんな荒れた天気なのに
こどものお前ができることはないっ!
怪我するだけだ!!!
○○:だとしても...!!!
ここで指をくわえて待ってることなんてできない!!
親子で口論をしていると、
遥父:○○くんの気持ちは分かる
○○:おじさん...
遥父:だけどね、今の天候じゃあ君まで
怪我をしてしまう可能性がある。
こどもを守るのは親の務めだからね。
わかってくれるかい?
○○:・・・・・
なにも言い返せなかった。
“こども”
この言葉だけで全て抑え込まれたような感覚だ。
○父:そういうことだ○○
お前は母さん達とここで待ってろ。
必ず、俺たちで遥香ちゃんを見つけてくるから
父さんは俺の頭を撫でた。
○父:行ってくる
俺は父さん達の背中を見送った。
カチ...カチ...
時計の針の音だけがコテージ内に響き渡る。
父さん達が遥香さんを捜索に出てから
1時間近くが経過していた。
○○:(遥香さん...)
本当なら今にも飛び出して遥香さんを探しにいきたい。
でも、俺は“こども”
だから助けに行けない...
自分の無力さを痛感していると...
“助けて...○○...”
○○:!!!
どこからか遥香さんの声が聞こえた気がした。
幻聴かも知れない 気のせいかも知れない。
でも、間違いなく遥香さんは助けを求めている。
そう思っていたらいても経ってもいられなかった。
○○:母さんごめん。
○母:○○、どうしたの急に?
○○:やっぱり俺、遥香さんを探しに行く。
そういった次の瞬間
懐中電灯を片手に俺はコテージを飛び出していた。
○母:ちょ、○○?!?!
戻ってきなさい!!
母さんの言葉に耳も貸さず、俺は走り去った。
○○:遥香さーーーーん!!!
どこにいるんですか~~~~!
大声を上げて遥香さんからの返事が来るのを
期待するがこの大雨と強風の音にかき消されて
望みが薄い。
せめて、なにか手がかりがあれば...
なにか、なにかないのか...?!
しばらく道を進んだ先にヒラヒラとしたものが見えた。
○○:これは...花柄?
どこかで見覚えがあった。
○○:まさか...遥香さんが着ていたパジャマの?
って事はこの近くに?!
俺は直ぐにあたりを捜索し始めた。
遥香さんのパジャマの切れ端だけを手ががりに...
――――――――
遥香:さ、寒い...
雨で身体が濡れたせいで体温がどんどん下がっている。
その影響か、身体がブルブルと震えていた。
もしこのまま助けが来なかったら...
一瞬にして、私は最悪の状況が浮かんだ。
お父さんやお母さんに迷惑かけちゃったな...
○○の両親もきっと心配してるはず...
そして、○○も...
会いたいよ...○○
このままサヨナラなんて私、嫌だよ...
次第にまぶたが重くなっていた。
まずい...眠くなってきちゃった...
私、このままここで...
次第に意識が遠のいていく...
...........か......さ......ん...
..る....か......さ...ん...
おかしいな、○○の声が聞こえてくる...
は...る..か.........さん!
○○の声が段々大きくなってくるな...
“遥香さんっ!!!”
遥香:え...?
明るい光と共に、私の目の前に現れたのは
今一番会いたかった人物だった。
遥香:○○...?
○○:はぁ...はぁ...よかった...見つかって
遥香:○○っ!!
私は最後の力を振り絞って○○に抱きついた。
○○:うおっと...
遥香:○○...○○...!!
私は力一杯、○○の事を抱きしめていた。
助けが来た安心感よりも○○に会えたことの
喜びのほうが何倍も嬉しかった。
○○:ちょ、苦しいです...遥香さん...
遥香:あ、ごめんなさい...
私が一度○○から離れると、
先程まで降り続いていた雨はピタリと止んで、
黒い雲の隙間から月の光が差し込んだ。
○○:遥香さんが無事で本当によかった。
その優しい笑顔を見た瞬間、
私の中にあったモヤモヤも消えていた。
33
ああ、そうか...
今分かった。
私は、私は○○の事が...
“好きになったんだ”
ずっと弟みたいに思っていた幼馴染
幼いときからずっと一緒にいて、
一緒に学校に行って
一緒に泊まったりなんかして
ずっと、側にいてくれた君に
ーーーーー
○○:遥香さん、帰りましょうか?
遥香:うん...でも、道分かるの?
○○:ご安心を。立てますか?
遥香:ごめん...足に力が入んないや...
○○:そうですか、だったら
遥香:え?
○○:よっこいしょっと
遥香:ちょっと、○○?!
○○は私をおんぶしたのだ。
○○:しっかりつかまっててくださいね?
遥香:う、うん///
○○が私を背負って歩き始めた。
空には天気が荒れる前まで見えていた星達が
再び輝きを見せていた。
遥香:○○:重くない?
○○:大丈夫ですよ。
遥香さん意外に軽いんで。
遥香:ちょっと、一言余計
○○:あはは、ごめんなさい...
まったく、いつの間にこんなに逞しくなって...
遥香:あのね、○○?
○○:なんですか?
遥香:私、○○の事が...す
“おーーーーーーいっ!!!”
私の言葉を遮るように聞き覚えのある声が
響き渡った
遥香:この声は...
○○:父さんの声だ...
めちゃくちゃ怒られるんだろうな...
声のする方に向かうと両親達が直ぐに
駆け寄ってくれた。
○父:このバカ息子がっ!!!
○○:ごめんなさい父さん...
○父:....無事で良かった。
そして、よく遥香ちゃんを見つけてくれた。
○母:○○っ!!
○○の両親は○○を優しく抱きしめた。
遥母:はるかっ!!
遥香:お母さんっ!!
遥父:よかった、本当によかった...
私も両親に抱きしめられると同時に
気を失うように眠りについたのであった…
ーーーーー
翌日、帰り道での事
遥父:しかし、昨日の〇〇くんの行動力には
驚かされたよ
〇父:ほんと、世話のかかる息子だよ
〇母:でもあの子のおかげで遥香ちゃんも
無事だったんだからいいじゃない
遥母:そうね、それに遥香もずいぶん〇〇くんに
惚れ込んでるみたいだし…
そう言って両親たちが後部座席を覗くと
仲良く手を繋ぎながら眠りについている
〇〇と遥香の姿があった
遥父:なぁ、そろそろ2人に話してもいいか?
〇父:"あの件"のことか?
遥父:あぁ、今の2人を見てようやく決心がついたよ
〇母:それって2人が酔っ払ってた時に決めた
あの話のこと?
遥母:え〜もう話ちゃうの?!
とある話で盛り上がる4人
遥父:いずれ伝えようとは思っていたんだ
早いほうがいいだろ?
〇父:そうだな
それなら夏頃に伝えようか
どんな反応するか楽しみだな笑笑
これが後に2人の運命を大きく帰る
あの約束に繋がるのであった
完
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