私の初恋は幼馴染で年下の君でした… 中篇
“許嫁の遥香さん” 番外編
数日後
夕日が差し込む頃に私たちは山奥にある
キャンプ場にやってきた。
○父:○○~これ運ぶの手伝え~!
○○:わかったよ
遥父:男共は力仕事だからな~
頑張れよ○○くん!
○○:が、頑張ります・・・
○○はお父さん達と力仕事の手伝いをしていた。
遥母:遥香~私たちは料理の下準備するよ
遥香:はーい!
○母:遥香ちゃん家でも料理手伝ってるんだって?
偉いわね~!
遥香:いえいえ!まだまだ修行の身なので。
○母:それに比べてうちの息子ったら...
ずっとサッカーしかやってこなかったから心配で...
遥香:○○なら大丈夫です!
また私が面倒みてあげるので!
○母:あら、頼もしいわね!
遥母:とか言って、遥香が○○くんに面倒を
みられることになったりしてね笑
遥香:ちょっとお母さん?!
お母さん方と楽しく話していると、
○父:こっち終わったぞ~!
○母:お疲れ様~
じゃあ次はバーベキュー用の火起こしお願いできる?
○父:はいよ!○○手伝え~
○○:へいへい
遥父:頑張れ○○くん!
働かざる者食うべからずだよ!
○○:は、はい…
○○はお父さん達に振り回されていたのだった。
―――――――
ジュ~~~
肉が炭火で焼かれる音がキャンプ場に響き渡っていた。
遥香:○○~お肉頂戴~!
○○:は~い..
○父:○○もどんどん食べてけよ
まだまだ食材はたくさん残ってるんだから!
○○:わかってるよ
○○は調理役を一旦やめて、
お皿をもって私の隣に座ってきた。
○○:ふぅ~、疲れた...
遥香:お疲れ様○○!
○○の焼いてくれたお肉美味しいよ!
○○:それはよかったです
遥香:なんか小学校の時の自然体験教室を
思い出すな~
○○:確かにそうですね
懐かしい感じがするというか...
遥香:私は○○と行きたかったのにな~
なんで5、6年生合同とかじゃなかったんだろう...
○○:まあ、6年生は修学旅行がありますからね笑
遥香:修学旅行も○○と行きたかった!
○○:こればかりは仕方ないですよ
俺たちには1年の差がありますから...
遥香:はあ...
○○と同じ学年がよかったな~ボソッ
○○:ん?何か言いました?
遥香:なんでもない!
ささ、お肉まだあるしいっぱい食べよ!
私と○○が楽しそうに話しながら食事する風景を
横で見ていたお母さん方は...
○母:ほんと、遥香ちゃんと仲いいわね
それに2人とも楽しそうでよかったわ
遥母:そうね~
この1年、本当に大変だったんだから…
○母:あら、何かあったの?
遥母:多分だけど、○○くんと離れた事が
あの子には少しだけ寂しかったみたい...
○母:寂しい?
遥香ちゃんが?
遥母:あの子、家でも○○くんの話しかしないのよ
小学校の時なんか毎日凄かったわよ
○母:そんなことが...
遥母:それが中学に入ったらばったりと止まってね
○○くんと会う機会も少なくなってきちゃって、
もちろん元気なことに変わりはなかったけど、
どこか物足りなさを感じてたわ...
○母:私たちの知らないところで遥香ちゃんの中で
○○の存在が大きくなっているのかしら...
遥母:そうかもしれないわね
入学式の日なんて本当に嬉しそうな表情してたんだから
○母:確かに
あの日の遥香ちゃんはいい笑顔だったね
遥母:だからね、もしかしたら近いうちに話すかも...
○母:なにを?
遥母:2人の今後について大事なお話・・・
――――――――
バーベキューを終えた一行は後片付けを済ませて、
今日泊まる予定のコテージへとやってきた。
遥香:わあ!すごいきれい!
遥父:今日はここに泊まるからな
こっちが俺たちで隣が○○くん達だから
○父:じゃ、とりあえず荷物置いてくるか
風呂も備え付きだし○○先入るか?
○○:そうするよ。
汗でベトベトだし...
遥香:○○が入るなら私も入ろうかな?
遥母:じゃあ先に入ってきなさい
遥香:わかった~!
一旦、それぞれのコテージに向かった後、
お風呂を済ませてからは自由時間となった。
○父:じゃあ○○
俺たちは遥香ちゃんのお父さん達と晩酌楽しんでくる
からお前も遥香ちゃんと過ごしてな
○○:は~い
○父:あ、間違っても襲ったりするなよ?
○○:しないよ!!
○父:なら安心だ!
じゃあまたあとでな!
○母:ちゃんと戸締まりはしっかりしてね?
○○:は~い、楽しんできて~
父さん達が出て行った後、
入れ替わるようにして遥香さんがやってきた。
遥香:やっほ~○○///
○○:遥香さん...あれそのパジャマ...
遥香さんは花柄が施された白いパジャマを着てきた。
遥香:ど、どうかな?似合ってる?
○○:似合ってますよ
遥香:あ、ありがとう♪
(実はこの日のために新調したなんて
恥ずかしくて言えない//)
モジモジとしながらベッドの上にちょこんと座る
遥香さん。
○○:あれ?顔赤くないですか?
遥香:へ?!
あ…それは、風呂上がりだから!
○○:あ、それもそっか
遥香:(もう~~~恥ずかしくて顔見れないよ///)
○○:本当に大丈夫ですか?
遥香:う、うん!大丈夫だから!
○○:ならいいんですが...
まずい…
こうして○○と二人きりで話すのなんて久しぶりだから
なんだか緊張してしまって...
遥香:ま、○○さ!
中学校の生活はどう?!
○○:まあぼちぼちですね
勉強もなんとかついて行ってるって感じですし
遥香:そ、そっか...!
○○:まあ、やばくなったら遥香さんに
教えてもらおうかな?
遥香:へ?私に?!
○○:だって遥香さん俺より頭良いから…
遥香:ふ、ふ~ん
○○はそう思っててくれてるんだ~
私は嬉しさのあまり、
ニヤニヤが止められなくなっていた。
そして、恥ずかしさを隠すあまり...
遥香:もう!照れるじゃん○○ったら!
思わず手の届くところにあった枕を○○に投げつけた。
それは見事に〇〇の顔面に的中してしまったのだ
○○:ブッ!!!
遥香:あ!○○ごめん!!!
大丈夫...?
○○:いきなりなにするんですか遥香さん...
遥香:ごめんね!怪我してない?!
○○:あ...
遥香:あ...///
顔を近づけてきた遥香さんと至近距離で目が合う。
○○:・・・・・
遥香:・・・・・
お互いに無言で見つめ合っていた...
あれ、私なんでこんなにドキドキしてるんだ?
この時私は自分の胸の鼓動がものすごく速くなっているのを感じていた。
遥香:ご、ごめん!!
恥ずかしさのあまり、顔を背けた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!
なんなのこれ?!?!
○○の顔を直視できない~~~~~!!!
○○:だ、大丈夫ですか遥香さん...
遥香:だ、大丈夫!大丈夫だから~!!!
私の叫び声は隣のコテージにいた両親達にも
聞こえていたらしい・・・
―――――――
遥香:(はぁ、どうしちゃんったんだろう私...)
その夜は中々寝付けなかった。
○○と二人きりで過ごしたあの時間の記憶が
今でも脳裏に焼き付いて離れない。
遥香:ちょっと外の空気吸ってこよ
私は隣で寝ている両親達を起こさないように、
そっと抜け出した。
遥香:すご~い、星がきれい...
夜空に広がる無数の星達を眺めながら歩いていた。
その中でふと、考え事をしていた。
私、○○の事、どう思ってるのかな?
彼と過ごした日々はどれも楽しくて
笑いが絶えなくて、決して色あせない思い出ばかり
遥香:もしかして私、○○の事...
次に口からでる言葉を発しようとしたその時、
遥香:あれ?ここどこ?
気がつくと見たことない風景が広がっていた。
あたりを見渡しても暗闇に包まれて何も見えない。
不安を煽る様にして強い風が吹き始め、
木々の葉たちがギシギシとしなるような音を
立てている。
遥香:どうしよう...帰れなくなっちゃった...
さらに悪い状況は続く
ポツ、ポツ
頬に冷たい感触が広がる、雨だ。
その雨脚は次第に大きくなっていく。
遥香:もう最悪っ!!
私は急いで来た道を走った
すると、洞窟のような大きな穴を見つけた
遥香:とりあえずここに避難しよう...
洞窟に身を隠した私だったが雨で全身はびしょびしょ
せっかく買った新しいパジャマも泥まみれに
なっていた
遥香:あ、せっかく買ったのに破れている...
はぁ、これからどうしよう...
一気に孤独感に襲われる。
どうしよう...寒い...怖いよ..
助けて、○○...
後編へ続く
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