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#ネタバレ 映画 「のんちゃんのり弁」

「のんちゃんのり弁」
空気もお金で清算できる
2009-10-07 17:08byさくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

ある趣味の品を探していたら、知人の紹介で手に入ることになりました。運搬の日、仲介に入ってくれた知人は「不用品だからタダでも良いんだけど、日当分ぐらいは、あげたほうが良い」と親切に教えてくれました。

私は、相手と、仲介をしてくれた知人にも、日当分ぐらいの現金でお礼をしました。二人とも大変に喜んでくれました。こちらも気持ちよく物を頂きました。あの時タダでもらったら、いつまでも借りが出来たような気分になっていたでしょう。

前置きが長くなりました。

映画の終わりごろ、一人、ととや、で料理をする小巻の元へ、母が手作りの弁当を置いて行きます。弁当を食べる暇も無いほど忙しいだろうからと、置手紙も付けて。

しかし、その弁当を見た小巻は高笑いをするのです。小巻から見れば、料理下手の母が作った弁当など笑いものなのでした。あれは不愉快な笑い声でした。

でも、母は笑われることは承知で弁当を持参したのです。それでも娘に食べてもらえればと、いいえ、食べるものは母のものでなくても、小巻の作った食事でも良いんです。食事をちゃんと食べてくれれば。そんなふうに娘の健康を思っていたのでしょう。小巻が娘の のんちゃんに対する愛情と同じなのです。でも、KYの小巻には理解不能でした。

そして、その後、のんちゃんの通う幼稚園で弁当ではなく給食が始まったようです。理由は語られません。でも、料理上手の小巻の弁当がきっかけで、子どもたちが弁当競争に突入した可能性も考えられます。

小巻の母のように料理下手な母を持つ子どもは惨めな思いをしたのかもしれません。先生たちはそれを察知し、給食にしたのでしょう。

なのに、のんちゃんが「給食がまずかったらお母さん(小巻)の、のリ弁を食べに来ても良い?」と言うと、「良いよ」と答えたのです。

そんな我がままを許してはいけません。子どもには「皆と同じものを食べなさい」と諭す必要がありました。のんちゃんはイジメの対象になる恐れすらあります。

ラストからして前途多難が暗示されましたが、全編を通してみてもKYぶりが、あちこちに出てきます。そして、そのエピソードに、さりげなく巧妙に「お金」がからむのでした。

そこで小料理屋のおやじが言うように、ちゃんとお金の受け渡しをすることは悪いことではないのです。むしろKYが察知することが苦手な空気さえも清算してくれるのでした。

★★★☆


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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