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#ネタバレ 映画 「ハラがコレなんで」

「ハラがコレなんで」
産まれてくるのは絆である
2011-12-03 10:39byさくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

「 私自身は押し寄せる津波のニュースをなすすべもなく見つめていたことをおぼえております。そのときからずっと、私は愛する人々を失くした家族の痛みと苦しみ、生活基盤を失った人々、人生が完全に変わってしまった若者たち、そして大災害から復興しなければならない日本国民に対する私の深い同情を、直接お伝えできる日を待ち望んでまいりました。いかなる国の国民も決してこのような苦難を経験すべきではありません。しかし仮にこのような不幸からより強く、より大きく立ち上がれる国があるとすれば、それは日本と日本国民であります。私はそう確信しています。・・・中略・・・ 

皆様、日本および日本国民は素晴らしい資質を示されました。他の国であれば国家を打ち砕き、無秩序、大混乱、そして悲嘆をもたらしたであろう事態に、日本国民の皆様は最悪の状況下でさえ静かな尊厳、自信、規律、心の強さを持って対処されました。文化、伝統および価値にしっかりと根付いたこのような卓越した資質の組み合わせは、我々の現代の世界で見出すことはほぼ不可能です。すべての国がそうありたいと切望しますが、これは日本人特有の特性であり、不可分の要素です。このような価値観や資質が、昨日生まれたものではなく、何世紀もの歴史から生まれてきたものなのです。それは数年数十年で失われることはありません。そうした力を備えた日本には、非常に素晴らしい未来が待っていることでしょう。この力を通じて日本はあらゆる逆境から繰り返し立ち直り、世界で最も成功した国のひとつとして地位を築いてきました。さらに注目に値すべきは、日本がためらうことなく世界中の人々と自国の成功を常に分かち合ってきたということです。」

( 2011.11.17 日本の国会でブータン国王陛下が行った演説より 抜粋 )

本当に感動的で、ありがたいお言葉でした。

確かに東日本大震災で私たちは沢山のもの失いました。人も物も・・・でも、来日したブータン国王陛下始め、世界の人々が感動されているように、その後には、日本人のDNAに眠っていた良き資質が目覚め、宝石のごとく輝いたのです。

映画「ハラがコレなんで」の前半で語られる、プライバシーが無い代わりに人情いっぱいの長屋物語。あの大家のおばちゃん清が言ったセリフ、「お金も何も無くしちゃったら、あとは人情(絆)で粋に生きてゆくしかないじゃないか」(トータルな意訳です。)の延長線上には、東北の人が今回避難所で見せた生き様があるような気がしています。

だから映画のラストでは、妊婦の原は皆を連れて福島へ行ったのかもしれません。そして彼女がそこで産み落としたのは、男、女、いいえ絆という赤ちゃんだったのでしょう。

今後、被災された人の中からも沢山の赤ちゃんが誕生することでしょう。その赤ちゃんたちは被災で絆の大切さを心に刻んだ親御さんによって教育され、やがて大人になり全国に活躍の場を広げていった時には、日本がさらに良い国になることに貢献してくれると思います。

この映画の主題は「風向きは変わるものである」だと思います。原のお腹の子供も、逆子になったり、戻ったりと動いていました。あれもモチーフの一片なのでしょう。これから東北地方にも良き風が吹いてくることを祈ります。

年末になると、小品であってもよいので、この一年を締めくくる、聖的で感動的な映画を、来年への力の湧いてくる(第九シンフォニーみたいな)映画を、一本を観たいと思うのですが、映画「ハラがコレなんで」は、まさにその目的に適う珠玉の一本でした。仲さんの快演もOKです。

★★★★☆


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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