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#ネタバレ 映画「わたしに会うまでの1600キロ」

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

「わたしに会うまでの1600キロ」
2014年作品
人と暮らすために一人になる
2015/9/6 9:15 by さくらんぼ

先日、突然、親族が亡くなり、ショックで呆然とする中、深夜、少し震える手であちこちへ連絡をしました。

翌日、葬儀業者と打ち合わせをして、役所へ死亡届を出し、あわただしくお通夜、お葬式があって、その後に、みんなで火葬場へ行きました。

火葬の間は、予約してあった待機部屋で1~2時間待ちました。部屋は清潔な和室で眺めもよく、しかも必要なアナウンスしか入らないので、静かで落ち着けました。お茶も、お菓子も、食事も、酒も、注文すれば何でもすぐ手に入ります。

皆、久しぶりに会した親族同士、静かに話をしていました。

そんな時、私は「トイレ」と言って一人抜け出し、ついでに表に出て深呼吸をしました。線香とも、煙ともしれない、微かなにおいがしました。あちこちに、1人でタバコを吸っている喪服の人たちがいました。

そうやって、15分ぐらい、ぼんやり風にあたり、空や緑を眺めてから部屋に戻りました。それで、やっと皆との会話に加わることのできる元気が充電できました。

映画「わたしに会うまでの1600キロ 」の主題は、要するに、そう言うことなのだと思います。

私は1~2時間分を15分間で充電しました。

シェリルはこれからの半生ぶんを1,600キロで充電したのです。

私が経験した葬儀も、シェリルが経験した人間関係のゴタゴタも、人間界に暮らすからこそ、の出来事だったのですから。

★★★★

追記 ( デリカシーを持つ女子プロレスラー ) 
2015/9/6 9:22 by さくらんぼ

映画「わたしに会うまでの1600キロ」では、冒頭から象徴的な出来事が語られました。

シェリルは小さな靴を履いていたため、足を痛め、山道で足のケアをしているときに、誤って靴を崖下に落としてしまいました。そのため、足にタオル等をまいて草履にし、やっと次の宿場までたどり着いたのです。

そのとき、宿の主は、シェリルに瓶ジュース(たぶん有料)のようなものを差し出します。これは優しさでくるんだ商売っ気です。

いわば人間界の、抜け目のなさ、の記号。だから、シェリルは即「いらない」と断ります。まだ、足の痛み(まだ癒されていない心の記号)は、その商売っ気を苦笑しながら甘受するだけの、ゆとりがなかったのですね。

そんな人間不信のシェリルも、靴を履きかえ、1,600キロを歩いた後は、幸せな結婚まですることができました。

ところで、映画のラストに、実在のシェリルの写真が出てきます。

美しいですが、甘えっ子的な映画の主役よりも、肝っ玉の据わった面構えをしていました。女子プロレスの選手でも通りそう(失礼)。しかし、そんな中にも、微かに若い女性らしい雰囲気もあります。

これ、どっかで見た顔だと思ったら、私がかつて振られた女性に、どこか似ていました。いえいえ、女子プロが私好みの顔では無く、私が恋した女性が、たまたま、そんな顔をしていただけです。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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