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#ネタバレ 映画「小さいおうち」

「小さいおうち」
2014年作品
タキの涙
2014/2/8 11:32 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

耳が聞こえない作曲家が交響曲を作曲し、現代のベートーヴェンと言われていた。あの曲を偶然に聴く機会があって、それ以来良い曲だなぁと思い、新聞広告などを見るたびに、買いたいと思っていた。でも、結局買わなかった。理由は、新聞等に載っていた彼の写真が雰囲気抜群でカッコ良すぎたからです。

作曲の才能で勝負している人は作曲以外には気が回らなくて当然だと思っていました。なのに、その出来すぎた雰囲気に、この様な表現が適切かどうかは分からないけれど「どこか直感的な微かな違和感」を感じたのです。ある意味アイドル。だから躊躇し、購入決断までには至らなかった。

私は今まで、本物か否かを鑑定するのに、科学的根拠や理路整然とした理由が無いのは理解できない、との気持ちを持っていましたが、自らの直感や美的感覚も利用できるのかも知れないと、少し考えてしまう出来事でした。

当面あの交響曲は、CD販売や演奏会の中止などに追い込まれるのかもしれませんが、後世、いつか、きっと再評価がされることでしょう。芸術そのものには罪がありませんからね。それを闇に葬るのは人類の損失です。再評価の時は今回のゴーストライターの騒ぎも、逆にトリビアとして販売促進に利用されたりして・・・。

ところで、映画「小さいおうち」のラスト、タキが「自分は長く生き過ぎてしまった」と、さめざめと泣くシーンがありました。万感の想いが込み上げてきたのでしょう。その中には、かつてタキが、命がけで秘密にした事を、いつのまにか自伝として出版できる時代なってしまった事への、時間への想いがあるはずです。

iPS細胞は見つかったけれど、長生きする事が哀しいのはなぜでしょう。長寿がうれしい時代が来て欲しいものです。

映画は淡々と過ぎるきらいがあります。もう少しクライマックスが欲しい作品でした。

★★★★

追記Ⅱ ( 三女優を愛でる至福の映画 ) 
2014/2/16 17:33 by さくらんぼ

いきなり、話が横道にそれてしまって、映画の本体のレビューがいつも以上に少なくなってしまいました。それで、せめて、三女優の話だけは追記したいと思っていたところ、ベルリン映画祭で黒木華さんが女優賞「銀熊賞」を獲得したとのニュースが入ってきました。おめでとうございます。

でも、正直「しまったなぁ」と思いました。今さら書いても「受賞したから書いた」と思われるのが落ちだからです。いや、いや、そうではないのです。木村文乃さん、黒木華さん、松たか子さん、の三女優は、私の好みとばっちり一致していたのです。この三人なら、だれから「結婚を前提にお付き合いして欲しい」と言われても、問題ありません(冗談です)。でも、それぐらいのファンです。そんな女優の贅沢三昧映画でありました。

追記Ⅳ ( 日の丸 ) 
2014/3/4 21:49 by さくらんぼ

映画の中にたくさんの 白地に赤く のシーンが出てきます。

雪原を走る赤い電車。モノクロの画面の中の赤いハチマキ。少女の白いコートと赤いマフラー。妻の赤いちゃんちゃんこ。等 これらは日の丸をシンボル化したものだと思います。たくさんの日の丸がそれとなく挿入されています。

この映画は戦後の日本を復興させるために身を粉にして働いた人たちと,その影で犠牲になっていった家族たちへの鎮魂歌だと思います。

〔 2001/1/7byまちのひ(さくらんぼの旧H.N.)の、映画「鉄道員(ぽっぽや)」レビューより抜粋 〕

そして映画「小さいおうち」も、あの赤い屋根のモダンな家が日の丸の記号だと思います。どなたかが、おうちを小宇宙にたとえていらっしゃいましたが、その通りだと思います。あれは日本の縮図かもしれません。

そこから裏に描かれているものを推察すると・・・

不倫とは侵略戦争の記号でしょうか。他人のものを欲しがってはなりません。

田舎から出てきた娘は、主から不倫を黙認するように教育されます。侵略戦争に疑問を抱かないように教育された国民に重なります。

しかし、娘は、最初は黙認していても、最後には、自らの意思で、手紙を渡さないという行動にでて、不倫反対を表明するのです。

これは戦後、価値観が一転した事を描いているのでしょうか。

でも、彼女の心にも・・・・

すでに書いたとおり、受賞作でありましたが、私にとっては、淡々としすぎており、面白い映画ではなかったので、あまり深入りする情熱はありません。

でも、監督が言わんとしていることは、これで、当たらずとも、遠からず、といったところかもしれません。

当時の都会の生活程度が意外と高かったのは、映画にはまったく出てきませんが、学校給食の比較でも分かります。

ネット上にも、写真が多数ありますので、一度検索してみるとおもしろいです。戦前の学校給食は、現在の学校や、家庭で食べても充分にご馳走です。

でも、戦中、終戦直後には無残に貧しいものになります。また、戦争と関係が有るのでしょうが、現在の家庭の食事も、別の意味で、文化破壊とも言えるほどの、もあるようです。

これはお金(食費)の問題ではありません。エサと料理は違うのですが、ときにエサと言ったほうが相応しい、愛情の感じられない、また文化色の消えたメニューが出てくるのが問題なのです。

エサは動物が喰らうものであり、人間様が食すると、愛情の欠乏感が生まれ、食しても、食しても、飢え続けるのです。逆に、愛情のこもった料理を食べると、幸福感に満ち、生きる力がわいてくるのです。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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