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#ネタバレ 映画「殿、利息でござる!」

「殿、利息でござる!」
2016年作品
自爆するより知恵を使え!
2016/5/22 7:31 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

映画「千と千尋の神隠し」映画「ジゴロ・イン・ニューヨーク 」映画「ふしぎな岬の物語」などを覚えていると思います。この映画「殿、利息でござる!」はその延長線上にある作品のようなのです。

共通点は「世界を暴力で脅かしている○○原理主義者たちに物申す映画」だと思います。

映画「殿、利息でござる!」は、「重税に苦しむ宿場町で、かき集めた大金を藩に貸し付け、逆に藩から利息を取って、皆の生活を楽にした知恵者の物語」です。

藩に直訴すると死罪を覚悟の時代なのです。実際、この映画でも、直訴しようとした主人公が知恵者の機転により命拾いするシーンがあり、これが映画の主題だと思います。つまり「自爆するより知恵を使え!」と言うわけです。

あの当時には、このアイディアだけでもビックリものですが、それを現実化した民衆の行動力、政治手腕は凄いとしか言いようがありません。彼らの行動は、現代でも「市民運動」や「仕事の進め方」に、とても参考になるものです。

この奇想天外な物語は、磯田道史さん著書「無私の日本人」に収められているもので、驚くことに江戸中期に仙台で起きた実話なのです。当時は「右の手のすることを左の手に知らせてはならない」(マタイによる福音書6:1~4)、みたいに封印されたのですが、地元のお寺さんが詳細に記録していたため、後世に伝えられたわけです。

ちょんまげがコインになっている映画のポスターが漫画みたいなのでいけませんが、この作品も「今年の収穫」です。

忘れてはいけません。羽生結弦さんが麗しいお殿様になってラストに出てきます。短時間ですが良い役をもらっていて印象に残ります。おばさんたちの歓声があがったのは言うまでもありません。

★★★★★

追記 ( 大人の話の持って行き方 ) 
2016/5/22 7:44 by さくらんぼ

この映画の見どころは「三歩進んで二歩下がるみたいな、大人の話の持って行き方」です。いくら良いアイディアでも「単刀直入に話しては、伝わるものも伝わらない」ことがありますから。それがこの映画を観ると勉強になります。これは現代でも万事に応用が利くことです。

追記Ⅱ ( 役場の借金話 ) 
2016/5/22 9:36 by さくらんぼ

こんな話を聞いたことがあります。

「たぶん祖父母か曾祖父母の時代、予算不足の田舎の村役場が、ある村民からお金を借りたのだそうです(寄付だったのかもしれない)。その借用書には『もし今後、あなたの生活が困窮した場合には、役場が生活の面倒をみる』との趣旨の文言が書かれていたそうです。利息の事は知りません。これは生活保護制度など無い時代の話です」。

ですから、藩はどうかしりませんが、役場が住民からお金を借りるのは、案外珍しいことでは無かったのかもしれません。

ちなみに、この話には後日談があります。

「たぶん『○○家にはお金がありそうだ』との噂が広まったせいで、村民から借金の連帯保証人を頼まれ、とうとう〇〇家は破産するはめになったそうです」。

追記Ⅲ ( 農耕民族は配当が好き ) 
2016/5/22 10:01 by さくらんぼ

金融商品でも「毎月分配型」が日本では人気です。

商品によっては「たこ足分配」も有るとか、「配当すると成長スピードが鈍る」とか、いろいろ異論を唱える方もいらっしゃいますが、それでも人気が衰えないのは「利息を刈り取る農耕民族のDNAにフィットした」からでしょう。

昔、ある証券マンだった方の本を、読んだことがありますが、その「生き馬の目を抜く」様な世界を、若くして卒業された方も、やはり、自分で各種の高配当な金融商品だけを組み合わせ、日々売買に神経をすり減らさなくても良いような、「毎月分配型の個人年金」を作っていたのが印象的でした。

追記Ⅳ ( 「長命うどん」 ) 
2016/5/27 10:07 by さくらんぼ

>忘れてはいけません。羽生結弦さんが麗しいお殿様になってラストに出てきます。短時間ですが良い役をもらっていて印象に残ります。おばさんたちの歓声があがったのは言うまでもありません。

お殿様は、お金の貸し付け騒ぎで、多額の財産を放出した酒蔵を気にかけました。そして直々に「新酒の命名」をし、「これなら売れるはず!」と、宣伝・再起に力を貸したのでした。

この様に「お殿様が命名する」と言う話は、他にもあったのですね。

名古屋を中心に商いをしておられる「長命うどん」さんも、その昔「名古屋市長」から名を授かったようです。

「 『長命うどん』の由来

大正時代、名古屋の開発事業の一環として堀川開発事業がありました。堀川の運河に橋をかけて人の行き来を活性化することを目的としてものです。その時にかけられた橋の一つが知らない人の方が少ないであろう有名な『納屋橋』。

その開通の式典として橋渡り式というものが執り行われたのです。橋渡り式では、3代夫婦で家業が続いた縁起の良い夫婦が最初に渡るという習わしがあり、その一組に選ばれたのが初代のご夫婦でした。

その時、名古屋市長から『長命』の名を授かった事から『長命うどん』という名前が誕生したのです。 」

( 参考:ホームページ「長命うどん本店」

ちなみに「堀川」とは名古屋城建設のために掘られた運河です。

近年は、水も意外ときれいですよ。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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