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#ネタバレ 映画「4分間のピアニスト」

「4分間のピアニスト」
2006年作品
みんな正当な評価を望んでいる
2007/12/15 17:09 by 未登録ユーザ さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

刑務所へピアノを運び入れる運送屋?の男たちは大きな罪を犯した前科者でした。刑務所の入り口で「あんたはあの男たちが何者か知っているのか?」と言って、刑務所内へ入れるのを門番は拒みました。そんな押し問答が複数回出てきましたね。

でも、あの男たちは、今は改心して真面目に働いているようでした。門番は男たちが前科者だということは知っていましたが、改心している事は知りませんでした。人を本当に知る事は難しいのです。

でも、人は誰でも自分を正当に評価してもらいたいと思っているものなのです。監守もそうでした。そして正当に評価をしてもらえるならば、誰にでも好かれると思いたいものなのです。好かれないのは正当な評価がないからだと。

追記 ( 白熱電球は嗜好品として生き残ってほしい ) 
2015/12/6 21:45 by さくらんぼ

よくオーディオの世界では「真空管は音楽を聴くために生まれたが、トランジスタはコンピューターを作るために生まれた」と言われています。つまり、コンピュータ様のために人間が我慢を強いられた。そう言いたくなるほど初期のトランジスタアンプの音には潤いがなかったのでしょう。

似たような事はLPからCDに移行した時期にも疑似体験できました。初期のCDプレーヤーはLPのような潤いのある音を再生することが苦手でした。LPマニアの多くは聴いて愕然としたのです。華々しい宣伝文句とは裏腹な音に。

だからマニアの中には、一計を案じ、押し入れにしまってあった、若き日に自作した真空管アンプを取り出し、ホコリを払ってCDプレーヤーにつないだ人もいたのです。結果は大満足だったようです。そして現在でも真空管を珍重している人が大勢います。発熱や消費電力の多さを我慢しながら。

そして2015/11/26の朝日新聞には「白熱灯・蛍光灯 実質禁止」との見出しが躍っていました。 LEDへの移行を促すために、2020度をめどに、それらの製造・輸入までを禁止するのだそうです。ここでも「白熱電球は光を得るために生まれたが、LEDは省エネのために生まれた」と言えるのではないでしょうか。

ちょうどタイムリーにも私のマイブームはランプでした。1年ほど前から、いろいろな色や大きさのLEDや白熱電球を試用しています。

そして、つい最近、リサイクルセンターで小型のデスクランプを手にいれ、付属の20ワット白熱電球の濃厚な発色にため息をついたばかりなのでした。たとえ20ワットでもデスクランプなら十分な光量があります。

白熱電球は、光に隠し味のように「赤」の成分が多く含まれているのです。私が子どもの頃の自宅には、蛍光灯もLEDもなく、夜になると白熱電球の光の下で暮らしていました。白熱電球は白ではありません。あの光は女性の頬紅のようにうっすらと赤かったのでした。

まるで生きていて血液が通っているように艶めかしい光。純粋すぎない有機的な赤(どこか真空管の輝きのある音にも似ている)。みんな、あの「赤」に包まれ、慰められて、戦後の闇を生きていたのです。あの「赤」こそが白熱電球の栄養素なのです。

試しに電球をLEDに取り換えると、辺りが「白」い光に変わり情緒感が消滅します。まさに白々しい雰囲気になるのです。もちろんLEDにも電球に近い色のものがありますが、気のせいか微妙に何かが違う気がします。

それに、すいこまれる様に美しい、街中にあふれる青色LED(ブルーライト)は、その魅力と目的に反し、見つめると目に良くないらしいです。

お叱りを受けるのを承知でクラシック音楽に例えると、白熱電球はセクシーなモーツァルトで、LEDは脱脂したようなハイドンでしょうか。

やがては技術革新が、そんなLEDの欠点をも消して行くのでしょう。そして私が白熱電球の「赤」を忘れかけていたように、人間側も白熱電球の良さを忘れていくのです。

ほんの一握りの人しか使わぬ嗜好品のためか、現在は真空管の輸入は禁止されていませんが、白熱電球は輸入も禁止するのだそうです。

(2023.10.8追記) 上記の白熱電球に対する政府の方針は、記事を書いた時の私の認識です。最新の政府の方針は確認しておりませんので、ご注意ください。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)

https://note.com/aozora7kumo7kaze

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