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日本現代うつわ論、『死んじゃいけない星』

『日本現代うつわ論』という本を2021年から作っている。
長くなるので端折って書くけれども大槻香奈さんが「わたしが作品に描いている物事を言語化しないといけない。『うつわ』という感覚を本にしたい」と言い出したのがきっかけだった。「あぁそれは面白そうですね、本作ったことないけど、僕本好きだし手伝いますよ、なんとかなりますよ」とノリと勢いでスタートして年に一冊、既に三冊発刊している。詳しくは内容については下記リンク先の巻頭言にて。

https://note.com/kanaohtsuki/n/n8bae9370604c


「ゆめしか出版」というチームを作り、デザイン担当にナツメミオさん、そして制作メンバーとして画家の池田はるかさんも加わり、コツコツと作ってせっせと販売している。公開されている巻頭言の通り、日本的な感性のとある領域を「うつわ」という概念で捉え直す試みは、既に大槻さんの個人的感覚から大きく拡がり、とても面白い展開を見せている。
普段関わりのないアーティストの方々と繋がったり、そしてそのアーティスト同士での交流が始まったり、この本が届いた先から様々なリアクションを頂くこともある。2022年には白白庵で展覧会もさせてもらった。『日本現代うつわ論 2』は僕が企画して、ほとんどメディアに露出しないworld's end girlfriendのインタビューも熱意だけで収録させてもらった。いちファンとして嬉しい出来事。

大人になってからこうした活動を始められることはとても幸福だ。今だからこそ若い時にはなかった知見を取り入れることもできる。自分の人生で最も長く続いている趣味、というか生活そのものとなっている読書という行為や書籍という物体とこのように関われることも楽しい。

何よりこの本を作ることで、自分は今未知の領域に足を踏み入れながら、この世界において何か新しいことをしている、という実感を得られる。そしてそれはかけがえのないものだと理解している。
それによって普段仕事で接している作品や作家たちへのリスペクトも高まる。語るべきことは多々あるけれども、それよりも中身を読んでいただくことが何より重要だ。

ということで。前回の大槻香奈個展から今回の『死んじゃいけない星』の間に3冊作ったものだから、この展覧会を紐解くには『日本現代うつわ論』が実は重要アイテムである。特に『3』はかなり直接的に今回に繋がる。

なので会期中の白白庵店頭でもしっかりご紹介させてもらおうかと思っていたのだけれど、いざ設営が終わってみると「いや、ここでうつわ本の話するとノイズになるな」「この展覧会をまずたっぷりと楽しんでもらおう」という気持ちになってしまい、店頭には『日本現代うつわ論』を出していない。
『3』の表紙作品も展示されてるっていうのに。在庫少なくなってた『2』は増刷までしたっていうのに。

それだけこの『死んじゃいけない星』が力のある展示になったということなんですね。過去三年間を総括する、という意味合いよりも、ここから先の未来へ向けてのビジョンが強く示された展覧会になっている。もちろんそこにはうつわ本も繋がってはいるんだけれども、作品そのものが示す可能性に僕がやられてしまった。
もちろん本を読んでいればその角度からよりディープにお楽しみいただけるわけですが、会場で体感していただきたいのはその先の話です。

https://ymskpublish.base.shop/

白白庵店頭スタッフにお声がけいただければスッと出てきます。(購入可)
オンラインでもお求め頂けます。(GWのため到着は遅くなります)

店頭でプッシュしていないのでここでこっそり宣伝しておきます。




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