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0514 「強制給餌」だけど、嫌がらずに舐めてくれた。

昨日の投稿でこんなことを書いた。

シリンジで栄養剤を与えようとしたこともあったが、あまりに嫌がり、それで体力を奪いストレスをかけているように思えて、やめた。

ホスピスでお会いしたなかでも、そういうことがなにより辛かったと泣いて話してくださった方もいた。
食べたくないのに、無理に押し込められるような気がして。

尊厳の問題だとも思う。
猫にも尊厳はある。少なくとも彼女には選択権と自由に生きる権利がある。それは奪いたくない。もちろん生存権もある。すべてをわたしが保障したい。

昨夜も、何も口にしない猫が、しゃがんで立ち上がるときにふらつくのを目にした。

ああ、これはもう後がない状況だと目にして、心臓がばくばくした。

わたしは不安のあまり、ネット検索をした。

「悪性リンパ腫 末期 シリンジ 食事」

すると、動物病院の獣医師が監修しているサイトがヒットして、シリンジで強制給餌することのメリット・デメリットを丁寧に説明されていた


長期にわたる強制給餌は、猫や飼い主にとって大きなストレスとなり、必ずしも良い結果が得られるとは限りません。

しかし、特に猫の場合は3日食べなければ「肝リピドーシス」という病気になります。食べないことでこのような病気になってしまい、命にかかわることもあります。この病気になってしまうと治療方法の一環として「強制給仕」を行います。

嫌がるなどのデメリットも確かにありますが、実は食べないデメリットのほうが大きいことも知ってください。

強制給餌のメリット・デメリットをよく理解した上で適切に行う必要があります。

両方が書かれていることに信頼を抱いて、その記事を3度読み返した。

そしてもう12時近くの夜更けだったのだけれど、12月には嫌がって見向きもしなかった高栄養の介護食と、シリンジを引っ張り出してきて、リビングでお気に入りの毛布にくるまって寝ていた猫をそっと起こした。

以前に友人から、「猫の1日は人間の5日」と言われたことを思いだし、今夜食べさせないと、5日の断食になるのだと計算したからだ。

ぼんやりうつろな猫は何が起きたかわからないようだったが、口に差し込まれた異物に対してすぐに拒否反応を示した。

ああ、やっぱりダメか…。

絶望しながら、注射器のようなシリンジをぎゅっと押すと、先からフードがちょろちょろ出た。猫がそれを条件反射のように舐めているのが目に入った。

昨年の12月の段階では、暴れまくって、わたしの手はひっかかれて血まみれだったんだけど、現在の猫は様子を変えて、ちゅるちゅるとシリンジの先から出る液体を舐めている。

嬉しくて涙が出そうになった。

結局、30gの半量(22キロカロリー)を摂取してくれた。
それはごく少量なのかもしれないけれど、命をつなぐ大切な食事になったと思う。

今朝もふらふら起きてきた猫を抱きかかえて、毛布にくるみ、夫に暴れないように軽くおさえてもらいながら、30gの半量をシリンジで舐めてもらった。

シリンジには拒否反応が少しあるけれど、吐き出したりはしない。舐めてくれる。

食後も押入に逃げ込むようなことはなく、いまも出窓でひなたぼっこをして光を浴びている。

これでしばらく食べさせることができたら、自力での普通食に戻れる場合もあると、先の獣医師さんが書かれていた。
それを望みにしばらくはシリンジでご飯を食べさせてみようと思う。

「強制給餌」という言葉には嫌悪感がある。
いま自分がしていることは「強制」の「給餌」だ。それは間違いない。

ただ、「食べる」ことには、猫の自発性を感じるのは、わたしの願望と身勝手な思いなのだろうか。正直なところわからない。

それすら拒否されたら、もう他には手はないし、あきらめるしかない。

猫がそうやって、自分で舌を動かして、強制的に口に入ってきたものでも舐めてくれている間は続けてみようと思う。

これで体重が少しでも増えてくれたら。
いまの望みはほんとうにそれだけ。

いろんな望みをくれる猫がありがたい。
かしこい。
ほんとうにかしこい。