病院選びってほんと大事だ。
猫のことで知人に紹介された動物病院に駆け込んだのが2019年12月 9日のことだった。
なので、ちょうど1か月ほどが経過したことになる。
「このままでは年内はもちませんよ」
悲痛な面持ちで、でも、どこか腹を立てたような顔で先生に告げられたときのことを今でも思い出す。
わたしより少し若い40代前半くらいの(たぶん)男性の先生は、確かにわたしに腹を立てていた。
「どうしてこんなになるまで?」
「こんなに痩せておかしいと思わなかったの?」
実は、保護猫でもらっていたシャーは、保護されていた方に勧められた獣医さんに避妊手術と、ギョウ虫がわいたときの虫下しの処方しかされていない。
猫入門を読んで、まずワクチン…と思っていたのだが、「こんなに元気そうならワクチンをわざわざ打つ必要もない」と先生に断られたのだ。
その先生は、かなりワイルドな施術で、思い出したけど、歯周病から歯が一本ぐらついた時にも病院に走ったが(つまり計3回しか病院に通っていない)、その際は、「ああ、これ抜けそうやから、抜いとくわ」とペンチを取り出し、ガツンと横から叩いて歯を飛ばした。抗生剤ももらわず血まみれで、ぎょぎょっとさすがにひいた。
猫の病院ってワイルドやなあ。
呑気に驚いていた。バカだ…。
その話をすると、いまの男性獣医師は、「麻酔は?」と驚いたような顔をして、「してません。ペンチでこつんとしただけです」と返ってきた言葉に絶句していた…。
ちなみにその日、ワイルド獣医は「お金なんかいらんよ。歯を抜いただけやから」と料金を取ってくれなかった。
いろんな意味でほんとうにワイルドだった。
ちなみに、避妊手術のときも、とりあえず診察にとお昼前に連れて行ったつもりが、「そこ置いて帰って。ほんでから2時頃また取りに来て」と言われて、その日に突然、手術をすることになった。
よく術前は絶食が必要ときくが、朝ごはんもたらふく食べていた。それを告げると「問題ない」とのこと。
そういうもんなのか。
わかないので納得した。
手術代も聞いていたより破格に安く、1万円ちょっとだったと思う。
ワイルドな成り行きだったが、その後、とくにシャーに問題もなく、猫とはそういうものかとまた勝手に納得していた。
つまり、ワイルドな獣医にかかったからか、シャーにはこれまでほとんど「医療費」がかかっていない。
慢性の便のゆるさはあるが、それ以外は元気にみえた。
でも、きっと「見えた」だけだったのだろうと、いまは思う。
いまの動物病院は全然違う。
ペンチで歯をかこーん!
とか
絶食もせずにいきなり手術
とか
虫下し飲まして、その後の経過確認もない
とか
それらのすべてが「ありえない!」と、男性獣医師は飼い主であるわたしの責任を追及するような厳しい眼差しを向けてきて、それは動物に対する深い愛情だともひしひし伝わってくる。
「ちょっとしたことで、普段から病院に通ってきてもらってる飼い主さんとは、治療の方針も話ができるんです。でも、こう言ってはなんですが、いきなり初めてこられてこの状態(末期で放置)だと、僕としても、どういう治療提案をしていいのかわからないんです」
信頼しか感じない先生の言葉に、情けなさからただただぼーぼー涙が溢れた。わたしが悪かったんや。ごめん。シャー。
そんな様子を目にして、先生や獣看護師の皆さんは不憫に思ったのだろう。
できることを考えてみましょう。
そこから、本当に毎回、丁寧に触診して、血液検査をして、検査結果から現状と予想を立てて、治療の方向をその都度決めている。
O先生のおかげで、半月にも満たない寿命が延びたのだと痛感している。
今回は治療費のことを書こうと思ったけど、経過報告になりました。長くなったのでまた改めます。
いまの動物病院はほんとにすばらしくて絶大なる信頼をおいているのだけれど、医療費の高さには毎回目をひんむいている。
噂にはきいていたものの。
いやはや。