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あおヤギさんからの手紙 #3 横浜カジノ誘致問題について(2)


こんにちは、衆議院議員の青柳陽一郎です。
いよいよ2020年も残りわずかですね。

さて、今回も前回に続いて横浜のカジノ問題について投稿します。

横浜市長、反対意見を付けて住民投票条例案を市議会に提出へ

12月23日、「カジノの是非を決める横浜市民の会」は、カジノの誘致は住民投票を行って、市民の声を聴いてから決めるべきであるとして、横浜市長に対して住民投票実施に必要な住民投票条例の制定を求める直接請求を行いました。

市長は直接請求を受けた後、20日以内に市議会に対して、自身の意見を付けて住民投票条例案を提出する(住民投票実施の是非を市議会にかける)義務が法律で定められています。

そのため、市長がどのような対応をとるのか注目が集まっていましたが、26日、林市長は、反対意見を付けて横浜市議会に条例案を提出する方針であることが報道されました。

IR整備法が公聴会の開催義務を定められているほか、事業者と共同で作成した区域整備計画を申請認定する際、市議会での議決が必要であることを理由に、「民意を反映させる制度が法定されている中で、加えて住民投票を実施することには意義を見いだしがたい」と話しているとのことです。


市議会に条例案を提出後は、来年1月8日の横浜市議会の本会議で条例案の採決が行われ、いよいよ住民投票が実施されるか否かが決まります。

カジノによる経済効果などの試算

是が非でもカジノ誘致をすすめたい横浜市長ですが、果たしてどのような公算があり準備を進めているのでしょうか。

IR事業者に情報提供を求め、今年10月に横浜市が公表した試算によると、IRの訪問者数は年2100~3900万人、区域内での消費額は年4900~6900億円、雇用創出効果は年9万1000~11万9000人、自治体への増収効果は860億円~1000億円を見込んでいるとのことです。


横浜市の財政収入のアップや、市全体への経済効果、雇用創出が期待できるので、カジノ誘致は横浜市にとってプラスであると横浜市は説明しています。

しかし、上述の通り、この試算はIR事業者によって算出されたものであり、第三者による客観的な数字ではありません。誘致ありきの試算であり、評価できるものか疑問です。

さらに、この調査は新型コロナウイルスによる影響は加味されていません。追加で新型コロナの影響を考慮した試算や対策などについても改めて情報提供を受けるとのことですが、現在もなお世界的に感染拡大が続き、インバウンド需要が見込めない中で、数年以内に上記のような経済効果が期待できるとは到底思えません。

実際に、現在世界のIR事業者はコロナ禍により業績が悪化し、苦境に立たされています。営業停止やインバウンド需要の低下のために減収・赤字に見舞われている事業者ばかりです。米IR運営会社最大手であるラスベガス・サンズは日本進出を目指していましたが今年5月に断念、米ウィン・リゾーツも横浜事業所を今年8月に閉鎖しています。

事業運営が失敗した際には、事業者が責任を負うものであると国と横浜市は説明しています。しかし、具体的にどのような対応をとるかは、市と事業者によって結ばれる実施協定(誘致決定し、IR事業者が決定した後に締結されるもの)に依拠するため、現時点では未定です。巨額の費用を投じて誘致を進めているにもかかわらず、このような事業失敗のリスクについてどのように対処するのか横浜市は明言していません。

また、横浜市はIRによる消費拡大が期待できると主張していますが、逆に地元にお金が落ちなくなってしまうことも懸念されます。IRには無料もしくは格安で利用できるサービス(レストランやホテルなど)があるために、訪問者がIRにしか滞在しないことが予想されます。そうするとIRだけが儲かり、中華街のような今ある観光地にはお金が落ちずに地域経済を冷え込ませてしまうことが想定されます(共食い現象(カニバリゼーション)。


なお、以上のような共食い現象の指摘に対して、国は、設置場所や施設内容によるのでIRの周辺産業に対する影響について答えることはできないと答えています。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b200161.htm


★以下より、横浜市開催のIR市民説明会での、市の説明資料や市民から出た質問・意見とそれに対する市の回答がご覧いただけます。
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/shiminsetsumeikai.html


次回も、引き続きカジノ誘致の問題について投稿する予定です。
以上、青柳陽一郎でした。