日本の色とヨーロッパの色の違い
先日、京都で開催していた「フィンレイソン展」と「上野リチ展」を観てきました。
フィンレイソンはフィンランドの会社
上野リチはウィーン生まれで日本に嫁いだ女性
どちらもヨーロッパのデザインに触れられる展覧会だったんです。
フィンレイソン展のレビューはこちら
この記事では、上野リチ展のご紹介をしつつ、日本の色とヨーロッパの色の違いをお話していきますね。
上野リチのデザインを観て感じたこと
ありきたりな表現ですが、上野リチのデザインは繊細で女性らしさを感じました。
結婚し日本に来てからのデザインは、日本人からみると「日本と異文化の融合」
奇抜でもないし、日本の様式がちょっとアレンジされたような。
戦後の日本にあって、しかも異国の地で、日本人からは奇異の目で見られたこともあったでしょう。
なのに、そんな時代背景も苦しみもデザインから全く感じられないのです。
暗さを与えるような要素がひとつもなかった。
常に精力的に活動し、日本のデザインに斬り込んでいった女性。
(そういう女の強さみたいなのもデザインには感じませんでしたが)
明るく繊細なデザインは、日本のデザインに違和感なく溶け込み、美しい調和をなしています。
日本の色とヨーロッパの色
違和感ないと書きましたが、展覧会を観ていて、ふと違和感をもった展示があったんです。
それが、金屏風にリチが描いた作品。
金屏風といえば、尾形光琳のかきつばたを連想するんですけれど。
かきつばたは群青の花に緑青(緑青)の茎と葉。
濃い青と濃いめの緑色なんですよ。
リチも花を描くのですが、簡単に言うとパステル調の色使い。
かきつばたや松に慣れている日本人にとっては、パステルの絵柄は妙な感じがしました。
他にも、リチが駒のデザインをしている絵もあり、これも優しい色合い。
日本古来の駒ってこんなイメージじゃないですか?
だから、リチのデザインした駒は可愛いけれど、何か日本ぽくないなって。
(それを狙ってデザインしてるんでしょうけど)
色彩学を使って色の違いを解説
フィンレイソン展と上野リチ展をたて続けに観て、ヨーロッパの色使いの共通性がわかりました。
そしてリチのおかげで日本の色との対比もできました。
色彩検定用語を使って解説すると、
日本の色は、ディープトーンとダルトーン
ヨーロッパの色は、ライトトーンとブライトトーン
もちろんこれらのトーンだけでデザインされているんじゃありませんが、全体のイメージとして。
日本は暗めで濁りのあるトーン
ヨーロッパは明るくクリアなトーン
暗めの色の中で明るい色が加わると、重厚感の中に突然ポップ調が混じったようで。
そこに違和感をもったのだなと気づいたんです。
ライトトーンとブライトトーンを見ると、人は明るく陽気な気持ちになります。
そして「かわいい」印象をもちます。
そのせいもあって、ヨーロッパのデザインを見ると「かわいいなぁ♡」になるのでしょう。
関西の方はお急ぎください、関東の方はお楽しみに!
カラーの視点からフィンレイソンと上野リチの展覧会レビューをしてみました。
フィンレイソンは前の記事に書いた通り、次は福岡での開催です。
上野リチ展は今週末の1月16日で会期終了です。
(@京都国立近代美術館)
正直、会期前は「上野リチって誰よ?」だったんですが。
行ってみたら日本にゆかりのある人でしたし、決して古びないデザイン感性に触れられるのは貴重な体験でした。
関西各地から美術通の知り合いが足を運んでいます。
ご興味のある関西人は、この週末にぜひ足をお運びください。
2月18日からは東京で開催です!
関東方面の方はぜひお楽しみに。
色にも注目してご覧くださいね。
上野リチ展 展覧会情報
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