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異端児ザッパは、「爆弾男」だった

『ZAPPA』(2020/アメリカ)監督アレックス・ウィンター

売れたものが優れているという考えは、くだらない。
華麗で真に異端のミュージシャン、作曲家、編曲家、思想家
フランク・ザッパの圧倒的な独創性と革新的人生に迫る

60年代以降、圧倒的な独創性とともに土星人サン・ラーやエルヴィス・プレスリー、ジョニー・キャッシュと並ぶ音楽史上最大規模のディスコグラフィを築き上げたアメリカの作曲家、編曲家、ギタリスト、ロック・ミュージシャンであり、あらゆる芸術における先駆であったフランク・ザッパ(1940.12.21-1993.12.4)の人生に迫るドキュメンタリー巨編。

音楽ドキュメンタリーとしては、政治的でいまいちかもしれない。そんな日本の社会に腹を立てている人には清涼剤のような映画になるのか。本人は音楽よりも科学好きな少年で爆弾作りを趣味としていた危険な男なのである。彼が作曲家(ミュージシャン)を目指したの現代音楽を聴いたからだ。

その化学反応だったのか?音楽によって世界が変えられると。そういう思い込みは表現者にとって大切なものなのだろう。だから彼が楽器がうまくなるよりも先に伝えたい世界があったということだ。金儲けよりも伝えたい自分の音楽が第一。あまりにも唯我独尊で協調性のない男。しかし、かれには不思議と仲間が集まる。ビートルズを解散したジョン・レノンが彼と共演を望んだことからもわかる。なによりも彼の音楽が素敵なんだ(聴く人によって)

それは表現の規制や検閲問題が浮上すればすぐに声を上げる、ザッパの姿勢に現れている。普通のミュージシャンは出来ないし、ザッパもそれを理解した上で率先して声を上げるのだ。自主レーベルを作ってしまうというのも彼のやり方。

チェコでは、「ロック」という若者が聞く危ない音楽を「ザッパ」というのだそうだ。警察が「そのザッパの音楽は聴いてはいかん」とか。チェコのビードロ革命でライブを開き、音楽外交官にまでなった。アメリカは否定するのだが。そういう生き方がカッコいい。どこまでも反体制。

ただザッパは自分で作曲した音楽をとことん細部まで突き詰めてアルバムが完成したら静かに家でオーディオの前で聞いていたかったという。精神の解放かな。そんなザッパはロックだけの人ではなく、クラシック畑の音楽もいいというのを初めて知った。

「【そえまつ映画館】#70 「ZAPPA」を映画評論家の添野知生と松崎健夫が語る!」ザッパ・ファンが語るザッパ映画の正しい見方というような内容。素晴らしい。

『Zappa Original Motion Picture Soundtrack 』
映画の中では音楽は断片しか紹介されないのだが、このアルバムはその映画の中の曲をまるごと収録しているとのこと。ザッパ入門盤。https://music.amazon.co.jp/albums/B08NXYFMB4?ref=dm_sh_1bcc-2cc1-6e6c-7212-2c65c




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