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明日になればと言ってられない時代なのかもしれない

『明日になれば ~アフガニスタン、女たちの決断~』(2019/アフガニスタン/イラン/フランス)監督
サハラ・カリミ 出演アレズー・アリアプーア/フェレシュタ・アフシャー/ハシバ・エブラヒミ

解説/あらすじ
アフガニスタンの首都カブール。妊婦のハヴァは認知症を患う義母の世話をしながら、家事に追われる日々を送っている。身重の彼女を気遣うことなく、用事を言いつける義父と、連日のごとく友人を自宅に招き入れる夫。そんな彼女の唯一の喜びは、お腹の中にいる子どもと話すことだけだった。一方、ニュースキャスターのミリアムは結婚していた7年もの間、浮気三昧だった夫と離婚しようとしていたが、妊娠していることが発覚する。復縁を懇願する夫ファリードにうんざりしながらも、仕舞い込んでいたウエディングドレスを手にするミリアム。そして、結納の日を迎えたアイーシャには家族に言えない秘密があった。問題を解決するため、友人のマルジェに協力を仰ぐアイーシャだったが、そのためには多額のお金が必要だった。彼女たちが時同じくして向かった場所とは……。

タリバンが政権を掌握したのが2021年だから、それ以前に作られたから状況はなお悪くなっているのだろう。アフガニスタン社会の男尊女卑を描いた映画で、オムニバス三話。

最初が妊娠中の女性の話で、この辺は昭和の田舎の感じなのかな。姑と舅がいる家庭で、舅が自分の下女のようにこき使う。旦那も協力的ではなく友だちを連れてきては奥さんを顧みない。その結果お腹の赤ちゃんが死んでしまう。その原因を作ったのが舅の猫を捕まえる罠だった。猫は彼女が餌付けしている自由なる象徴だろうか?お腹の子供が危機的な状態なのに夫に病院に連れて行って貰えない。翌朝まで泣きながら過ごさなければならなかった。

二話目ははっきり自分の意見を言うニュースキャスター。7年間恋愛結婚した夫に裏切られて離婚中。その他にもいいよってくる男がいるのだが仕事第一の自立した女性。ただ妊娠してしまったので一人で生きていくには中絶せざる得ない。

三人目はもっと若い女性で従兄弟との結婚を控えている。それは家族(父はテロでなくなり、母が望む結婚)のために犠牲的にならなければならない結婚で、妊娠しているのだが、その男は彼女を捨て、彼女は決意して病院に行くというもの。最後に病院の待合室で三人が顔を合わせる。

すべてが劇的に描かれているのでもなく間延びしているところもあるのだが、問題提起型の映画で彼女たちの行く末は不幸しかありえない。そうして耐えてきた女たちが次の世代をも耐えさせようとしているのが三話目の話で、一応自立していくのが二話目なんだが、ますます結婚せずに仕事で生きるしかない希望がない状態なのだ。それも一部の裕福な家で育った女性しか叶わぬ夢であり、タリバン政権では女性の自立はほぼ不可能だろう。悩ましい問題であるが日本も他人事のように言ってられないような保守勢力があるからね。

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