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シン・俳句レッスン60

山茶花。あまり注目されないのは寒さのせいなのか?山茶花は咲いているより散る姿がいいのかな。

ふと咲けば山茶花の散りはじめかな  平井照敏

俳句いまむかし

坪内稔典『俳句いまむかし ふたたび』より

二つ三つ全部大根抜きし穴 行方克巳

大根よりも抜いた穴の俳句。面白い。

寝不足や大根抜きし穴残る  鈴木六林男

こっちは無数の穴があるような感じか?寝不足と対になっている大根の穴だから、実景ではないのかもしれない。無数の穴のイメージ。

青い血がたぎるのだろう葱畑   寺田良治

九条葱だという。普通の葱でもいいような。葱畑が特別に青がたぎっているのだろうか?

葱焼いて味噌と一本つけばよい  齊藤美規

これは食べたくなる句だな。

やきいもはフカフカだよねあまさもね  大川美咲央

フカフカがカタカナにスイーツ的なものを感じる。小学生の句だった。

焼芋を食うて政治の話かな  相島虚吼(きょこう)

町内選挙とかそのへんの地元農家のような気がする。作者は新聞記者で衆院議員だったという。

熱きもの鯛焼のはらわたばかり  行方克巳

冬は食べ物が多く読まれているな。鯛焼も食べたくなる。

鯛焼を徹頭徹尾食ひ尽くす  相生垣瓜人

これもいい。熱い鯛焼を全力で食う。身体ほかほかだ。相生垣瓜人(あいおいがき かじん、名前も凄いな)は鯛焼ばかりの俳句を詠んだ鯛焼老人だという。先の行方克巳も鯛焼老人を目指しているという。

四五人のみしみし歩く障子かな  岸本尚毅

「障子」が冬の季語。寒くなったので襖を閉めるからかな。そういえば襖を閉めている今日このごろ。障子はないけど。

障子あけて置く海も暮れ切る  尾崎放哉

こっちの障子は季語ではないが、開放感がある句だな。障子は谷崎源一郎『陰翳礼讃』のヒットで季語になったとか。そんな暗い日本を一色する明るさだな。

みちのくや冬芽ちいさなけものめく  成田一子

「冬芽」は今の季節かな。もう少し後だろうか?

冬の芽や目礼せしが思ひ出せず  原田種芽

自分の後ろの人に目礼しているのを自分だと思ってしまうことはよくある。

言問橋マスクはづしてわたりけり  藤岡筑邨(ちくそん)

最近はマスクしてないな。寒いから保温にはなるが息苦しい。それでも風邪引かないな。鼻うがいはやってます。

遠くよりマスクを外す笑みはれやか  冨安風生

マスクはするのは隣に誰か座ったときだな。ちょっと嫌悪感があるのかもしれない。いやな老人になったものだ。

風邪装いマスクを外す友なく  宿仮

白息をゆたかにかへすありがたう  高田正子

こういう人は苦手だ。

息白き人重なつて来りけり  山口青邨

「じぶんがここにいることがだれかある他人にとってなんらかの意味をもっていること、そのことを感じることができれば、ひとはなんとかじぶんを支えることができる」  鷲田清一

『〈弱さ〉のちから』

という言葉が添えられていたがよくわからん。今日はこのぐらいでいいか。


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