見出し画像

日本のジャズ大使は馬さんだった。

Hampton Hawes"All Night Sessions 2CD"(1956年)

Hampton Hawes – piano
Jim Hall – guitar
Red Mitchell – bass
Eldridge Freeman – drums

"Jordu" (Duke Jordan) – 7:07
"Groovin' High" (Dizzy Gillespie) – 5:48
"Takin' Care" (Hampton Hawes) – 8:09
"Broadway" (Billy Bird, Teddy McRae, Henri Wood) – 6:54
"Hampton's Pulpit" (Hawes) – 11:14

"I'll Remember April" (Gene de Paul, Patricia Johnston, Don Raye) – 7:02
"I Should Care" (Sammy Cahn, Axel Stordahl, Paul Weston) – 4:23
"Woody 'n You" (Dizzy Gillespie) – 5:41
"Two Bass Hit" (Gillespie) – 2:50
"Will You Still Be Mine?" (Tom Adair, Matt Dennis) – 6:55
"April in Paris" (Vernon Duke, Yip Harburg) – 7:30
"Blue 'n' Boogie" (Gillespie, Frank Paparelli) – 8:11

"Do Nothing till You Hear from Me" (Duke Ellington, Bob Russell) – 11:03
"Blues #3" (Hampton Hawes) – 7:38
"Between the Devil and the Deep Blue Sea" (Harold Arlen, Ted Koehler) – 11:00
"Blues #4" (Hawes) – 6:17
"Blues of a Sort" (Hawes) – 5:37

日曜の朝は「大友良英のジャズ・トゥナイト 」の聞き逃しを聴いています。今週は「和ジャズふたたび」。最近70年代の和ジャズが海外で流行っているそうです。ジャズが本場アメリカを離れて、ヨーロッパを巡ったのは前回までの話しでした。ではここ日本では誰の功績か?エリック・ドルフィーのような使徒はいたのだろうか?それが、馬さん。ハンプトン・ホース、もとい、ハンプトン・ホーズなのです。

それにしても馬さんなんてひどい呼び方ですね。上田馬之助じゃあるまいし、ホースでもなくホーズなのに。日本人の英語もアバウトなのも笑って許してくれたのでしょうか?ハンプトン・ホーズは占領期の日本に進駐軍として1952年から1954年まで日本に滞在していたのです。そこで平和なジャズ大使として夜な夜なジャムセッションを行って日本人に本場ジャズの素晴らしさを伝承していたのです。

ハンプトン・ホーズがいなかったら穐吉敏子も渡辺貞夫も生まれなかったかもしれない。日本のモダン・ジャズはハンプトン・ホーズのおかげなのです。彼の日本での録音も残っているのですが手に入りにくい(「幻のモカンボセッション」というアルバムに入っているそうですが私も聴いたことがないです)。そこで、「オールナイト・セッション」がこんな感じで日本人とジャズをやっていたのではないかとこのアルバムを勧めるのです。時代的にも近い1956年録音ですし。

メンバー的にもギターのジム・ホールというかつてビル・エヴァンスともインタープレイを繰り広げたジャムセッションには不足はないメンバーです。そして安定のベーシスト、レッド・ミチェル。ドラムはあちょっと知らない人ですけど。選曲も一曲目の"Jordu"から快調なスタンダードが続きます。そして何より聴いて欲しいのは、ハンプトン・ホーズのブルースの上手さなのです。実に味わい深いブルースを聞かせてくれます。湿っぽくならず歌うのです。だから日本人もうっとり聞き惚れてしまったのではないかと思います。あと「オールナイトセッション」はvol.1からvol.3までバラ売りに出されているのでまとめてあるアルバムがあるので、そっちを買ったほうがお得です。


(ジャズ再入門vol.44)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?