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歌心あるフリー・ジャズ

Air "Air Song"(1975)

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Airはポスト・フリーのシカゴ派といわれるAACM(クリエイティブミュージシャンの振興協会)のメンバーだった人たちから出来たサックスのヘンリー・スレッドギルを中心にしたトリオです。

サックス、ベース、ドラムというシンプルな構成ながらそこから生み出すジャズは多用で、ディキシーやスイングからフリー・フォームまでなんでもかなすちんどん屋みたいなバンドです。そのリズム感に圧倒されるのは、一曲目の「Untitled Song」を聴けばわかります。

ヘンリー・スレッドギルは知る人ぞ知るというミュージシャンで、「ピューリッツァー音楽賞」を受賞しているので、作曲や創作活動もジャズという枠にとらわれずにやっているようです。サックスもマルチ・プレーヤーで、このアルバムでもラスト「Air Song」で尺八っぽいフルートを披露しています。

ベースのフレッド・ホプキンスはデヴィッド・マレイのリズムセッションのベーシストですから、フリーからスタンダードまでどんな曲でも歌心あるバースを聞かせてくれます。またアルコ(弓弾き)ベースも得意としていてこのアルバムでも披露しています。フレッド・ホプキンスが入っているアルバムは安心して買えるというほど好きなベーシストでした。

そして強烈なリズムを刻みだすスティーブ・マッコールもテクニシャンですね。リズムを自由自在に変化させてベースのホプキンスと共に素晴らしいうねりを導き出して、ヘンリー・スレッドギルのサックスが歌っています。まさにタイトルにもあるように、歌なんですね。



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