永遠にからっぽのうつわ
『短歌ムック ねむらない樹 vol.10 特集=第5回笹井宏之賞発表/15年目の笹井宏之』
「眠らない樹」そのものが笹井宏之におんぶにだっこなんで、もうファンクラブみたいなものかと。まあ、夭折の歌人という伝説化で売るみたいな。新人賞とかも新人を発掘するより笹井宏之の知名度を上げるというような。アンチになってしまうのは、家族とか彼の短歌には関係ないだろうと思うから。この雑誌の作り全体が家族的といえばいいのか。そこに疎外感を感じてしまう。
【特集1 第5回笹井宏之賞発表】
最近になって短歌一首で表現するより何首も積み重ねて短歌を私小説的に鑑賞するのだ知った。だから短歌界も文壇のようなシステムが出来上がってくる。左沢森「似た気持ち」はそんなことを思わせる歌だった。それが悪いとも思わないのは彼のコトバが真摯だからか?そこにあるのは彼の孤独のコトバだった。
まあ日記だよな。その積み重ねが愛おしいのか?
【特集2 15年目の笹井宏之】
副題に「笹井宏之という歌人の自由さとは何だったのか」
これは穂村弘のコトバだが、彼には凄い不自由さがあって自由の渇望が自由に感じさせる短歌だった。だから連続したコトバよりもその中から立ち上ってくる自由さみたいなのがあったのだ。でも今の彼の状態は夭折した歌人としての生とそれを取り囲むファンや家族に囲まれてしまっているように感じてしまう。そういうものがあると知るのはこういう雑誌の作り方にあるのだと思う。何よりも15年も過ぎてファン広報誌のような雑誌の作りが気に食わない。
解けない力。
最初に「からっぽのうつわ」が来るのだ。「みちているうつわ」は例えばこの本の中の笹井宏之かもしれない。そして、「その途中のうつわ」が読者なのだ。
【特集3 2022年の収穫アンケート】
気になったのは、渡辺松男『牧野植物園』
『らんまん』繋がりか?
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