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コルトレーン教の方は唱和して下さい

John Coltrane"A Love Supreme: The Complete Masters"

ディスク1
パート1:承認(Acknowledgement)t
パート2:決意(Resolution)
パート3:追求(Pursuance)
パート4:賛美(Psalm)
オリジナル・モノラル・リファレンス・マスター
パート3:追求(Pursuance)
パート4:賛美(Psalm)
ディスク2
カルテット・セッション(1964年12月9日)
"Acknowledgement" (vocal overdub 2) – 2:00
"Acknowledgement" (vocal overdub 3) – 2:05
"Resolution" (take 4/ alternate) – 7:25
"Resolution" (take 6/ breakdown) – 2:13
"Psalm" (undubbed version) – 6:59
セクステッド・セッション(1964年12月10日)
"Acknowledgement" (Take 1 / alternate) – 9:24
"Acknowledgement" (Take 2 / alternate) – 9:47
"Acknowledgement" (Take 3 / breakdown with studio dialogue) – 1:26
"Acknowledgement" (Take 4 / alternate) – 9:04
"Acknowledgement" (Take 5 / false start) – 0:34
"Acknowledgement" (Take 6 / alternate) – 12:33
ディスク3
Festival Mondial du Jazz Antibesにおけるライヴ(1965年7月26日)
Introduction by André Francis and John Coltrane – 1:13
"Acknowledgement (Live)" – 6:12
"Resolution (Live)" – 11:37
"Pursuance (Live)" – 21:30
"Psalm (Live)" – 8:49

演奏メンバー
カルテットのメンバー
ジョン・コルトレーン: テナー・サックス
マッコイ・タイナー: ピアノ
ジミー・ギャリソン: ベース
エルビン・ジョーンズ: ドラム
参加したサイドマン
アーチー・シェップ:デラックス・エディションの"Acknowledgement" (Alternate take)
アート・デイヴィス:デラックス・エディションの"Acknowledgement" (Alternate take)

「ジャズ再発見」も今回が50回目で、それまで2回取り上げるジャズミュージシャンはいなかったのですが、そろそろネタ切りで今回は偉大なるジョン・コルトレーンの再登場となったわけです。前回のアーチー・シェップとの繋がりもあることでしたので。でも、このアルバムは初心者はオリジナルで買ったほうがいいです。

それなのに何故取り上げるか?フランスでのライブ演奏が入っているのです。これは驚きでした。『至上の愛(A Love Supreme)』は構成がけっこうしっかりしていてそれをライブでやるとは、だからオリジナルとは結構違いますね。


『至上の愛』の構成は、4つのテーマからなっています(これはタイトルを見れば一目瞭然ですね)「承認(Acknowledgement)」「決意(Resolution)」「追求(Pursuance)」「賛美(Psalm)」

「承認(Acknowledgement)」で唱和される「A Love Supreme」が総タイトルになっているわけですが、それが「ゴッド」からの「愛」なのでしょうか。極めて宗教的なジャズではありますが、音楽が神の捧げものという考えはバッハの時代にもあったものなので、それほど特殊ではありません。ただ今の時代は「愛」は個人や家族に捧げる歌に変わったので「ラブ・ソング」と呼ばれるものはよくあるものです。ただ神からの承認とされていることの意味が逆ベクトルで神の信仰心に近いものがあるのでしょう。ジャズはゴスペルの要素があるのでコルトレーンにとっては自然なことなのでしょう。

「決意(Resolution)」この部分はよく他のジャズミュージシャンにも演奏されるジャズにおける熱さと魂(ソウル)を感じさせる曲調です。ジャズ・プレイヤーとしての決意ですかね。スピリチュアルな探求心の中の決意のようです。

「追求(Pursuance)」ジャズによらずとも生きるために何かを追求しているものの姿は尊いものです。この始まりはエルビン・ジョーンズのドラム・ソロなのも心を打たれます。ドラムが尊い者に何かを伝えようとしている、それに答えてコルトレーンのサックスが咆哮するのです。それぞれのソロ・プレイが聴きどころになっています。コルトレーン・カルテットの真骨頂ですね。マッコイのピアノの後にコルトレーンの熱いサックス(エルビンのドラムが薪をくべるように燃え上がります)、そしてジミー・ギャリソンのベース・ソロが余韻を残しながら次の展開につなげていきます。

「賛美(Psalm)」は「賛美歌」と言ってもいいかもしれない。「God(神)」への。あるいは「世界」そのものと言っていいかもしれません。ジミー・ギャリソンのベース・ソロの後のコルトレーンのサックスの尊さ、この音が彼のジャズの真髄ですね。

ライブではメンバーのソロが長くなり、コルトレーンの演奏もフリー・ジャズっぽくなっていきます。

(ジャズ再発見vol.50)

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