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レクイエム・フォー・ダニー・リッチモンド

"Mingus at Carnegie Hall"Charles Mingus(Rhino/2021年)

Charles Mingus – bass
Jon Faddis – trumpet
Charles McPherson – alto saxophone
John Handy – tenor saxophone, alto saxophone
George Adams – tenor saxophone
Rahsaan Roland Kirk – tenor saxophone, stritch
Hamiet Bluiett – baritone saxophone
Don Pullen – piano
Dannie Richmond – drums
01. Introduction
02. Peggy's Blue Skylight
03. Celia
04. Fables Of Faubus
05. Big Alice
06. Perdido
07. C Jam Blues
◆1974年にカーネギー・ホールで開催した白熱のライヴの模様を収録したアルバム『MINGUS AT CARNEGIE HALL』は、彼の後期の大傑作として知られるジャズの名盤中の名盤だ。豪華ミュージシャンを従えたそのパフォーマンスはすさまじい熱量を放ち、濃密なミンガス・ミュージックの神髄が展開していたのだが、実は当時発売されていたのは、ローランド・カークやチャールス・マクファーソンといった旧友たちをゲストに迎えて披露されたアンコールの2曲のみだった。実際のコンサートでは2時間近くの圧巻のパフォーマンスが披露されていたのだが、現在までその全貌を追体験する機会が失われたままとなっていたのだ。

以前発売されたのは、ミンガスのレギュラー・バンド(1974年当時)にゲストの旧メンバーのローランド・カークやジョン・ハンディが加わった演奏だけをアルバムにしたのだが、今回はレギュラー・メンバーの演奏がそのままアルバムにされています。で、レギュラー・メンバーはこれからのジャズを引っ張っていく俊英たちがミンガスの元でめいいっぱい暴れている。それは爽快です。

各メンバーのソロの素晴らしさ。ジョージ・アダムス、ハミエッット・ブルーレット、ドン・ピューレン、ジョン・ファディス、そして彼らをまとめているミンガスというより、ダニー・リッチモンドなんですよね。長い間、ミンガスの参謀として縁の下で支え続けたのがドラマーのダニー・リッチモンドなんです。

確かにミンガスは偉大なジャズ・ミュージシャンなんです。でも、そのミンガスと新世代を上手く繋げていたのがダニー・リッチモンドだと思うのです。彼は根っからのショーマンで白いスーツを来て、みせるドラムを披露してました。ジョージ・アダムス&ドン・ピューレン・カルテットで何度も来日していて、そのメンバーでした(元ミンガス・バンドのカルテット)。それはマウント・フジ・ジャズフェスティバルでも貴重な演奏が残されていて、最初はダニー・リッチモンドがいたのに、TVで懐かしく見ていた深夜放送ではダニー・リッチモンドがいないのです。そして、TVに流れてきたクレジットを観て涙しました。

今見ても泣いてしまいますね。その想いがこのミンガスの再編集されたアルバムを聴いて、ダニー・リッチモンドのソロ・ドラムを聴いてふと蘇ってきたのです。在りし日のダニー・リッチモンドの姿が。

ほんとにこの再発アルバムは、若手のミュージシャンが凄い熱いのです。それを盛り上げていたのがダニー・リッチモンドなんですね。

(ジャズ再入門vol.77)

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