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2024年9月の読書

九月は体調不良だったり(夏バテ)一日置きぐらいに元気だったり引きこもりだったり。読書の秋と言われるが。夢見る『源氏物語』から諸行無常の『平家物語』へ。2024年9月の読書メーター 読んだ本の数:25冊 読んだページ数:6684ページ ナイス数:794ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→


ベスト本


『現代詩手帖2023年9月号』

富岡多恵子特集が良かった。

ウェイリー版『源氏物語』がコロニアル文学であることを知るには良かった(『オリエンタリズム』のほうがわかりやすいか?)。

『鑑賞現代俳句全集〈第1巻〉俳句の出発』

俳句の入門書としてはベスト。子規、碧梧桐、虚子、明治大正俳句史、昭和俳句史とこれ一冊で学べる。


『双調平家物語 1 序の巻 飛鳥の巻 』橋本治

『窯変 源氏物語』を読み終えたので『双調 平家物語』を読み始めた。第1巻は中国古代史だった。「安禄山」とか。


『七十年の孤独: 戦後短歌からの問い』川野里子

戦後短歌史を女性歌人や前衛短歌を中心に論じた批評。NHK短歌ではわかりやすい解説の川野里子だが批評も書ける歌人だった。


『珊瑚集 改版: 仏蘭西近代抒情詩選』永井荷風

永井荷風のフランス象徴派を中心としたアンソロジー。パリと東京の下町が暗渠で繋がっている感じで良かった。


『J・M・クッツェーと真実』くぼたのぞみ

クッツェーの翻訳者のJ・M・クッツェーのガイドブック的な本だが、クッツェーがポストコロニアルの重要な作家だというのが理解できる。


『無援の抒情』道浦母都子

全共闘世代の時代の挽歌的な歌集。その世代には懐かしい、知らない世代には新鮮な時代の空気を感じられる。歌集としてもベスト本。


『洲崎パラダイス』 芝木好子

川島雄三監督『洲崎パラダイス赤信号』の原作を含む洲崎界隈の短編連作集。「洲崎パラダイス」は遊郭街なのだが、橋を渡る手前の居酒屋を中心とした話になっている。そして、遊郭の残酷さも最後に描かれるのだ。溝口健二監督『赤線地帯』の原作でもある。永井荷風の「隅田川」の情緒から戦後の遊郭へ女性の視点で描く作品。


『疾走する女性歌人 ―現代短歌の新しい流れ』篠弘

短歌史に定評がある篠弘が昭和の女性歌人について書いた新書で俵万智の登場まで描いている。現在の短歌の様相も伺える。未だに俵万智中心の歌壇なのだ。


『ダイヤモンド広場』マルセー・ルドゥレダ (著)

これは結構重要な本かもしれない。カフカとマルケスを繋ぐスペイン文学。「カタルーニャ」語で書いた女性作家なのだ。マルケスが敬愛するのも理解出来る。これが岩波文庫で読めるのだ。こういう本に出会えることの歓び。

『窯変 源氏物語〈14〉 浮舟二 蜻蛉 手習 夢浮橋』橋本治

これで『窯変 源氏物語』を読み終わった。紫式部の三人称(光源氏亡き『宇治十帖』の孫世代の源氏)よりも光源氏の一人称の『源氏物語』の方がおもしろかったのだが長編小説だけに読み終えた満足感はある。


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