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タイトルだけでも名盤の響きがする

"Blues & the Abstract Truth"Oliver Nelson(Impulse! 1961)

Freddie Hubbard – trumpet
Eric Dolphy – alto saxophone; flute on "Stolen Moments"
Oliver Nelson – tenor saxophone; alto saxophone on "Teenie's Blues"
George Barrow – baritone saxophone
Bill Evans – piano
Paul Chambers – bass
Roy Haynes – drums

オリバー・ネルソンの名盤です。メンバーが凄いです。マイルスの『カインド・オブ・ブルー』と比較されることもありますが、ビル・エヴァンスがサイドメンに入っていて、全体が彼によって支配されているような、リズム・セクションは大切です。そしてベースがマイルスのところで活躍していたポール・チェンバース。ドラムはリーダー・アルバムでも紹介したロイ・ヘインズです。

それと何と言ってもエリック・ドルフィーの参加でしょうね。ドルフィーはアレンジャーのこれだという傑作に必ず入ってくるプレイヤーで、どこでもドルフィーなんだけど、アレンジャーの思う音楽になっているという。ドルフィーを使いこなせるかがアレンジャーの腕の見せどころですね。マイルスはなんでドルフィーを使わなかったのだろう?目立つからかな。オレより目立つな、という感じですかね。

2曲目のアップテンポのユニゾンも素晴らしいですね。そうトランペッターのフレディ・ハバードも忘れてはいけません。マイルス抜きのV.S.O.P.クインテットのトランペッターに選ばれたのにも理由がありますね。マイルスをサイドメンには使えないのでそんなときはフレディ・ハバードです。

3曲目もいいですね。オリバー・ネルソンのアレンジャーだけではなくプレイヤーの良さも出ています。ただテナー・サックスはジョン・コルトレーンという偉大なプレイヤーがいるので似たようなサックスだとコルトレーンの影に隠れてしまいます。オリバー・ネルソンはアレンジャーという強みがありますから埋もれないですみました。

けっこう捨て曲がない全体に統一感が取れたアルバムで人気盤になるのも当然と思います。だから不幸なことにこのアルバムだけが注目されすぎて、他に目がいかなくなっていまいます。さらに、オリバー・ネルソンの二匹目のドジョウを狙った『続ブルースの真実』や最近でもこのアルバムをリスペクトしたビル・カンリフの『The Blues and the Abstract Truth, Take 2』があります。

(ジャズ再入門vol.81)

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