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シン・俳句レッスン62

鴨は一年中いるが冬の季語。

逃ていく水面に揺れる鴨の家

あまり考えてはなかった。

逃げてゆく鴨の波紋はうつろゆく

うつろゆく鴨の波紋やメエルシュトレエム

こんな感じか。「メエルシュトレエム」はポーから。渦巻きだと間抜けな感じがして。なるとでもいいのか?

俳句いまむかし

坪内稔典『俳句いまむかし みたび』から。

女子会はカオス雑炊はぽん酢  塩見恵介

作者が男だから空想なんかな。男だけど参加を許されたとか。オネエということだろうか?ポン引きかもしれない。単なる隣テーブルにいた一般人か。そんなところばかり気になる。

かき雑炊太白すでに海の力  星野麥丘人

「太白(たいはく)」がわからない。「太白星」で金星の意味なのだという。星野麥丘人も読めない。「ほしの ばくきゅうじん」という俳人らしい。俳句も謎だったが「すでに」が雑炊を食べ終わった後で「金星」(宵の明星)を見たという。そこまで解説できるなんて宇宙人みたいな解釈だな。星野麥丘人が宇宙人のようだ。

猪鍋やスリッパあちらこちら向き  峰行夫

冬は食べ物が多いが特に鍋物が多い。これは忘年会のような感じか?

又例の寄せ鍋にてもいたすべし  高浜虚子

高浜家の寄せ鍋だもんな。想像は出来ない。まあうちは寄せ鍋というほどのものでもないんで。白菜+鶏肉+という感じだった。ただこの俳句は「例の寄せ鍋」ということで読者の想像力を刺激する句になっている。

湯豆腐の真ん中にある国家かな  久保純夫

なかなか難しい句だ。大豆のことを言っているのかな?国産大豆100%とか。湯豆腐を囲んで国家論を論じ合っているという句だという。だったら「国家の真ん中にある湯豆腐」だよな。

湯豆腐やいのちはてのうすあかり  久保田万次郎

晩年の「湯豆腐」の句でこれが有名になって「湯豆腐の万次郎」と呼ばれたとか。「湯豆腐」は寂しいな。昆布とかこだわりがあったりして。

おいでやす大根がよう煮えてます  稲林廣太郎

おでん屋の口語句だが、関西風だと強調したい嫌味を感じるのは関東人の僻みか?

何人ならうとおでん煮ておけば  田畑美穂女

台所俳句だが、台所事情が伺えて面白い。人が集まる家なのか?一種の格言ということだが。

地酒あらばと炉辺を囲みけり  森田純一郎

全然新しい感じがしないがいまの句の方に入っていた。地酒ブームとかあったからか?

一片のパセリ掃かるる暖炉かな 芝不器男

こっちのほうが新しさを感じる。「パセリ」に結婚できない独身男の意味があるという。

忘年会バックミラーで髪なほす  木浦磨智子 

今風だけど作者は1934年生まれだった。もっと送り狼的な句を想像してしまった。送らせ狼か?

わかき人に交りてうれし年忘れ  高井几董

几董の読みがわからない。高井几董(たかいきとう)江戸時代の俳諧師。現代ではこういうオヤジはヨイショされているかうざい存在だろう。そもそも対等な関係なら「わかき人」もないだろう。作者の中に年齢にこだわる深層があるのだろう。

毛糸編む少年のいるサンルーム  鈴木ひさし

編み物ブームだった。サンルームでやっているのがトレンディであり良家のようでもある。サンルームの家の引きこもりなんだろうが。

いくさ来むことを思ひて毛糸編む  山口青邨

これは本人かもしれないし、そういう人を見ているのかもしれない。非日常の世界でも日常を静かにこなしている感じか。

湯たんぽと言えばくちびるやわらかし  原ゆき

最初意味がわからなかったが解説を聞いてなるほど。これは口承して「ゆたんぽ」という発音がソフトなイメージだと言っているのだという。まあ、怒りながら言う人もいまい。

わが恋は夜ごと夜ごとの湯婆(たんぼ)かな  小林一茶

ふりがながなければ『千と千尋の神隠し』の湯婆婆かと思うが湯婆はゆたんぽのことだった。「夜ごと」のリフレインがどんだけ湯たんぽが好きなんだ。

ちょっとずつ割り込むお尻十二月  中原幸子

作者は1938年生まれのオバサン俳句だという。電車の中での真ん中が空いた席なのだろう。十二月だから荷物が多そう。なんとなくわかる。もう一句「吊革や一も二もなく十二月」こっちの方が好きかな。不安感。先の句だとオバサンの図々しさによる安定感がある。

十二月こちらの本をあちらへの積み  桂信子

大掃除で本の整理をしようとすると片付かない。せめて積んでみるだけなのか?

短日のふらいぱんとふ飯屋かな  七田谷まりうす

「ふらいぱん」というレストランがあったという句なのだが。作者の名前が珍しい。もう亡くなっている俳人だった。

日短やかせぐに追いつく貧乏神  小林一茶

ことわざを俳句に転用したでけなのだが面白い。意味はさっぱりわからんが。「かせぐに追いつく貧乏なし」が元の諺。

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