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ブルジョア階級の映画だが三重苦。

『それでも私は生きていく』(2022年/フランス)監督、脚本:ミア・ハンセン=ラブ 出演:レア・セドゥ、パスカル・グレゴリー、メルヴィル・プポー、ニコール・ガルシア


仕事と子育て、そして介護 シングルマザーの新たな恋
夫を亡くし、同時通訳をしながら、8歳の娘を育てているサンドラ。哲学教師だった父は、記憶と視力を失いつつあり、彼女の悩みは尽きない。そんなとき、南極帰りの科学者クレマンと再会し、知的なやさしさに惹かれていく。レア・セドゥが等身大の女性を演じる新境地。

監督のミア・ハンセン=ラブの私小説的映画だと思うが、レア・セドゥのために創られた映画のようにも感じる。父の介護とシングルマザーに不倫という三重苦の映画を誰が見るんだろうと思うが共感する世代が多いのはそういう社会になっているからだと思う。日本だったら広末涼子にこの役をやってもらいたいとへんに想像してしまったが。

もう一つレア・セドゥの役はブルジョア階級なのである。それは『あのこと』を参考にしてもらえばわかるが、父が哲学教授で大学への問題なく通えて通訳の仕事を得ている。さらにシングルマザーだけど子供も産んでいる。恋人は宇宙科学者でもある。

それでも生きにくい社会なのであるから、それより底辺のものはますます生きにくい社会になっているのだろう。

でもこの映画は応援歌として観られるのではないだろうか?邦題のタイトルがすでにそんな感じである。頑張ればなんとかなるという話なのは、ミア・ハンセン=ラブやレア・セドゥの階級の話だろうと思うのだ。レア・セドゥがパリの芋姉ちゃんみたいななりだが、映画会社の娘だからブルジョアのブルジョアなんだよな。まあお洒落な映画にはなっているかも。レア・セドゥはそれほどダサくはなかった。


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