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6.TO THE PARK

9/4発売の新譜「TO THE PARK」に向けて1日1曲解説、6日目は6曲目の「TO THE PARK」の解説をしたいと思います。

今回のアルバムタイトルでもあるこの曲は、産後2年間ぐらいのことを思い出しながら作りました。産休に入る直前までライブ活動を精力的に行っていた私、日々移動する生活が出産を経てガラリと変わりました。
長いツアーはお預け、自宅の半径100メートル以内で過ごす毎日。近所の公園まで歩くのが日課となりました。

いつ終わるかも分からない細切れ睡眠、しかしちょっとでもサボったらこのか弱い生き物は生きていけないのでは、という強烈な強迫観念。真面目にすべてをこなさなければという病的な使命感もあり、私は日々疲れていたと思います。時々ドームに閉じ込められているような気分になりました。

しかし、そんな中でも少しずつ息子は成長してきて、歩けるようになり、しゃべれるようになり。

ある日、息子といつもの公園へ出かけたところ、ダンゴムシの群れに遭遇しました。そして、その傍らには昨日咲いていなかった野花が咲いていたのです。
その瞬間、ああ私は、遠くばかり見ようとして足元にある物語に気がついていなかったのだなと思いました。1日1日まるで違う、閉じた世界なんかではない。足元にも空の向こうにも、いくらでも無限の世界があるじゃないか。そう思ったら途端に楽になったのでした。

アルバムのレコーディングは今年はじめぐらいからスタートしましたが、
同時にコロナウィルスの話題が忍び寄り、ライブイベントもだんだんと中止になっていきました。長距離移動も制限され、自宅100メール以内で生活することが多くなり、なんだかあのときの毎日みたいだなと思うようになりました。

そんなとき、
「いつもの道にも、きっと小さな幸せがあるんだよ」
と80センチのいつかの君が教えてくれたことを
思い出します。
そしていつしか、この曲名をアルバムタイトルにしようとしている自分がいました。

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