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売上が落ちたとき、何をすべきか。

お客さまから、こんな質問をいただくことがあります。

売上が右肩下がりに落ちている。
どのような広告施策が必要か
というものです。

そもそも売上は落ちるもの

そもそもブランドとはどれだけ顧客のコミットメントが高かったとしても、ある程度放っておけば、利用者は下がっていくものです。

一部のコアユーザーを除き、特定のブランドに依存しないライトユーザーは、複数のブランドを浮気する「周遊活動」をおこないます。そのため、企業は販促・広告施策をおこない、新規集客をします。

健全なブランドであればあるほど、新陳代謝が活発におこなわれます。

「広告をやめたらどうなるか…

「広告をやめたら売上はどのように変化するか」を検証したところ、1年間で約16%、3年間で約36%の売上が減少した、という結果が出ています。

なぜ新規集客ができていないのか

売上が落ちた時に考えることは、「なぜ売上が落ちているか」ではなく「なぜ新規集客ができていないのか」です。

ブランドが過去に行ってきた、ブランドの新陳代謝に関する事例をみていきます。

①新しい市場を開拓できていない

カルピスは1990年代後半、ブランドの輝きを失った時期があります。世間はミネラルウォーターや無糖のブーム。スッキリした飲み口のブランドに人気が集まったため、カルピスは甘ったるい若者の飲み物という認識で売上も減少しました。

これは市場の変化に、ブランドの価値が対応できていなかったためです。新しい価値観を提供できない場合、ブランドは衰退していってしまいます。

カルピスはこの時、あえて「濃いめ」の商品を発売しました。子供のころ濃いめのカルピスを心ゆくまま飲みたかった、大人ユーザーをターゲットとしたのです。これがヒットし、カルピスの新しい顧客開拓となりました。

②競合の二番煎じになっている

1980年代後半、キリンの「ラガービール」は同社の大ヒットブランドでした。大衆のビールとして、業界シェアNo.1に位置していました。

しかし、ここでアサヒの「スーパードライ」が市場へ投入され、こちらも大ヒット。市場はキリンのラガーvsアサヒスーパードライの熾烈な争いとなりました。

ここでアサヒは大きな仕掛けをしました。「生ビール売上No.1」というメッセージとともに、大幅なプロモーションをおこなったのです。

キリンのラガーは、多くの固定ファンがおりましたが、生ビールではありませんでした。しかし、当時ビールシェアでは、ナンバーワンの座にありました。しかし、キリンは迫り来るスーパードライの波に対抗すべく、ラガーを生ビールに変更する決断をします。

これにより、ラガー独特の飲み口が好きだった固定ファンは離れ、生ビール市場は、スーパードライが一気にシェアを獲得しました。

競合の路線が流行しているからといって、そっくりそのままそれを踏襲してしまうと、固定ファンも新規ファンも獲得できない結果になる事例となりました。

③信頼を失っている

2008年頃から人気に火がつき、一時期ブームとなった「ドロリッチ」という商品があります。グリコが「飲むスイーツ」というコンセプトで発売した新感覚スイーツです。

一躍市場のニュースターとなり、多くの若者ファンを獲得したのですが、2010年代に入り、一気にファンが離れました。これは「ステルス値上げ」が明らかになったためです。

ドロリッチは細かいパッケージ修正を重ね、何度もリニューアルを重ねていたのですが、その中で価格は据え置きとしながら、内容量が徐々に減らされていきました。

発売当初、220gだった内容量が、2017年には120gまで減少しており、当時ニュースでも大きく取り上げられました。その後、さすがに180gに戻されましたが、失った信頼はすぐには戻らず、2019年販売を終了しました。

ブランドとしてファンからの信頼を失うと、既存顧客も、新規流入もできない状態となります。そのため、一気に販売終了へ向かう例も少なくありません。

中身をかえず、売り方をかえていく

商品の中身には一切手をくわえず、見せ方・フレイバー・パッケージ・広告戦略・サイズや価格など、外的要素を、マーケットのニーズにあわせて設定しなおすことが必要です。

コカコーラは1886年に発明されてから、成分や味に大きな変更はされていないそうです。

しかし、時代にあわせてプロモーションや販売系形態を変更しながら、今でも愛されるブランドNo.1に君臨しています。

消費者のライススタイルが大きく変わっていくなか、コカコーラが飲みたくなるシチュエーションに合わせて、適切にマーケティングの4P(価格・販売場所・プロモーション)を適切に設定していったのです。

以上見てきた通り、売上の減少=新規集客が減少に追いついていないということで、いかに新規の顧客を獲得するか、を考えるべきだとお伝えしました。

そして新規集客ができていない理由として、3つのパターンをご紹介しました。①市場の変化に商品が対応できていない②新規参入者や流行に惑わされ、本来の顧客に目が向かない③顧客を騙し、信用を失っている例。

これらの事例に自社の製品が陥っていないかを考えた上で、いかに市場の変化に新しい価値観やプロモーションを打ち出せるか、を考えてみてはいかがでしょうか。

少しでも参考になれば嬉しいです。




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