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進化思考と私の1年間

進化思考の世界に飛び込んでから1年が経過したので「進化の学校」で、進化思考を深めた結果、私にこの1年に起こった変化を書いてみる。

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進化思考とは?

進化思考―それは、生物の進化のように二つのプロセス(変異と適応)を繰り返すことで、本来だれの中にもある創造性を発揮する思考法。

私たちは道具の発明を通して、擬似的な「進化」を達成してきた。そこには必ず、私たちの本質的な願いが込められている。小さいものを見たいから目を進化させるために顕微鏡を。寒さをしのぎたいから皮膚を進化させるために服を。速く移動したいから足を進化させるために乗り物を。子孫に残したいから記憶力を進化させるために本を…。40億年にわたり変異と適応を繰り返してきた生物や自然を学ぶことで、創造性の本質を見出し、体系化したのが『進化思考』である。

変異(HOW):偶発性を起点にした発想手法
適応(WHY):自然選択を起点にしたリサーチ手法

変異によって偶発的に無数のアイデアが生まれ、それらのアイデアが適応によって自律的に自然選択されていく。変異と適応を何度も往復することで、変化や淘汰に生き残るコンセプトが産まれる。その結果、本質的な願いを具現化するイノベーションを起こせるようになる。

引用:海士の風社ホームページより
https://amanokaze.jp/shinkashikou/

進化の学校とは?

『創造が進化の模倣だとしたら』
デザイン思考の限界を超えるといわれている進化思考。
それは、生物の進化のように2つのプロセス(変異と適応)を繰り返すことで、本来、誰の中にもある創造性を発揮する思考法です。
提唱者は、デザインストラテジストの太刀川英輔さん。
東京防災、大阪・関西万博などにも携わり、変革者を育成するデザイン教育者として社会を進化させる活動を続けておられます。
『進化思考』は、4/23に書籍発売後、amazonのビジネス・経済ランキング1位を獲得、
増刷を重ね、3万部を超えるベストセラーとなっています。
▶︎amazonでの購入はこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/4909934006/ref=cm_sw_r_cp_api_i_D2KEZQTJ0YS0EW58C5TK
この『進化の学校』では、毎週日曜日朝7時にオンラインに集い、
動画とオンラインホワイトボードツールを活用し、
インプットとアウトプットを繰り返しながら「進化思考」を学び・体得していきます。 

引用:「進化の学校」説明会 参加者募集Peatix
https://evolutionacad0530.peatix.com/?lang=ja

1.全ては「強い直感」と「良い流れ」から始まった

どこまで遡るのが適切だろうか。
進化思考の世界に入ることになったきっかけは、
・強すぎる直感がビリビリきたこと
・良い流れがつながり、その先に進化思考があったこと

だった。

少し長いが私が「進化の学校」に入るまでの経緯をまとめてみた。

◆プライベートで関わっていた地域活性化

西会津町にUターンして、役場職員となった私は、仕事以外の活動として、西会津で行われているいくつかの地域活性化のプロジェクトに関わっていた。

西会津の場合、移住者やUターン者が面白いことをしていて、私自身も集落で大人による本気の鬼ごっこを仲間と共に企画したり、ランドスケープとデザインの力で集落をまるごと再生している西会津のキーパーソンのプロジェクトを間近で見たり、そして現在も西会津を面白くしようと動いている。

DEEP集落鬼ごっこ。

◆「日本列島回復論」の勉強会を西会津で主催

そのような毎日の中、漠然とだが、全国的に今起こっている地方創生の流れは、なぜだかこれまでと違う気がしてならないと感じていた。2019年ごろで、コロナ禍の前だった。

これまでも「地域活性化」「地方創生」「まちおこし」など、時々でブームはきていたが、今回はこれまでにない規模で起こっているのではないかと体感で感じていた。同時にそれを言語化してみたいという思いも強く持っていた。

そんな時に、私がライフワークとして参加している内閣府国際交流事業でお世話になったFさん(今、某選挙に立候補中なので、実名は出せない)が、Facebookで『日本列島回復論』の作者・井上岳一さんと対談をしたという記事を投稿していた。

ちょっと何か直感を感じ、本を購入して読んでみたら、これが面白い。
今、自分が西会津にいる理由が言語化されていると思った。

日本列島回復論

数日で読み終わった後、FさんのFacebook投稿のコメント欄に感想を書き込んだところ、Fさんから井上さんをご紹介いただく流れに!

その後、西会津でもオンライン勉強会を開催することになった。
興味がありそうな人を集め、西会津町を面白くしているキーパーソンで、一般社団法人BOOT代表の矢部佳宏さんに井上さんとの対談役をお願いし、2時間のオンライン勉強会を実施した。
めちゃくちゃ盛り上がったし、今でも自分に影響を与えている。

◆「山水郷チャンネル」で山田崇さんを知る

そしてその数ヶ月後に矢部さんが、井上さんがファシリをされている「山水郷チャンネル」に出演することに!

自分が開催した勉強会が直接の縁となっているかは分からないが、西会津が山水郷チャンネルに取り上げられるのが、とても嬉しかった。

そして山水郷チャンネルがどんな雰囲気なのか、矢部さんが出演する回の前の回を覗いてみようと思って視聴した回が、進化の学校でお世話になっている、元塩尻市職員の山田崇さんの回だった。

山田さんがプレゼンの中で、「進化の学校」に言及されており、その瞬間、強い直感がビリビリと来て、「これは何かがあるかもしれない」と思い、googleやfacebookの検索機能でリサーチをした。

◆多くのキーパーソンが進化思考を言及している

すると、現西会津町最高デジタル責任者の藤井靖史さん、西会津に関わってくださっている元大臣秘書官、尊敬する起業家やデザイナー、憧れのコクリ!プロジェクトの参加者などが、進化思考について言及し、多大な影響を受けていると述べていた。
進化の学校の学長・太刀川英輔さんは会津に来て、矢部さんや藤井さんなど、会津で面白いことをしている人たち向けにワークショップを開いたことがあったということも知る。

◆進化の学校の「秘密結社感」

後日、進化の学校の説明会に参加。山田崇さんや「市役所をハックする!」関係の人がファシリをし、進化思考の説明を聞いた。
創造性は誰もが持っている」「進化思考を全国の公務員にインストールしたい!」というビジョン、そしてその秘密結社的な雰囲気が何とも好きになり、受講することに!

参加費も公共セクター5万円、民間10万円という価格設定だったが、「本気の人が集まるかもしれない」と好印象を受けた。

そんな流れがあり、進化の学校の1期生となる。

2.進化の学校で出会った面白い仲間と共創

そして2021年2月から、毎週日曜日の朝7時にオンラインで「進化の学校」の第1期がスタートした。

進化の学校(※掲載許諾がある第2期の写真を使用しています)

◆進化の学校の流れ

第1 期は大体このような流れで毎回講義が行われた。

1.チェックイン
その「場」に自分を適合させる、自分の気持ちの整理をする。ブレイクアウトルームに分かれて、今の自分の気持ちや状態を話す。

2.学長の講義
事前に録画したアーカイブを視聴する(非公開の動画)。本(教科書)の発売前だったので、初めて聞く話ばかりで必死にメモを取った。
視聴が終わると、毎回学長から補足で講義があった。これがすごく面白い。
本が発売される前だったからこそ、むしろ学びが多かったと思う。

3.ワーク(miroを使ってた)
毎回の講義で習う「変異」と「適応」それぞれの項目をオンラインワークスペースの"miro"を用いて、ワークを行う。
他の受講生の分も、お互いに見れるのでヒントを得られた。

変異と適応
miroの作業画面

4.学長の話
第1期は人数が20人くらいだったということもあり、太刀川学長との距離がとても近かったので、直接アドバイスをいただいたりしていた。

また、現在の進化思考をめぐる動きや、書籍の出版などを話してくれた。
1年を経た今となっては、google等で検索すれば、進化思考関係の情報やイベント情報、取材記事がたくさん出てくるが、当時は情報量はそこまで多くはなかった。
そんな中で、一般には非公開のお話を聞けたりして大変貴重な時間だった。

5.チェックアウト
その「場」から自分を離す、自分の気持ちの整理をする。ブレイクアウトルームに分かれて、その日の学びを共有して、今思っていることを話す。
他の受講生からの話からインスピレーションを受けることも多かった。

◆進化の学校の仲間

進化の学校には第1期、2期、そして現在は進化思考研究所に関わっているが、実は誰1人としてリアルで会ったことがない。みんなオンラインだけなのだ。
それでも、この1年、リアルの世界でも仕事やプロジェクトを一緒にする機会が幾度かあった。

受講生仲間は、本当に面白い人ばかりだった。
前述の通り、チェックイン、チェックアウト、ワークの時間でみんなどんどんお互いを知り、仲良くなっていったことで、所々で進化の学校以外でも何かを一緒にしましょうという流れがあった。

私だけで言うならば、進化の学校の仲間とは、
・西会津の自然音を世界に発信する事業
・物語論のワークショップ

が形になったプロジェクトだ。そして現在もいくつか水面化で動いているプロジェクトがある。リリースできる日が楽しみだ。

受講生仲間の進化させたいXもそれぞれだったし、それぞれの進化のさせ方もまた興味深かった。

ゼミに分かれてワークも行った


3.進化思考を使って生まれたこと

進化思考での探究を通して、私から出てきたビジョンは、
地域資源を進化させること」だった。

「地域資源」というのは色々とある。人、自然、文化、歴史。
私はそれを区切ることなく、「地域資源」を一括して考えることとした。

まず、「系統」で西会津町の「土地の歴史」を考察した。

西会津町史第6巻(上)民俗は私のバイブル

町史を読んだり、歴史文化構想委員会が作った冊子を読んだり。
そこで見えてきたのは、西会津の人が古くからどのように自然と向き合ってきたかだった。

新潟と福島の間にあり、宿場町であり、新しいものを受け入れる土壌があった。その結果平成9年のケーブルテレビ開通や、テレワークセンターの整備、ICT化、そして令和3年度のデジタル戦略の策定をするなど、新しい変化を取り入れながら歴史が進んできた。

土地の記憶の層

そして「生態系」の分析でも、どのような人が西会津にいたか、どのように文化の交流があったかの分析も行った。

阿賀川のある文化と合流
鉄道が通り、文化の流れが変わる

そこから浮かび上がってくるのは、「古来」と「未来」の融合
すなわち、元からあるものとテクノロジーを組み合わせることで何かが生まれるのではないかと考えた。

以後、「適応」と「変異」を往復し、出てきたビジョンが
西会津の自然音を録って世界に発信する(音事業)
・これまでにない西会津の姿を新しい角度から切り取って足元の美しさに気づく(ドローン事業)
だった。

早速、企画書を作り、上司に提案。

◆音事業

音事業は、進化の学校1期の同期の晝田浩一郎さんのご紹介で、オーディオストック社官民連携事業研究所と連携協定を締結し、私が音を撮りそれをオーディオストック社が整音し、Apple MusicやSpotifyなど70の媒体で世界に発信。

音事業連携協定締結式

現在は、春夏版、秋版がリリースされている。

春夏版
秋版

結果的に、県内テレビ局4社、新聞社1社から取材を受け、シティプロモーションにもつながった。Yahoo!ニュースにも取り上げられた。

TUFテレビユー福島


◆ドローン事業

「この風景を上空から撮影してみたい!」
そう思ったのは、2021年2月の朝のことだった。この風景に出会い、地上からの眺めから、上の視点に移行したらどのように見えるのかとても気になった。

西会津町の大山祇神社への参道

それ以降、ドローンに興味を持っていたわけだが、実際に買おうと思ったのは、進化の学校でのビジョンが出てきてからだった。

国際交流の仲間で、ドローンのメーカーDJIの元社員の方に助言をいただき、ドローンを購入した。また、操作や知識が非常に不安だったので、新潟の教習所に通い、知識と技術を身につけた。
(余談だが、DJIの元社員に助言をいただいて本当に良かったと思う。ドローンはどれでも良いというわけでもなく、機体の安定性やバッテリー、機能、カメラの性能、付属品で撮れ方が変わる。最初は一番小さくて7万円くらいのドローンにしようとしていたが、それだと安定性もなく、カメラの機能もイマイチで、私が撮りたい画は撮れない。最終的にDJI Air 2Sにした。これが非常に良い選択だった)

ネットでDJIから直接購入し、届く。
なんと、偶然にも、進化の学校の事務局から『進化思考』の本が送られてきた日と、ドローンが届いた日が同じ日だった。
これは進化思考でドローンのビジョンが出てきたことを、進化思考の神様が証明してくれたのではないかと思った(笑)

書籍『進化思考』とドローンが同じ日に届く

週末ごとに西会津町内を空撮し、YouTubeやSNSにアップしたり、2次利用のため、多くの人に著作権フリーで共有をした。
また、役場の広報担当課に写真を共有したり、役所内で誰でも見られるイントラネットに共有したり、デジタル化の一環として役場の「データ解放」として提案もしたりした。

昨年は、私のドローン映像が下記で使用していただいた。
・福島グリーン復興構想の広報冊子(福島県)
・新宿御苑での展示(環境省)
・「広報にしあいづ」の1面の掲載(西会津町)
・コクリ!プロジェクトwebページのトップ画像(コクリ!プロジェクト)
・「ふくしまSHOW」での放送(テレビユー福島)
・西会津町町政要覧の表紙の画像(西会津町)
・西会津町データブックの表紙の画像(西会津町)
・県の会議の表紙の画像(福島県)
・極上の会津プロジェクトの西会津町紹介ページ(会津若松市)

◆NISHIAIZU Fukushima Japan 4K

友人の紹介で西会津に来られた方が、私のドローン映像を見て「自分に編集させて欲しい!」と言っていただき、動画100本を提供したところ出来上がったのがこのプロモーション動画だ。

多くの方から「感動した!」と絶賛をいだいている。

編集してくれた方は、なんと国の官僚。地方公務員である私が撮影し、国の官僚が編集をする。プロではない役人の力だけでも、工夫や熱意で、人に感動を与えるものができてしまうのだ。

結果、地域資源を用いて西会津を発信することにつながった。

◆「小さくてもいいからとりぜずやってみるの効果」

これらをFacebookやTwitterで発信をしていたら、昔の友人に声をかけられたり、仕事の関係先から声をかけられたりして、事例発表をすることとなった。

小さくてもいいからとりあえずやってみるの効果」というタイトルで事例発表をさせていただいている。

福島大学
近畿経済産業局
仙台市の中学校


4.進化思考を使ってコ・コクリ!会津のコンセプトを描く

西会津町で「コクリ!プロジェクト」が行われた。

コ・コクリ!会津

開催の経緯は、上記の記事をご覧いただければと思うが、私もコアメンバーとして参加させていただいていた。

『進化思考』の書籍の430ページにも書いてあるが、太刀川英輔さんはコクリ!のディレクターである。また、進化思考はコクリ!プロジェクトが育てたものらしい。

そんなことを意識していたら、ある日突然「進化思考を使ってコ・コクリ!会津のコンセプトを描きたい!」とのビジョンが降ってきた。
誰にも頼まれたわけでもなく、勝手にビジョンを描いてみた。

これがすごく上手くいった。やはりコクリ!と進化思考は親和性が高い。
特に使用したのは「系統」「生態」「解剖」だ。
これまで自分が学んできた「自然と文明」論、西会津の歴史や地理の知識を総動員して書き上げた。

進化思考で書き上げたコ・コクリ!会津のコンセプト

結果、一部の要素は公式にコ・コクリ!会津で使用していただけたし、コクリ!プロジェクト創始者の三田愛さんや、進化思考の創始者の太刀川学長にもご覧いただく機会もいただけた。

コクリ!プロジェクトがきっかけで発展した進化思考を使い、私が西会津で行われるコクリ!プロジェクトのコンセプトを書くということとなった。

ある意味「還元」なのかもしれない。

5.最後に

ここまで長い文章を読んでいただきありがとうございました。
おそらく、ここまで読んでくれた人は、
・進化の学校の仲間
・進化思考研究所の仲間
・進化思考の本を読んだ人
・進化の学校の受講を迷っている人
あたりだと思う。

最近色々な場所で言っていることは、「進化思考を身につけてから、人生のレールが変わった」と表現している。

これまで進化思考を一緒に深めてきた仲間に感謝しつつ、進化の学校の受講を悩んでいる人には、お勧めをして、今回のnoteはここで終えたいと思う。

最後に、視点の移動は重要だと言う話。

下記2つは同じ場所から撮影した画像。

地上から見た風景(1枚目)が、上空(2枚目)から見るとこうなる。どんなこともそうだけど、視点を変えるって本当に大事だと自然が教えてくれる。これも進化思考の一種で、風景を進化させることなんじゃないかと思う。
自然が進化思考を通して、人間に教えてくれている真理なのではないかと思う。

地上から撮影
上空から撮影

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