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ケアの技能について
ぼくよりもずっとケアの経験が長い先輩のGさん。
これまでに多くの人に接してきていて、障がいの有無にかかわらず、心理的な安全性を作るのがうまいなあという印象をもっている。
送迎の時になかなか車に乗ってくれないSさんの迎えに初挑戦。
Sさんは迎えに来る人や車の車種などに強い影響を受けるので、Sさんとの関係が良好なGさんは「行けそうな気がする」とやる気満々。
ところが蓋を開けてみると何のことはない。
いつも通りSさんは送迎車には乗らず、ほかのスタッフも自宅までヘルプで駆け付けた挙句にご家族の車に乗り込んだ。
Gさんもなかなか難しいことがわかると、早々に施設にいるスタッフに応援を頼み、Sさんの自宅まで来てもらったそうだ。
先輩のGさんが腕利きだと思って期待していた私はこの顛末を聞いて、ケアの技能って何だっけかと思った。
今回で言えば、Sさんを送迎車に乗せて施設まで送迎することがゴールではあった。
ただ、それはあくまでわたしたちのゴールであって、Sさんにとっての正解かどうかはわからない。(まあ、Sさんのご家族は私たちと同じはずではある・・・)
対象者をケアをする側が設定したゴールに導くことは、ケアをする側にとってとても魅力的だ。
もちろん、ケアする側は対象者の「よかれ」を想像してやるケースがほとんどだろうから、たいていの場合は否定はできない。
それでもなお、一度こちらのゴールを手放したうえで、対象者のその時々に応じて新たなゴールを作る上げていくことが大切かもなと思った。
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