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どれだけ代弁できるか、なのか
送迎の時になかなか送迎車に乗ってくれないEさん。
ある日、乗らないどころか家に戻ったまま出てこなくなってしまった。
そんなことは初めてで、前日にあったあれこれを思い出してみたり、大慌て。
膠着状態になってしまい、状況を打開するにはEさんが好きな車か人が目の前に現れれば何か変わるかもと一縷の望みを託して、スタッフを呼ぶ。
到着したスタッフが促すと驚くほどあっさりと車に乗ってしまった。
結局、Eさんが家から出てこなくなってしまった理由は迷宮入りとなった。
意思というのが本当にあるのだとしたら、家にいたいというのがEさんのある時点での意思なのかもしれない。
その「意思」に反してEさんを外に連れ出すことは、どういう意味を持つんだろうか。
ぼくたちは考える。
家族だったりスタッフだったりEさんの幸せを願う人たちみんなで考える。
Eさんのこれまでの行動を手掛かりに考える。
Eさんを取り巻く状況を手掛かりに考える。
Eさんの意思に反しても、Eさんの良かれをどれだけ代弁できるかがぼくたちがやるべきことなのだ。
車に乗った後、いつも通りのEさんを見て、少しだけ自信を取り戻してそんな風に思う。
脆く、朧げな足場に立って頼りなく揺れ動きながら、良かれを探している。
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