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ご支援は計画的に

計画を立てて、実行し、見直して、ブラッシュアップするPDCAサイクルが苦手だ。
苦手な理由は、PDCAという考え方が基本的に右肩上がりの直線的な成長を前提にしているからで、そのラインに乗れていないと焦燥感によって苦しくなるからだと思う。

障がい者支援の現場では、個別支援計画というものが制度としてあり、この計画によって事実上のPDCAのサイクルを回すようにほぼ義務付けられている。
ほぼというのは、計画を作らない場合には報酬が50%減額され、収支が成り立たないような制度設計になっているため、事実上は義務である。

定期的にご家族や相談員さん、スタッフ間で利用者さんの変化を振り返る機会はとても有用だし、いい時間だと思うので、制度そのものの全体に眉をひそめているわけでもない。
ただ・・・


人間に対して計画を立てることに気持ち悪さは付きまとう。

障がい者支援における計画は名目上は支援者の側のものであるが、支援の結果は当の利用者さんの状態であるから、自然と利用者さんがある状態になることが目標と設定されることになる。

障がいとPDCAの考え方は相性が良くない。
できないことをできるようにするという目標設定自体が彼らの存在を揺るがしかねない危うさを孕んでいると思う。
さらに、支援とPDCAの相性はさらに悪い。
よほどきちんとしたプロセスを設定しなければ、支援者は目標の枠組みに利用者さんをはめ込んでしまうおそれがある。


それと、計画の原因と結果という単純な図式に現場での実感との大きな乖離を感じてしまう。

支援者と利用者だけの関係で利用者が既定されるほど単純なものではないと思う。
利用者さんを取り巻く環境は家庭や利用者さん同士、地域のひとやお天気、ごはんやおやつ、月の満ち欠け・・・などとても複雑な世界だ。

微細な周辺環境の変化によって、毎日のようにコンディションが変わる利用者さんたちへの日々のケアの積み重ねは、長期的な目標のようにあらかじめ意図できるものではないのではないかなあと思う。


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