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ツルツルとギザギザ

この1年、知的障害と自閉のある人たちと接してきて、「能力」というもののとらえきれなさを感じている。

場所や周囲にいる人との関係性など状況によってできるときとできないときがある。
とても環境依存的。

しかも、同じような状況を整えても日によって変わる。
月の満ち欠けや気圧との関係を統計的に調べてみたいねなんて話してしまうほど。
最近、ちくまプリマー新書、鈴木宏昭さんの「私たちはどう学んでいるのか」を読んでいるのだが、その中でとある問題を解くときに複数の認知リソース(考え方)が同じ人の中に存在し、発達の段階に応じて支配的になるリソースが変わるというような記述があった。
テキストだけで説明するのがなかなか難しいけれども、複数の認知リソースが一人の人の中に共存しているという考え方には妙に納得感がある。
昨日と今日の間に揺らぎがあるのだ。

そんな中で月並みなことを言えば、一緒にいるスタッフとの信頼関係と心理的安全性のある環境はとても大切だと思うわけです。
ただ、「能力」というのは厄介で、環境が変わっても発揮できることが前提だったりする。

心理的安全性が担保された環境下で現れるその人の姿だけが本当の姿ではなく、違った環境下でこそ、ケアをする周囲の人たちの認知を飛び越えるその人の特性が垣間見えるのではないかという色気を持ってしまう。
そういう意味でツルツルだけではなく、ほどよくギザギザした環境とのバランスが大切だなあと思う。

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