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ノイズキャンセリングの効能と・・・

騒がしいのが苦手なUさん。
精神的に不安定になると手が出てしまうことがあり、過去に一度だけ、家電量販店に一緒に行ったときに頭をたたかれたことがある。

そんなUさんと少しドキドキしながら、ドラッグストアに買い物に行った。
音を気にしながらお店に入ってみると、店内の放送と商品の広告、精算機の人工音が一度に飛び込んできた。
普段の買い物では必要な音だけを取捨選択しているんだろう。
これだけうるさいことに気づいていなかった。

手は出なかったものの、どんどん険しくなるUさんの表情にハラハラしながら店を後にした。

オンラインでヨガのレッスンをする妻がノイズキャンセリングをすると、周囲の雑音や衣擦れの音がキャンセルされるかわりに、必要なはずの呼吸や楽器の音などもキャンセルされてしまうと困っていた。
Uさんは、あらゆる音を脳が取捨選択せずに等しく聞こえているのだろうか・・・。

Uさんを送った帰り、自分がキャンセリングしているノイズは本当にキャンセリングすべきものなのだろうか、とぼんやりと考えていた。
例えば、子どもと過ごしていると、経験の蓄積はさまざまなものを既知のフォルダに格納してしまい、わかった気になってしまう詰まらなさも同時に持っているなぁと感じることも多い
目の前の世界で起こっていることをそのままに受け取ることの苦しさと瑞々しさの両方を想像して、うまくチューニングする術はあるのかなぁなどと、妄想はどこまでも強欲な方へ行くのだった。


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