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環境と能力と

以前に、Oさんの検査に同行したときのこと。
受給者証の区分認定のための検査で、初対面の心理士の方から質問を受けたけれども、
そもそもOさんには問いにレスポンスするという前提がないため、かみ合わない時間となった。
傍らで、問い方や使用するアイテムが変われば、「できる」側になる問いもあるなあと思っていた。

その検査で、今更ながらにOさんは環境の影響を受けやすく、その調整が難しいことが障がいなんだなあと気づいたのである。
その気づきを得て以降、Oさんが「できる」ようになる環境を先回りして作ることに意識的になり、そのことにより、Oさんが「できる」ことに手ごたえを感じる場面も多くあった。

このことによって、Oさんの経験や行動範囲を広げることへの寄与は感じつつも、同時に違和感も大きくなっていった。

それは、Oさんが別な環境下では、相変わらず「できない」ままであり、まだ若いOさんにとって、環境に関係なく「できる」ように成長する余地を摘み取ってしまっているのではというものだった。

もしかするとOさんに必要なことは、異なる環境でもやってみようと動き出せるような心理的安全性の確保なのかもしれないなあと思ったり。

一方で、「できる」ことの価値への偏重自体が障がいを作り出している側面もあり、「できる」と「できない」で分けない社会であってほしい、というか、そういう社会になるよう努力もしたいなあと。

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