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滑り台に自分がいた

うちを利用し始めてから2か月のYさん。
話しかけても、こちらの話のオウム返しが多く、挨拶をしても帰ってこないことが多い。

Yさんと一緒にいると、応答というのは自分が存在していることを感じられる行為なんだということを強く感じる。
ほとんど目を合わせてくれないYさんといると、自分がそこにいるのかわからなくなってくる。

こスタッフと積極的にコミュニケーションを取る利用者さんが多いなかで、Yさんとは心が通じ合えていないような手ごたえのなさを感じていた。

そんなある日、公園に行くと長い滑り台があって、Yさんは一人で長い階段を上って行った。
スタッフの声掛けが行動の起点になることが多いYさんなので、意外な感じがしつつも嬉しく見守っていた。

階段を上り終え、遅いなあと思い滑り台の正面に回ってみると、ちょうどYさんが滑り始めるところだった。
何度か同じように階段を上って滑り降りるのを繰り返すうち、Yさんは滑り台の降り口にわたしが立った時に滑り始めることに気が付いた。

その瞬間、「あ、(じぶん)いたんだー」と思った。

わたしもそれほど積極的に介入するタイプでもないので、会話もスキンシップもほとんどないYさんとわたしだけど、そこには確かに関係性があったことがわかり、うれしくなった。


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