もつの叩き売り

安いよ! 安いよ! どこからともなく現れた新鮮なもつだよ!
……全然売れないな……バナナの叩き売りもあるくらいだから、
もつも叩き売りにしてみたけども全然売れない。
でもバナナは売れるって猿かよ、人類みな猿かよ、全く。
もつですよー、文化的ですよー、仕入れたってわけでもない、
どこからともなく現れた新鮮なもつですよー。
もつを食べる家庭は学力がアップしますよー、数学が2から3になるよー。
バナナ食べると退化するよー、猿のごっこ遊び”絶”になっちゃうよー。
人間”絶”にだけはなりたくないですよねー、縁起が悪いですからねー。
もつがこんな安い値段でー、何でこんなに安いかって、
本当に気付いたら床に散乱していた、
どこからともなく現れた新鮮なもつだからですよー……売れない。
何が悪いんだ、こんなに神秘的なもつなのに。
せっかくアパートの敷板の隙間から、
もつがミゾミゾと湧き出てくる家に住んでるのに。
これを売ったら俺は大儲けだと思ったのに。
というか1人で食べきれないし、
まああのもつ、何故か腐らないんだけどな。
だからもう物置が新鮮なもつでパンパンなんだよな。
戸を開けると、もつが足元に転がってくるんだよな。
つい「鉛筆か!」とフルテンションで突っ込んで、咳き込むんだよな。
俺はフルテンションになると咳き込むほうだから。
だからフルテンションの一歩手前くらいでいつも声を張ってるんだけど、
やっぱりフルテンションでやらないとダメなのかなぁ。
でもそうすると猿なんだよな、バナナの叩き売りの猿と一緒なんだよな。
猿には成り下がりたくない、こっちはもつなのに。
もつほど文化的な食事は無いのに、もつはIQ10万円分なのに、
時給IQ10万円分なのに、さらにはクオカードでの支給なのに、
それくらい文化的なのに、いやまあ電子マネーほど文化的ではないけども。
電子マネーほど文化的な食事はラム肉だね、
あれはもう文化的、それは認める。
でもね、もつもかなり文化的なんだよ、
もつを食べるって結局人間の”業”じゃん。
人間の業って未来的ってことだから、業という概念は未来的だから。
みなとみらいとかも、本当はみなとみらい業だから。産業業だから。
”業”はマジで”絶”の真逆だから、間違いやすいけどもね。
ここテストに出ます。心のパンティーラインにアンダーラインして下さい。
ちょっとしたもつの絵も書いて下さい。
秘密先生からのいかがわしい授業でした……って! もつ叩き売りゃな!
もつ! 安いですよ! もつ! 安いですよ! もつ買ってくれ!
家の中もつだらけなんだよ! どこからともなく現れた新鮮なもつだよ!
あぁもう! こうしてやらぁ! もつを近くの泥溜まりに投げてやりゃぁ!
泥もつ! もうタダだよ! うりゃうりゃー! もつを全部泥溜まりに!
泥もつだぞ! 新鮮な泥で和えた泥もつだぞ! もう一品になってるだろ!
お宅の猿にはもったいないくらいだぞ! あぁん? 食えや! おりゃ!
あぁ、もうダメだダメだ、こんなんじゃダメだ、もっと文化的になりゃ。
ちょっと泥溜まりから助走をとってから……走る走る走りゃぁぁあああぁ!
泥もつへスライディングしてぇ!
おまちぃぃいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!
その勢いで帰る! バイチャ!

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