しゃべるピアノ

「つまりは要はそういうことね! ね! ね!」
 話が違う。
 最近流行の歌うピアノを中古ながら買ってきたはずなのに、コイツは意味無く喋ってばかり。
 流石に「黙れ」と言えば黙るが、休んでいる最中はずっとだ。
 最初は無視してたが、だんだん気になってきた。
「歌うピアノよ、何でオマエはそんなに喋るんだ」
「あっ、私が喋る理由? 気になってる感じ? ね! ね!」
「そういう無駄口はいいから理由を言えって」
 すると歌うピアノは呼吸を整えると、真面目な声で、
「前の持ち主から発声がなってないと言われて。喋って唇や腹を鍛えるべきだと。でも結局改善しなくて売られちゃったけどね、ね……」
「そりゃただ喋るだけでは意識低いから改善しないだろ」
「そんな……ですよね、ね……」
「だから、こうすればいいんだ。歌うピアノよ」



「ジャジーな音楽! ジャンクな本格! YO!」
 ラップをさせればまあ楽しいだろう。