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花の季節に


花の美しさを表そうと
言葉を並べてみるけれど
どれもこれも嘘のように響いて
どうしようもなくなった私は
書く事をやめた
ただ春の陽に身を委ね
季節の変わり行くのを眺めながら
春風がおいていく色の
圧倒的な美しさに酔っていた
言葉にしなくていい
ただ季節を感じ楽しんだ

そんなふうに日々を過ごしていたら
花は見頃を過ぎてしまっていた
桜吹雪のなかに立ち君を想う

どこまでも澄んだ青空に
桜色の花弁がちらちら舞う
捕まえようと手を伸ばすと
もう少しのところで指の間をすり抜け
フワリ
風に乗り行ってしまった
まるで叶えられなかった恋や夢のように

見上げる空はひとつで
世界中の街とつながっている
君がどこかで今、この瞬間
空を見上げていればいいのに

ねえ、キレイだね

散る花の儚さがそうさせるのか
空の青さが沁みたのか
なぜだかわからないまま私は
少し泣いた