シガーボックスの基礎技術について考える(2)

前回(↑)、シガーボックスの取りうる状態について定義しそれらの遷移について考えた。
前回の課題は2つあったが、そのうちの1つは「ひっつけ」に関するものだった。(↓)

今回はひっつけ状態を地面に垂直な向きに箱を積んでいる状態と考えているが、本来は内側に傾けるのが良いとされている。傾きがある場合にはそれはほっておくと地面に落ちるため、非安定状態に近い。傾きがある場合のひっつけを崩さず維持する力は明らかに基礎技術であるが今回の考え方だとうまく説明できなかった。反省である。

これを受けて、前回の状態に関する定義を修正する。

前回からの変更点

①箱が地面に接しているか、②箱が空中に浮いているかで分類し、3つの状態を定義した(安定状態、非安定状態、接地状態)。

今回②の分類を見直し、分類基準を「プレイヤーが何も操作をしなかった場合に箱が接地状態になる可能性」とする(なんかしっくりこないけど。いい表現あったら教えてください)。これに伴い安定状態を可能性ほぼ0%(接地状態になる恐れなし)、非安定状態を可能性100%(確実に接地状態となる)とする。そして、その間に新たに「半安定状態」を追加する。前回の定義では安定状態に属していたひっつけ状態は半安定状態へと変更する。ひっつけの角度により箱落下の可能性は変動するので、ひっつけが傾いているほど非安定状態に近づくということになる。当然非安定状態に近づくほど、その難易度は高くなる。以上まとめると以下画像のようになる。

ひっつけに傾きをつけるのは難しいし安定度も下がる。ではなぜそんなことをわざわざやるのか?縦に積めばいいじゃないか。
この問題に答えるには、ひっつけ単体だけではなく、その後の操作について考えておかなければならない。

ひっつけ状態からの操作

ひっつけ状態からはレインボーやポップコーンなど様々な技が展開される。しかしシガーボックスの動きに着目すれば、3種類に分類できる。すなわち運動の方向が内回転方向か外回転方向か、上下方向かである。ここで上下方向とは図の通り箱の積み上げ方向を指し、必ずしも地面と垂直ではない。

それぞれの運動をする代表的な技は以下の通り?
・外回転
レインボー、ミルズメスチェーンなど
4シガー ならダイヤモンド、ダンシーズデビルメント

・内回転
リバースレインボーなど(名前がついてない技が多い気がする)
おときくんのループ(名前なんだっけ?)

・上下
ポップコーン/連続ひっつけ(嘘かも)、とんがりコーン

具体例を挙げたが、詰まるところ箱の運動方向(内/外回転, 上下方向)と、手の使い方(掴んでいる箱を離すか、掴んだまま積んだ箱だけを投げるのか)の組み合わせが存在する。
そしてこの操作のゴールとして、前回考えた非安定状態の3つ(縦分離、横分離、非分離)があるため、これらも組み合わせたものがひっつけ状態からの操作、基礎技術である。(ただし縦、横分離のためには内/外回転のどちらかを加える必要あり。またスライド系も含まねばか、、?)

操作のゴールとして3つを挙げたが、ほとんどの技は縦分離か横分離から展開されると言って良いだろう。両方の操作について少しだけ詳しくみてみよう。

ひっつけ状態からの縦・横分離操作

投げ分けにおいて気をつけるべきことは、①箱を離す際に力を加える方向、②その強さ、そして③タイミングである。
実際に縦分離、横分離それぞれの操作をスローで追ってみると、違いが分かる。以下貼り付け。

・レインボー(pcからじゃないと動かないかも

・縦分離

・横分離

・タイミングまとめ(左から縦、横、レインボー)
ここで赤矢印は投げる方向、強さを表す。
それぞれ箱は大きく傾いていることがわかる。


ひっつけに傾きをつける意味

上述の通り、主なひっつけからの展開として箱を縦分離させるもの、横分離させるものがある。そしてそれらを行う上での重要なポイントとして箱を離すタイミング(箱の積み上げ向き)がある。箱の積み上げ方向が地面と垂直な場合、つまり縦にひっつけしている場合には、箱の積み上げ方向を大きく変える(つまり大きな助走をつける)必要がある。対してひっつけに傾きをつけている場合には、そのような助走を小さくすることができ、スムーズに次の技を展開できる。
また、この傾きはひっつけから箱を挟んだ安定状態に移る際にも効いてくる。例として5ダイヤモンドを縦に積んだ場合、フィニッシュで挟むためには箱の向きを大きく変える必要となり、間ができてしまうといえばイメージしやすいだろうか。

ジャグリング界にはかつて「縦に積むようなひっつけはひっつけにあらず!真のひっつけは水平向きに積むものである!」などと主張するひっつけ原理主義者がいたものだが、これはひっつけからの展開が一般的でなかった時代の考え方である。5ダイヤモンドの例のように、ひっつけた後の展開がないならば水平ひっつけが好ましいかもしれない。しかしひっつけ後のスムーズな展開を目的とするならば、ひっつけの向きは水平にしすぎず、ある程度縦になっていた方が良い。

以下図にも示しておく。


ひっつけからの展開に限らず、シガーボックスという道具ではほとんどの技で助走が必要になる。ひっつけからの操作では助走とは前述した傾きを変化させることであり、テイクアウト系でいえば箱を綺麗に投げ上げるために膝から身体全体を使うことである。助走はシガーボックスのシークエンスにおいてリズムを損なう要因となるうるため、助走を如何に扱うかがシガーボックスのシークエンスを考える上での重要なポイントであるように思う。
また次回、シークエンスについては書きたいと思う。

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