【FF16】エンディングをどう考えるか
1.はじめに
この記事では、FF16のストーリーの結末を私はどう考えるのか、それをまとめていこうと思います。言うまでもなくネタバレ満載となっておりますので、許容できる方のみつづきをどうぞ。
2.人となった
結局のところ、あの戦いを終えて、誰が死んで、誰が生きたのか。それは最早、物語の主軸ではない。
……と私は考えます。
クライヴが魔法を行使しようとしてもできなかったことから考えて、人であれベアラーであれドミナントであれ、もう魔法は使えない。区別ができない。もはや、彼らはみな人です。
だからこそ、FF16という物語の書き手は、最後に敢えて誰が生きて、誰が死んだのかを明確にしなかった。クライヴですら、最後の瞬間はもう世界に生きた「人」の一人でしかないのです。
そしてクライヴたちの行動はもう「聖女と使徒」と同じようにおとぎばなし、神話と同じ幻想の中だけのもの。最後の幻想となったのです。
……さて、
それはそうとして、私という一人のプレイヤーが、あの結末の生と死をどう考えたかを記します。
3.ファイナルファンタジー
エンディングに登場した「ファイナルファンタジー」という名のおとぎばなし。著者はジョシュア・ロズフィールドとなっていました。
さて、ではこの物語は誰が書きましたか?
・ジョシュア
・ジョシュアの名を継ぐ者
・ジョシュアの名を騙る者
この3つの内どれかですよね。
少なくともシド・クライヴたちの行動を間近で見ていなければこの物語は書けません。そして、仲間たちの中であえて「ジョシュア」の名を使って物語を書こうとするものがいるとは思えません。
とすると、この物語を書いたのは……
・ジョシュア
・ジョシュアの名を継いだクライヴ
この二人に絞られます。そして、ここからは私の感性の話となります。
クライヴがあえてジョシュアの名を使って物語を書くとすれば、クライヴは生還したがジョシュアは死んだ。せめてその名を残すためにジョシュアを継いで物語を書いた……となるのでしょう。
しかし、私はクライヴがジョシュアを継いだとは思っていません。クライヴなら自身の名で執筆したに違いないと確信しています。クライヴ・ロズフィールド、クリスタルを全て破壊した「大罪人シド」であり、ジョシュアのナイトでありながらジョシュアを守れなかった者でもある。
あえてその罪を背負った名前ではなく弟の名で物語を書くのか?クライヴが?私はそう思っていません。
では少し話をさかのぼって……
ということは物語を書いたのは、ジョシュア?そこを深掘りしてみましょう。
4.ジョシュアの生死
さて、私の感性の通りだとするとファイナルファンタジーの執筆者はジョシュアということになりますが、ジョシュアはFF16本編の中で死んだのでは?という疑問が出てきます。
ポイントになるのは以下の4つ
・ジョシュアは明確に一度死んだ
・フェニックスの力では蘇生できない
・偽りの神ロゴス
・完全生命魔法レイズ
ジョシュアは明確に死にました。それはしっかりと描写されました。そして、フェニックスの力は傷を癒やすだけで人の生死には干渉できません。
そこで重要となるのが偽りの神「ロゴス」、そして「レイズ」です。クライヴはほとんど神と同等の存在となっており、最後の戦いの前からその強固な自我とジョシュアとのつながりによって自身の精神の中に「ジョシュア」を出現させることもできるほどでした。
その後の最後の戦いの中でクライヴはアルテマという概念そのものを吸収しました。もはや極めて神と近い性質となったと考えるのが自然でしょう。
そして神であるアルテマが元々やろうとしていたこと、それが「完全生命魔法レイズ」です。集めたエーテルによって数多の同胞を蘇らせる。それは彼らが「個」であり「全」でもあるからできることなのでしょう。では、ジョシュアを蘇生するために必要なものは……
・神の力
・神の肉体(クライヴ)
・レイズに必要なエーテル
・ジョシュアの肉体
・クライヴの中のジョシュアの精神
必要な要素が全てが揃っています。ジョシュアは蘇り、生還した。そう考えることもできるでしょう。
あえて言及しますが、あの場にディオンがいなかったことを考えると、ディオンも生還した、とは言い難い。ですが、ジョシュアは生還した可能性がある。これが私の考えです。
5.メティアの消失
さて、ではおとぎばなしの執筆者はジョシュアだとして、クライヴはどうなったのでしょう?
死んだのでしょうか?
この記事の前半でお伝えした通り、彼は最後の戦いを終えてもはや人であり、彼の生死は「ファイナルファンタジー」という物語の外の話となります。ですが、この記事ではあえてそれに答えを与えてみます。彼という人を語りたいので。
エンディングの様々な描写の中でクライヴの死が示されました。
・メティアの消失
※月の傍らで赤く光る星
・ジルの涙
・ガブの涙
・トルガルの遠吠え
一連の描写のきっかけはメティアの消失でした。これについて少し語りましょう。まず、この世界において星を見ること、「星詠」は政治を左右することもあるほどに重要視されています。※ザンブレク皇国
そしてそれは政治の話だけではありません。ジルがクライヴの無事をメティアに祈ることも、その内の一つですね。
この「祈り」とは、神に捧げる行為、と考えることはできないでしょうか?つまり、信仰の一部、神が作り出した「理」の一部ではないかと。場合によっては星の見え方を少し変えることで政治を操ることにも活用していた可能性があります。
クライヴによって神の「理」が破壊された。だからこそメティアは消えた。ジルはそれによって願いが叶わないことを察して泣いた。
つまり、メティアの消失と連想されるクライヴの死はミスリードであった可能性があります。
6.クライヴの生死
さて、エンディングにあったメティアの消失によるクライヴの死の描写がミスリードであったとしても、繰り返しになりますが彼はもはや人であり、彼の生死は物語の外です。
しかし……
私は、思う。
彼がもはやなんの力も持たない人であったとしても、やはり彼の生還を願わずにはいられないものではないでしょうか?
石の剣のひとたちは「元ベアラー」の保護を続けながら、オリジン直下付近の海岸を巡ったり、世界各地の協力者たちは彼の情報を噂でも良いから集めようと必死だ。渡し守のオボルスは、あの戦いの後でベンヌ湖の湖畔をひたすら探したでしょう。ひょっとしたらたどり着いていやしないかと。
それは神への祈りではなく、どうしようもなく一人の「人」が生きていてほしいという、ただの願いではなかったか。
……
「クリスタルをめぐる探求の旅は終わった」
この言葉、私の記憶ならクライヴの声で語られたと思います。この言葉が、彼から発せされたものであるのなら……
クライヴが語り、指が石化したクライヴに代わって生還したジョシュアがペンを受け継ぎ、まとめ、本とした。
そしてクライヴは、残りの生涯を使って新たな旅に出た。それはクリスタルをめぐるものではなく、人の世界をめぐる旅……かもしれません。
答えが物語の外であるというのなら、その読者である私の自由だ。ならば私は「生還した」という答えを与えようと思います。
以上です。
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